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第16話 両親の過去

Jの目の前が暗転し、その後次第に明るくなっていく。別の家のリビングにと思わしき所に少年少女が3人、複数の落下遺物を囲んで話をしていた。

リビングと言ってもガラクタを組み合わせたあばら家のような部屋で、雰囲気がどことなくタラサの研究所に近かった。

「おい見ろよ!カバリオ!山のふもとにもくっつきそうなの落ちてたぞ!」

とげとげ頭の少年は、おかっぱ頭の少年に向かって拾ってきた落果遺物を見せる。カバリオと呼ばれた少年は自分の足元から別の落下遺物を拾い上げとげとげ頭の少年に説明した。

「オロルこっちも見てくれ。昨日君が持ってきた落果遺物をばらしてみたら中にこんな結晶があったんだ。多分これが魔力を蓄えてて、そこから伸びるこの導線が媒体に魔力を送ってるんだと思う。」

カバリオは持ってきた落果遺物の中を指で指し紐状の物体を指でなぞりながら語る。それを見たオロルと呼ばれた少年は目を輝かせ、驚嘆の声をかける。

「さっすがカバリオだぜ!オレがやったらてんでバラバラになってもとに戻せなくなっちまうからな!」

「解体するのは簡単だよ。丁寧に順序だててやるのがいいのさ。それより難しいのは……」

「にぃちゃん!にぃちゃん!出来た!うごくお人形さん!」

2人のもと女の子が駆け寄ってくる。少女の手には高さ30センチほどのウサギのぬいぐるみが抱えられており、女の子はそれを机の上に置くと、人形に向かって話しかけた。

「こっちがオロル!こっちがにいちゃんのカバリオ!ねえウサーヤ!私の名前は?」

女の子は人形に尋ねる。二人の少年は興味深そうにその光景を見ている。

「アイビス。あなたの名前はアイビス。」

 人形が立ち上がり、アイビスと呼ばれた女の子を手で指しながら答える。

少年二人が「おおっ」と驚嘆の声をあげる。

アイビスはムフーっと自慢げに鼻をならす。

「前に音が鳴るらっかいぶつがあったでしょ?それとこのどうせん?をつなげてうごけー!って思いながらけっしょうを握ってみたの。」

「それで動かせるのか……今度オレにもおしえてくれアイビス!」

「いいよ!オロルはもっといっぱいらっかいぶつ集めてきてね!私には重くて運べないもん!」

「おう!イイ感じのやつ集めてきてやるよ!」

「僕も組み立てられるようにならないとな……」

僕たち3人はいつも仲良しでした。オロルは収集、僕は解体、アイビスは組み立てが得意でした。オロルは村の入り口に行き倒れていたところを、アイビスが見つけて家に一緒に住むように両親に説得したのです。だけどそれは許されませんでした。オロルは町に入れて貰えなかったのです。この村は昔このあたりで戦があり、そこの負けた陣営が集まって出来た村で新しいもの、人に排他的な住民が多かったんです。それは子供と言えども例外ではありませんでした。しかしそのいざいざは子供には縁遠い話でした。私達3人はすぐに仲良くなり、廃材や周囲に散らばる落果遺物をばらし、村から離れたところ、山の頂に秘密基地を作りました。

 秘密基地のリビングにて3人が会話している。手元には落果遺物が複数解体されていた。

「オロルはどうしてフタロイの村に来たの?」

アイビスは純粋な瞳でオロルに尋ねる。その手元では次々と落果遺物が組みあがっていく。

「物心ついたときから旅をして暮らしてたんだ。行商人の世話になったり、羊飼いと一緒に羊の世話をしてたり、旅人と一緒に旅してたりしたんだ。」

「両親はいないのかい?」

「ああ、最初の行商人が親代わりだったな。フタロイの村で薄着で凍えていたところを拾われたらしい。その頃の記憶はほとんどないがな。」

――ちなみにオロルも主人公と同じ落果遺人だ。

――またネタバレをくらってしまったわ

「オロルって名前はその行商人が?」

「ああ、俺を見つけたときに近くにその名前が書かれていたらしい。よし、アイビス、見てくれ!俺も出来たぞ!」

オロルはアイビスに向かって組み立てた落果遺物を見せる。オロルが手をかざすとヴォンッと音がして空中に3Dの画面が表示される。そこにはアイビスが今組みたたている落果遺物の映像だ。

「あれ?これ今アイビスがやってるやつじゃないか?」

「本当だ!すごい!中までよく見えるね!ちょうどここどうなってるか分からなかったんだ!」

「アイビス、ここを繋げてみてごらん。」

カバリオが3Dを見ながらアイビスに指示を出す。

「うん!にーちゃん!あれ?部品が足りないみたい。」

「これだろ?」

オロルはガラクタの山から細かいパーツを出しアイビスに手渡した。

アイビスはそれを手元の落下遺物にはめ込んだ。

「すごい!よく分かったね!」

「オレも作りたいからな。」

 私たちはお互いに得意分野を教え合い3人で落果遺物の研究やそれを応用した開発を行っていました。やがて時が経ち私たちが大人になったころ、オロルとアイビスは結ばれました。しかし、村の大人たちはそれを快く思っていませんでした。アイビスは村で暮らすことを拒否され、オロルとともに山頂の基地にて暮らすことになったのです。

場面は変わりそれから数年後、3人が子供の頃より巨大になった秘密基地の前にロケットのようなものが組みあがって、その前に3人の大人たちがチェック作業をしている。

華奢な体で胸を張り、その後部にある巨大な落果遺物を手を広げ指し示しその女性は声をあげた!その女性に向かってカメラのようなものを向け、片手には赤ん坊を抱きかかえている今より若いカバリオの姿があった。

「苦節5年……長いようで短かったけれど……ようやく完成したわ!」

女性の前には無精ひげを生やしたオールバックの聡明そうな男性がカバリオが持ってきた落果遺物を開いて3D画像を開いて見始めた。

「アイビス、問題ないぞ。設計図通りだ。」

「この落果遺物を解析して作り上げたこの『ドリルロケット』。これは天井をぶち破って樹上世界まで到達できる!そこには私たちの知らない落果「遺物」ではないお宝があるに違いないわ!オロル!準備はいい?」

オールバックの男性はオロルだった。

「ああ、アイビス。乗り込もう。カバリオ。タラサをよろしく頼む。」

アイビスはタラサと呼ばれた赤ん坊に近づき、額にキスをした。

それを見守るカバリオが2人に声をかける。

「二人とも、生きて帰って来いよ」

「もちろんだ。いいもの持って帰ってくるぜ。」

「じゃあねお兄ちゃん。タラサをお願い。」

 それが2人との最後の会話でした。2人を乗せたロケットは天井に潜り込んで進んでいき、きっと天井を貫通してくれたことでしょう。

場面が切り替わり視界がJの視点へ移動していく。リビングにはJと現在のカバリオが向かい合って座っているシーンに戻って来た。カバリオが言葉を続ける。

「2人が旅立って数年の後、天井から私たちの作ったロケットが村の中心に向かって落下し、巨大なクレーターを作りました。幸い怪我人はいませんでしたが、村に被害をもたらした両親の娘としてタラサは迫害の対象となってしまいました。そしてロケットにはオロルとアイビスは乗っていませんでした。私は残されたタラサの親代わりとなって彼女を育てたのですが、血は争えないようです。彼女もまたロケットを作り樹上世界を目指そうと開発に勤しんでいます。そんな彼女は村人から変人呼ばわりされ、私以外の人間に心を開きません。」


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