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第20話 無限生成バグ

「えへへっ!どう、カバリオおじさん!J!私は探索の足手まといにはならないよ!」

「そうみたいだね。Jさん、どうでしょうか?タラサと一緒に遺跡についてやってくださいませんか?」

『ああ』

「ありがとうございます。いいかい、タラサ、その銃があるとはいえ危険だと思ったらすぐに逃げて帰ってくるんだよ。」

「おじさん。心配いらないわ。アタシいつもそうしてるもん。」

「じゃあJ!遺跡は昇降機を降りて北東の方だからね。行きましょ!」

タラサがついてくるようになった。タラサとともに秘密基地から外に出て昇降機に乗る。

するとタラサが話しかけてきた。

「私のこの銃「ルイナグレネード」の弾には限りがあるから、道中で弾に出来る素材があったら採取してね。『爆砕弾』は『バクレツキノコ』、『氷冷弾』は『ヒヤッコの実』から作ることが出来るよ。詳しくはカルトゥムに聞いてね。」

 ここで調合のチュートリアルが入る。メニュー画面で作りたいものを選ぶと、素材と作成方法が出て、いくつ作るかの選択肢が出る。Jの手元には、今はお試し用に『バクレツキノコ』と『ヒヤッコの実』、が6つずつ『触手カズラ』が15個あり、Jは『バクレツキノコ』と『触手カズラ』を選ぶと『合成』ボタンを押した。するとメニュー画面上で『爆砕弾(伝)』が出来上がった。

――これはどこに収納されてるの?

――今後アイテムはカルトゥムの壺の中に自動で入って整理されるようになる。

――そうなのね。弾は全部で出来るのは……15発?ずいぶん少ないわね。敵がうじゃうじゃいるんでしょう?

――いや、これで十分だ。道中で採取できるが、ほとんど採取することはない。

Jとタラサが昇降機で一番下まで降りると、乗った状態でふたたび昇降機内のレバーを上げ昇降機を上昇させる。入り口のシャッターが閉まる前にローリングでシャッターの前に移動し、メニュー画面を開き『バクレツキノコ』と『触手カズラ』を合成し、『爆砕弾(伝)』を5つ作る。が、そのタイミングでシャッターが閉まり合成は行われず、Jはシャッターが閉まるコリジョンに挟まれ押し出され、タラサだけが再び昇降機で上へ昇っていく。Jはメニュー画面上でカルトゥムの壺に『バクレツキノコ』と『触手カズラ』を1つずつ残して残りをすべて預け、メニュー画面を閉じ昇降機外側のレバーを下ろす。すると先ほどまで上昇していた昇降機が今度は下降し始め、タラサがJのところへ到着した。タラサは文句を口にする。

「ひどいじゃないか!アタシ一人残して置いていくなんて!」

『すまなかった。』

『ここで待機してくれ。』

 Jはタラサを昇降機の外側に待機させると再び昇降機に乗りこみ、内側のレバーを上げる。昇降機は上昇の為にシャッターが閉まるが、Jは再びローリングでシャッターに挟まれる位置に移動し合成メニューを開き『合成』ボタンを押した。シャッターのコリジョンに挟まれ押し出される。すると手元には5発の『爆砕弾(伝)』が現れ、なんと1つずつの素材から5発の弾丸が合成されたいた。しかも合成元となった『バクレツキノコ』と『触手カズラ』はそのまま使用されていない。

――どういうこと?本来ならキノコとカズラを1つずつ合成すると弾が1発出来るってチュートリアルにあるけど、これは1つずつの素材から5発の弾を作ってそれで何も素材を消費していないなんて。

――これが『無限弾生成バグ』だ。弾の合成処理を別の処理、今回はメニューを閉じると同時にシャッターで押し出されるっていう処理で強制上書きして、システムに弾をちゃんと生成されたって誤認させるところがミソなんだ。その後に消費されるアイテムをすべて預けた状態で今度は最小の数で行うことで、直前に成功した合成の処理をそのまま行わせるっていうグリッチだな。これを繰り返せばほんの数分で数十発の弾を用意できる。

 Jは言った通り、数分間昇降機に乗って押し出されという奇行を数十回繰り返し『爆砕弾(伝)』、『触手弾(伝)』をそれぞれ100発以上集めた。

――特にこの触手珠は対象の動きを封じることが出来るから重宝する。

――『氷冷弾』は?

ストーリー上だと3発もあれば十分だから普通に素材使って弾を作る。

 タラサはその奇行をただ黙って見ているのだった。

――バグ技にはNPCは反応しないんだ。

――みたいね。もし反応してたらこんな変態と一緒に行動したくないわ。

――ごもっともだと思います。

そしてJは昇降機を利用した『ウォールトワイスランニング』を利用し山のふもとに沿って北東へ移動を始めた。

道中、狭い平原を抜け、森に入る。少し傾斜のある坂をスライド移動しながらタラサが話す。

「この森の中に遺跡があるんだけどね、奥に見える入り口までがモンスターの拠点になってるの。反対側から入ろうとしたんだけどそっちは逆に野党の拠点になってて、どっちからも入れないのよ。そこで潜入するか一網打尽にするかでJの手を借りたいってワケ。」

スライド移動しているJにつかず離れず追い付きながらタラサは再び話を続ける。

「アタシの武器はどうしても使うときに音がなっちゃうから潜入には向いてないんだよね。どういうルートで遺跡まで到達するかはJに任せるよ。」

タラサの話が終わるとほぼ同時に、モンスター、『ゴブリン』が縄張りとしている遺跡の前あたりまで来た。Jはそこでもひときわ高く生えている木に激突してスライド移動を停止する。タラサは木をぽんぽんと叩き。

「この木にのぼれば遺跡の入り口まで見えるよ」と登るように促した。が、Jはそのまま遺跡方面まで堂々と歩を進める。タラサが後をついてくる。すでにJは拠点と遺跡の構造は頭の中に入っている。ここは途中までステルス状態で移動して戦いやすい場所まで来たら敵をせん滅するのが最も効率がいいとJは知っていた。ステルス状態のまま遺跡の扉の前まで行けるが、扉があくまでの時間と音でゴブリンが気づいてやってきてしまうためだ。

 ゴブリンが拠点にしている縄張りは、タラサが『遺跡』と言っている石の扉の前に広がっており、ツリーハウス上に木の上に小屋や足場を組んで、それが複数の木々を橋渡しして繋がっており、地面部分には、遺跡の残骸と思わしき石壁に補強する形で板が打ち付けられているようで、木の上から攻略するか、地面を這うように上からの視線に気を付けながら移動するかを選ばされるようなマップ構造をしている。

Jはツリーハウスが掛けられている足場に登り、樹上ルートで攻略を開始した。


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