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第25話 ふたつめのフラグメント

気が付くとJは地面に置かれたドールハウスの前に立っていた。

タラサが腰を「く」の字にしてJの顔を下から覗き見る。その顔は「ドヤ顔」と呼ぶにふさわしい顔をJに見せつける。

「ふっふーん!どうだ!驚いたか!圧縮の落下遺物を応用して作ったドールハウスだ!これで人も物も一気に運べる優れものだぞ!」

――これが欲しかった。

――カルトゥムの壺の上位互換ってこれのことだったのね。

――このドールハウスがあれば仲間をこの中に入れておいて一人旅が出来るようになるし、装備も中にしまえていちいち背負わなくていい。持つのはこのドールハウスだけだ。それにこのドールハウスも中に人がいてもカルトゥムの壺に収納できるから、実質持つのは壺だけにできる。

カバリオは目を丸くしてドールハウスを見て、タラサを褒める。

「スゴイじゃないか!いつの間にこんなものを?一人で作ったのかい?」

「うん、ロケットに乗せるには重量制限があるでしょ?それを何とかしないとなーって思ってこれ作ったの!カルトゥムの壺の応用よ!周りの装飾も結構頑張って内装も居心地いいようにしてみたの!装備とか道具とか入れればすぐに取り出せるよ!」

――質量保存の法則壊れる。

――多分別空間とかなんだよきっと……

カバリオはタラサを帽子の上から頭をなでる。

「えへへ……照れるよー!もっと褒めてもいいよ!」

「Jさん、こんなタラサですが旅の役に立ってくれるでしょう。タラサを、よろしくお願いします。」

「これからよろしくね!J!」

メインクエスト:タラサが仲間に加わった!

――次はどこに行くの?

――王都方面に向かう

――ウィレナを救出するのね。

――いや、ウィレナは後回しだ。

――姫様可哀そう。

「J!どこに向かうのアタシはどこでもいいぞ!Jについてくだけで楽しそうだし!」

「ボクを忘れてもらっては困るメェ!」

「忘れてないよ!カルトゥムも一緒に行こう!」

「おじさん!行ってきます……アタシは絶対帰ってくるからねー!」

「ああ、行ってらっしゃい。ロケットの面倒は僕が見てるから心配いらないよ。」

カルトゥムはタラサの後方についてタラサとセットで行動する。

『ここで待機。』

「ラジャッ!」

Jはタラサをいきなりその場で待機させ、秘密基地へ向かった。秘密基地の側面のでこぼこした金属の突起に手をかけ、秘密基地を登っていく。秘密基地の周りはぶら下がれる棒や足場が複雑に組まれており、Jはそれを手がかり足がかりにらせん状に秘密基地を登っていく。最上段の部分には避雷針代わりの鉄柱が生えており、その上部にはフラグメントが光り輝いていた。Jはそのフラグメントを手に取る。するとJの目の前が暗転し、頭の中に映像が直接流れ込んできた。

――またか……!これは仕様なのか……⁉

 高校の教室らしき部屋に、カーディガンを着崩した金髪のギャルと、制服をきっちり眼鏡をかけ前髪が目にかかった地味子がこちらを見ている。どうやらノートパソコンの画面を覗き見て、こちらはカメラを通して二人を見ているようだ。こちらから2人見ているとギャルが話し始めた。

「ウチ的にはさぁ。ここもうちょっと長いほうがカワイイと思うんだけどぉ……?」

それに反論するかのように地味子が口を開く。

「私は正直どっちでもいい。でもここを長くするなら逆にこっちを短くした方がいいと思うその方が可愛い。」

「あ!いいじゃん!やっぱり○○天才っしょー!」

地味子はギャルことは反対方向をぷいっと向き耳を赤くして言う。

「褒められるのは慣れてない。ちょっと照れる……」

「えー!何々可愛いんですけどー!○○―!」

ギャル子が地味子の頬を指でぷにぷにと触る。

地味子がふたたびこちらを向きマウスをカチカチと触りキーボードをカタカタと触る。

「私は可愛くなくていい。この子がちゃんと出来てくれれば……」

「うまくいくってー!○○はネガティブすぎー!イイこと考えればいいこと起こるってー!……」

ここでゆっくりと目の前が暗転していき、気づくと秘密基地の山頂に戻っていた。

――バグか何かで映像記録が保存されていたのか?ヌル、何か心当たりはないか?

――え、何?なんの心当たり?

――今の映像についてだが

――映像?何言ってるの?ゲームのし過ぎで幻覚でも見始めた?

――この世界に入れられたのは強制なんですがね⁉

――少なくともその映像記録っていうのが私は何か分からないわ。おそらく私に対してプロテクトがかかっているみたい。

――何のために。まぁいいや、おそらくフラグメントと紐づけされてるから今後も見るハメになりそうだ。とるときは気を付ければいいさ。

Jは昇降機に向かって落下と崖つかまりを交互に行って移動し、タラサを呼び二人で乗り込む。そのまま昇降機が下に到着し、Jとタラサはそのまま外に出た。

――あれ?今回はしないの?『ランニング』。

――ああ、山のふもとに来るとイベントが起こる。

先行するJをタラサが呼び止めた。

「J!ちょっと待って!いいものがあるんだ!」

タラサはドールハウスから落果遺物の球体を取り出して地面に投げた。

球体は中心部分がへこみドーナツ状に広がって地面にフラフープ状に輪っかが出来上がる。その輪っかから円柱状に緑色の発光粒子が噴出するように空中に粒子が散布される。

「この輪の中に入ってみてよ。」

Jは言われるがまま輪の中に入る。すると視界が一瞬で秘密基地の内部、ラボに直結した。そこではカバリオがロケットを弄っている。

Jは輪っかから出るとすぐに輪っかの中にタラサが出現した。

「へへーん!どう?名付けて『ワープホール!』転移系の落下遺物があればそれを改造して作れるようになるよ。落ちてたら見つけてね。輪っかに入った後に設置した場所を思い浮かべればそこにワープ出来るようになるから!アタシ3つしか持ってないから、つまり後1個しかないから大事に使ってね。」

カバリオがこちらに気づき声をかける。

「やあ、お早いご帰還だね。これからもちょくちょく帰ってくるならロケットのパーツになりそうなものを持って帰ってくるといい。私に出来る範囲でロケットの制作を進めておくよ。」

「おじさんありがとー!」

Jはドールハウスのカルトゥムの壺から秘密基地下の空洞にいたサイバークロプスのコアと熱剣をカバリオに見せた。

「これは良い素材ですね。ロケットのパーツにぜひとも利用したいものです。譲ってくれませんか?」

『ああ』

『ダメだ』

Jは1つ目の選択肢を選んだ。

――ここで『ダメだ』って見せびらかすだけ見せびらかした嫌な奴になるわね。

「ありがとう。今後もパーツになりそうなものがあったら持ってきてください。」

Jは踵を返しワープホールに移動する。

「おじさんまたねー。」

 Jとタラサはワープホールに向かい、ワープホールに入る。Jが昇降機のワープホールを思い浮かべると景色が一変し昇降機前のワープホールに移動した。

 Jは昇降機に近づき、タラサを昇降機外側の岸壁に待機させ、昇降機を起動して途中で落果、タラサと昇降機、岸壁の3角形の中心に落ちるように落下し、空中をローリングし続け、タラサに『行くぞ』と命令した次の瞬間。溜めた力がばねのようにはじき出されJの体が高速で移動し始めた。

フタロイ村と秘密基地を結んだ線と垂直方向の北に向かって進み始める。道なりに沿って直立スライドした人影が旅人や行商人の横を通り過ぎていく。


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