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第111話 少年王ヴォルクルプス

「Jよ。余の半身よ。これから貴様には樹上世界を滅ぼす準備をしてもらう。まずは手始めに樹上世界を覆う魔法障壁を破壊せねばならん。余の力をもってしても、ティグリスとシンミャを送り込むことが限界なのでな。貴様は単騎にて樹上世界に潜入、魔法障壁を構成する魔力源を順次破壊せよ。そのためのバックアップはティグリスとシンミャが行う。」

――これモンスタードームに大量のモンスターを入れてそれを樹上世界で展開すれば一網打尽に出来ない?

――その発想はなかった。ヌル、君は天才か?

――ふふふっ超高性能AIと呼んで頂戴。

ヌルは褒められて上機嫌だ。

「J様。モンスターハウスから呼び出せるモンスターは3匹までとなっております。それが魔力限界なのです。お気をつけて。」

――……。

――ヌルさん?

――いい、ほっておいて。

ヌルは不貞腐れてしまった。

「J様。僕たちがJ様のサポートを行うね。これを使って。」

Jは禍々しい装飾が施されたピアスを受け取り、それを耳に着ける。

「これで私たちの声がJ様に届くようにります。サポートはお任せください。」

「Jよ。まずは下層世界にいる魔人族の少女を仲間に引き入れるのだ。そのものは魔物を使役することが出来るモンスターテイマー。我が魔王軍の中でも類を見ない特性を持っておる。」

『はっ!このJ、レーヴェリオン様のご期待是非お答えいたしましょう。』

「J様、そこのワープホールで下層世界の端まで移動できます。また、これらを渡しておきましょう。このワープホールでいつでもここに帰ってくることが出来ます。」

「ではゆけい!Jよ!世界を滅ぼしてくるのだ!……むっ!?

突如、ヴォルクルプスの首が発光する。そして光の粒子となって消えていった。

ティグリスは唖然としてレーヴェリオンに問う。

「レーヴェリオン陛下……!今のは一体……!?」

「ヴォルクルプスめ……!蘇生の禁術を使いおったか……!」

『どういうことだ?』

レーヴェリオンはティグリスとシンミャに問う。

「ティグリス、シンミャよ。貴様らが倒したというJの仲間共の魔力回路は止まっておったか?」

「いえ……しかし、心の臓は確かに停止しておりました。」

「ヴォルクルプスが此度行った魔法。それは対象の魔力回路に干渉して傷を癒し蘇らせる。禁忌の魔法。使えるのはヴォルクルプスのみで、ヴォルクルプス自身も大きな代償を負う。それを行うほどの人間と言うわけか……面白い!Jよ!」

『はっ!』

「今ひとたびお主の手で仲間を打ち倒すがよい!」

『仰せのままに!』

「で……ではレーヴェリオン陛下。我らが殺害したと思ったJ様の仲間たちは……!」

「ああ、生きておる。」

~樹上世界ヴォルクルプスの城王の間、先刻~

「こら!おきんか!おきろ!ウィレナよ!」

ウィレナの頭と杖でこつこつと叩かれる。

「ん……私は……?」

そうだ。私はJに殴られて……。そして……

「あれ?生きてる……?」

「そうだ!ウィレナよ!きさまはいきておる!」

小さな幼子の声が聞こえる。幼い声だが、どことなく威厳に満ちた声だ。

 ウィレナは目を開けると、そこには7歳くらいの少年の姿があった。少年はヴォルクルプスの杖を持ってウィレナの頭を小突いていた。

ウィレナはそっと顔を上げその場に座り込む。周囲を見渡すと、自身が倒れていたところに血だまりが出来ており、向こう側にはマウガンとロージナが倒れている。ウィレナはとっさに立ち上がりロージナとロージナに駆け寄る。それを見た少年がウィレナに話しかける。

