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第17話 タラサとカルトゥム

『タラサに協力したい。』

「私自身、タラサがこのまま一人でロケットを完成させられるとは思ってもいません。そしてロケットを完成させなければタラサの人生は止まったままでしょう。いいでしょう。ロケット制作の協力と引き換えならばタラサも協力してくれるでしょう。」

カバリオは立ち上がるとコートを羽織り、Jに向かって外に出るように促した。

「Jさん、タラサのもとへ向かいましょう。場所はお分かりですね?」

――ここからようやく操作パートだ。

――ムービーゲー

『ここで待ってくれ』

「分かりました。」

Jは家の扉を開き、扉とは反対側のところにカバリオを立たせた。

――あー……

 Jはカバリオに向かってテーブルを押し込み、カバリオと壁と空間にテーブルの上からジャンプし、空中に漂う。その間に壁に向かって回避行動を連続して行い、壁を抜けて押し出される。押し出されたJは走りの速度の2倍のスピードで村の入り口方向に直立で移動し始めた。

――ウォールトワイスランニングね。

Jの視点ではカバリオは見えないが、追従するNPCは、プレイヤーから一定距離離れるとその距離まで高速スライド移動するはずだ。

――どうだヌル。カバリオはついてきているか?

――ええ、くっついてきたり離れたりしているわ。

 さながら追いかけっこだ。パンイチスキンヘッドと眼鏡のおじさんの混沌とした高速追いかけっこは山のふもとの昇降機まで続き、そのまま昇降機に乗り込み停止した。

Jは昇降機を起動して山頂へ登る。山頂へ到着するとカバリオはタラサが住んでいる秘密基地の玄関まで歩いていき、玄関横のスイッチをポチッと押した。

するとカバリオ横から台がせりあがってきてカバリオの顔の高さにモニターのような板が出てきて、そこにゴーグルを掛けた少女、タラサの姿が映し出された。タラサはゴーグルを外して手を振ってくる。

「あ、カバリオおじさん!にゃっほー♪今日は何しにきたのー?」

「やあタラサ。今日はタラサに紹介したい人がいるんだ。中に入れてくれないかな?」

「紹介?誰だろ誰だろ?おじさんの紹介なら悪い人じゃないよね。いいよ。入れてあげる!」

秘密基地のドアが開きカバリオが中に入っていく。

「Jさん、こちらへどうぞ。」

「Jさんっていうんだー。私タラサ・ティール!ちょっとリビングで待っててね。すぐ行くからー!」

Jがモニターの前に行くより早くモニター台が締まってしまった。Jはカバリオの後に続き秘密基地内に入っていく。通路を進み左手に見える部屋に入る。そこはカバリオの回想で映し出されたものと同じリビングだった。ただ、そのリビングよりは機械や落果遺物で散らかっており、とても整理整頓された清潔な空間とは言い難かった。

ウィイイインという機械音とともにリビングの奥の床が割れ、舌から昇降台がせりあがってくる。その台にはタラサがお茶を載せたお盆を持って立っていた。

「ねーカバリオおじさん聞いてよー。さっきようやく第一魔法速度超えたと思ったんだけど燃焼時間の計算間違えて爆発しちゃってさー。」

タラサはカバリオを見て喋りながら近づいてくる。タラサはふともう一人人影があることに気づきそちらへ視線を移すと……!

「ギャー!さっきの変態自称遺物野郎ー!」

「変態自称遺物野郎……?J君……君は言ったい何をしたんだい……?」

「いやいやいやいや!おじさん!現在進行形でこの姿!どう見ても変態でしょ!」

「タラサ、人を見かけで判断してはいけないよ。この人はこの姿が正装なんだと思う。」

「えー……おじさん。マジかー……。」

――ひどい言われようね。

――パンツ一丁だとこういう反応になる。ちゃんと服を着ていると別の会話になるんだけど、そっちの方が平均テキスト量が多いからパンツ一丁の方が早く進むんだ。

――平均テキスト量?一定じゃないの?

――AIがその時々の状況によってセリフを変えるから会話が変動するんだ。服、天候、キャラの性格、その時の気分によって変わるから同じシナリオは2つとないゲームだ。

――RTAも運ゲーなのね。

――それでもパンイチ状態とかである程度セリフ内容をコントロールできる。それに服をなにも着ないほうがゲームの処理も軽くなるからな。

――そのための半裸。

――タラサが仲間になったらこいつも下着にさせるけどな。

――通報していい?