「あんしんせい。ふたりともぶじじゃ。われのきんじゅつでしのふちよりよみがえったのだ。」

ウィレナは涙目になりながら少年に話しかける。

「君は……?」

少年は杖の柄でこつんと床をたたき返事をする。

「われはヴォルクルプスだ。しぼうしたそなたらをたすけるために、われのにくたいをまりょくげんにそなたらをよみがえらせたのだ。」

「ヴォルクルプス……様……?」

「嘘のような本当の話ですわ。お姉さま。」

シスネがウィレナの背後から近づいてくる。

「お父様の言う通り、お父様はお姉さまたちを助けるためにその身を捧げました。故に、このような姿になってしまったのです。」

「そうじゃ。ウィレナよ。そなたたちにしんでもらってはこまるのだ。どうしてもたのみたいことがある。まだ、このふたりはおきそうにない。まずはおぬしにはなそう。」

少年ヴォルクルプスは杖の柄でこつんと床を叩くと、ふわりと体が宙に浮き、玉座へとふわふわと移動していき、ちょこんと玉座に座った。シスネはウィレナのそばに近寄り、まだ足取りがおぼつかないウィレナが立とうとする補助に回った。ヴォルクルプスは足をぷらぷらさせながら階段下のウィレナに対して話しかける。

「ウィレナよ。そなたたちはげんざい、わがアニマリアこうこくにおけるさいこうせんりょくである。われはへいおんをのぞむ。ゆえに、へいしにはさいていげんのぶじゅつとまほうしかおしえておらん。」

「ですが、私達を連れ去った兵士たちはとても屈強でした。それはなぜですか?」

「それはわれがへいしたちをまほうできょうかしているだけにすぎん。また、われがこのすがたにおいては、そのまほうもながつづきはせん。ゆえに、いまそなたたちはこのくにでもっともつよい3にんとなってしまったのだ。」

「では、私達に頼み事とは?」

「レーヴェリオンはJをせんのうし、じゅじょうせかいのわれのバリアをとっぱし、しんりゃくせんそうをしかけようとかくさくしておる。Jがそのバリアをむこうかするまでのあいだに、レーヴェリオンをだはしてそのけいかくをとんざさせてほしいのだ。」

「私たちが……レーヴェリオンを……」

「これはアニマリアこうこくをだいひょうしてのたのみである。どうかわがくにをすくってほしい。」

ヴォルクルプスは頭を下げる。

「そんな!頭をお上げになってください。ヴォルクルプス様!」

「お姉さま、私からもお願い致します。どうか、この国を救ってくださいませ。」

「シスネも!頭をあげて頂戴!ヴォルクルプス様。その願い確かに聞き受けました。私は既に一度死んでヴォルクルプス様に蘇らせてもらった身。その願いを無碍にする理由などこれっぽっちもありません。かつてのレーヴェリオンの娘、ウィレナとして、必ずや、魔王レーヴェリオンを打ち倒して見せます!」

ウィレナは右手を左胸に当てティーア皇国の敬礼のポーズをとる。

「ん……んん……ウィレナ……ちゃん……?」

「むぅ……ウィレナ……様……?」

「お姉様!ロージナ様とマウガン様がお目覚めになられましたわ!」

「ありがとう、シスネ。2人には私から話すわ。きっと理解してくれるはず……」

そして、ウィレナは起きたロージナとマウガンに事情を説明した。

「なるほど……そういうことですか。このマウガン、生涯ウィレナ様にお仕えすると誓った身。どこまでもついてゆきましょうぞ。」

「私もいいよ。乗り掛かった舟だもん。ウィレナちゃんと一緒に行くよ。」

「ありがとう……二人とも。」

「よかろう。では3にんでまおうじょうへむかうがよい。どうちゅうだれでもなかまにしてかまわん。Jがここにとうたつするまえにレーヴェリオンをうちたおすのだ!」

~地下世界魔王城王の間~

「では、行ってらっしゃいませ。J様。」

Jは王の間の玉座の手前にあるワープホールに入っていく。そして出てきたところは、下層世界の森の中だった。シンミャから通信が入る。

「J様。そこから北に向かった先に村がございます。そこの村の洞窟の祠にはモンスターテイマーが捕らえられているとか。お仲間にすればきっとお役に立つでしょう。」

Jは隆起した森の中を進んでいく。小高い崖からは木々がうねりくねって生えており、これまでの森に比べ移動が難しい。そして道中にゴブリンの拠点があるが、Jはこれの中央を突っ切っていく。ゴブリンに追われるようにJは森を直進して走っていくが、ゴブリンは木々や隆起した足場に引っかかって追ってこれない。そうしてモンスターを無視して突っ走っていくと、中央奥に巨大な洋館が佇むさびれた村が見えてきた。


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