――やめてくださいお願いします。

「この人の名前は「J」。タラサ、君のロケットづくりに協力したいと申し出てくれたんだ。一人ではできない作業もあるだろう?きっと役に立ってくれるはずだ。」

「そうね……確かにそう……でもねおじさん。私だって一人じゃないもん!おいで、カルトゥム!」

タラサはそう呼びかけると部屋の奥から2等身の羊の人形が浮遊して近づいてくる。

体部分はデフォルメされた人間のようで、頭がやや体より大きい。全長は30センチメートルほどで、黒を基調としたゴシックロリータな服を着てその服装に似合わない古風な壺を背中に背負って、しっぽをふりふりさせている。

カルトゥムと呼ばれたその人形は口を開きタラサに向かって話し始めた。

「何かしら。ご主人様。あたしまだ仕事終わってないのだメェ。」

「その仕事は一時中断。このJって人についていって落果遺物の収集に行ってね。リストは転送しておくから。よろしく。」

「ご主人様は人形遣いが荒いメェ。けどまぁ承知したメェ。そこの人間、ついてくるメェ。いいもんなかったらちょっと遠出するから覚悟しろメェ。」

カルトゥムはそういうと玄関まで移動しそこで待機した。

カバリオはカルトゥムを見て驚愕した。

「これは驚いた。タラサ、いつの間にこんなものを……?」

タラサは腰にぶら下げたバックパックから四角い箱を取り出し対角線上に4分割した。それを机に長方形の頂点になるように配置する。

「起動。」

タラサが右手をその長方形に沿って左から右にスライドするとその長方形の上部の空間にアイビスが組み立てていた人形が映し出された。その映像をアイビスは右から左にスライドして人形が切り替わっていく。スライド差せるにしたがってどんどん形が洗練されていくようだった。

「お母さんが遺してくれた人形を私なりにアップデートしてみたの。一人で出来ることに限界を感じちゃってね。」

「すごいじゃないか。」

「えへへ……褒められると照れるよぉ。でも人は多いほうがいいね。J……?手伝ってくれるの?」

『ああ、俺もロケットを完成させたい』

「ありがとう!カルトゥムに今必要な素材を聞いてね。大体山のふもとに落ちていると思うから。」

――カバリオは手伝ってくれないの?

――俺もそう思う。

「Jさん。それではよろしく頼みますね。私はここでタラサの手伝いをしておきます。」

Jは秘密基地の外に出て自由行動に移る。ここから道に落ちている落果遺物を収集アイテムとして拾うことが出来るようになる。

カルトゥムがJの前で先行して昇降機に誘導する。Jは昇降機内に入りレバーを下ろしシャッターが閉じる前に外に出た。

――何やってるの?

――昇降機は降りるならこっちのほうが早い。

降り始めた昇降機の屋根部分Jはローリングで着地し、そこに落ちていた落果遺物を回収した。回収するとすぐに昇降機隣の崖に向かってローリングし、壁面に沿って落下を始める。

――これじゃ落下ダメージで死んじゃう

――問題ない

 するとJは壁面の出っ張りに手をかけ一時停止する。すぐに手を放しふたたび落下し始める。さらに下に向かってハンマーを振り下ろし空中下攻撃で加速する。すぐにそれをガードモーションで解除しふたたび崖につかまる。そしてすぐに手を放す。これを数度繰り返しあっという間に崖下へ到達した。

「アンタすごい降り方するのメェ。ボクは浮いてるからいいけどメェ。」

 ――落ちている落果遺物の場所は決まっている。今後必要なものも含めて手に入れておく。

Jはガラクタの山の方に走っていき、明るく輪郭が光っているものを手に取る。

「それいい感じだメェ。やつを集めるメェ。拾ったやつはここに入れるメェ。」

カルトゥムは背負っている壺を取り外しJに渡した。こぶし大程のその壺に拾った落果遺物を近づけると、落果遺物は光となってその壺の中に入っていった。

「圧縮壺だメェ。この中にならものがたくさん入るのだメェ。」

Jは圧縮壺を手に入れた。


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