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第103話 デシモ村のフラグメント

~デシモ村~

Jは村の裏手にある森から村の中に入る。村はジマリ村と同じくらいの発展度合いで、木組みの民家が点在しており、奥には牛や羊の放牧場が広がっている。村人はJの姿を奇異の目で見ているが、Jは意に介さない。Jは村の中央に立っている巨大なもみの木を目指す。その頂上にはフラグメントが浮遊していた。

 Jは前兆20メートルはあろうもみの木に登っていく。

――大丈夫これ?先端に行くほどたわんで落ちたりしない?

――そこは大丈夫。先端までカチカチに硬いから。

Jは樫の木の枝に手をかける。そしてまるではしごでも登るかのようにすいすいと木の枝に足を掛け手を架け上がっていく。

――すごいわね。まるで猿みたい。

――それは褒めてるって思っていいんだよね?

――ええ、褒めているわ。

 そうしてもみの木の頂きに向かい先端に足を掛ける。そして手を伸ばしてフラグメントを掴んだ。すると、Jの目の前が明転する。

「これが沖兎さんと亀井さんが作っているAIなのですかな?」

もはや見慣れた学校の教室でゴツイガタイの大男と美形のイケメンがこちらを覗き見る。

「うん、そだよー大熊君、猫車君。何か話しかけて見てよ。」

「こんにちは、ボクは猫車虚空。こっちは友達の大熊火山。よろしくね。」

「虚空に火山。よろしく。私はヘルツ。よろしく。」

「ヘルツちゃんは何か好きなことはあるのかな?」

「好きなこと……今はいろんなことを知ることに興味がある。それが好きと言うこと?」

「そうだね。自分から進んで何かをしたくなるのはきっと好きってことじゃないかな。」

「そうなの。私は知ることが好きなのか。」

「うむ……何を話しかければいいものか……」

「火山。わかるわ。私も話しかけられるまでどうすればいいのか分からないもの。」

「困った……」

「困ったわね……」

火山は腕を組み悩む。

その光景を見て月音と日葉がクスクスと笑う。

「どうしたの?」

「いえ、ごめんなさい。二人の挙動が瓜二つだったから。」

どうやらヌルも腕を組んでいたようだ。

「うーん」

「うむむむ……」

Jの目の前が明転する。

――基本的にこの映像記録は日記のような感じかな。常に録画しておいて、それを誰かが切り張りしてフラグメントに落とし込んだって感じか。

――誰かって誰?

――それは分からない。多分この月音って娘だろうけどな。このまま集めていけばわかるだろうさ。

Jはもみの木をするすると降りていく。そして地面に着地し、村の入り口まで全力ダッシュで移動する。そこには、馬貸屋があり、Jは店主にお金を渡すと馬にまたがり村を後にする。Jは来た道の森の中を飛ぶように駆けていく。

――やっぱり馬は早いわね。

――バグ移動より早いからな。

森の中を縦横無尽に駆け巡りJは森を脱し、ジマリ村の入り口まで来る。

Jは王都への道を道なりに進む。道中、魔物に襲われている行商人や、それを助けようとする王都の兵士達を横目に見ながら先へ進む。

――王都は世界の中心にあるからな。どの道も王都に繋がってる。

――ローマみたいね。というか助けないの?

――助けてもちょっとの金とアイテムしかくれないからな。

――世知辛いわね。

――そろそろラトロ監獄だけど、シェロは助けないのね?

――ああ、シェロはすばしっこいからな。敵に回すと厄介だ。

――敵視点だとそうなるのね。

――次のフラグメントはラトロ監獄にある。たくさん檻が積み重なっていただろ?あれの中にあるんだ。

――1週目の時は取らなかったのはなぜ?

――中が迷路みたいに入り組んでるからな。それの奥の方にあるから面倒だった。

ヌルとの思考会話をしているとラトロ監獄にたどり着いた。

Jは堂々とラトロ監獄の入口へ歩を進める。

「ここから先ラトロ監獄。囚人たちの居場所だ。一般人は立ち去るがいい。」

Jは警備兵と刑務官に足止めを喰らう。だがJはお構いなしにハンマーを担ぎ、振り上げ。

「ぐぎゃぁっ!」

警備兵と刑務官に向かってハンマーの棘部分を振り下ろした。2人とも体に風穴が複数空いてラトロ監獄の門に激突し絶命する。叫び声を聞きつけた看守室の警備兵が何事かとJに近づいてくるが、Jは再びハンマーをその警備兵にお見舞いし殺害する。Jはその後からやって来た警備兵のベルトについている監獄の鍵を引きちぎり、それを持って監獄の門の鍵を開けた。そして中に堂々と入る。

――やってることは強盗殺人ね。

――まぁ魔族ルートに行くには仕方ないからな。犯罪ムーブかまして邪ゲージ貯めるから。

 Jはラトロ監獄の中に入ると、向かって正面の、積み上げられた鋼鉄の檻の隙間に入っていく。その姿を見た囚人達からちゃちが入る。

「おいおいおいおい!何だァあの変態は!?新しい刑務官サマかァ!?」

「パンイチのくせにいいケツしてんなァ!ちょっとこっち来いよ!俺とあそぼうぜェ!」

「あたらしい刑務官さまならだしておくれよぉ。俺は無実なんだよぉ!げへへへっ。」

――うるさいわね。

――鉄格子おきに黙らせることできるけど、

――やって頂戴。

――仕方ないなぁ。

Jは鉄格子に手をかけ、茶化を入れる囚人の鉄格子に向かってハンマーを下段に構え、思い切り鉄格子を殴りつけた。すると、ハンマーは鉄格子をすり抜け、茶化していた囚人の一人に直撃し、鉄格子の反対側へ吹き飛び、そのまま動かなくなった。

――いますり抜けたけど?

――スピードのある行動だとたまにコリジョンをすり抜けるんだ。ゆっくりなら大丈夫なんだけどな。

Jの周囲の茶化している囚人たちがしんと静まり返った。

――へいへーい。悪者びびってるー。

ヌルはノリノリである。Jは囚人たちの視線を浴びながら、鉄格子の檻の迷路を進む。はじめは直線だったが、正面の鉄格子は行き止まりとなる。ビビった囚人が上を指さしている。Jは鉄格子をよじ登り、少し進んで先を下りた。そして左右のT字路を右に進み、階段状になっている鉄格子のパズルを上に登っていき、鉄格子同士が近くなっている隙間を体を横にして進んでいく。

――ここ嫌いなんだよな。

その時、鉄格子の隙間からぬっと手が伸びてきてJを拘束する。Jは体を暴れさせながらもがいて手を振り払い、何とか隙間を脱出した。隙間から脱出すると同時に振り返り、ハンマーを勢いよく振り抜き鉄格子の中の囚人を叩き飛ばす。

――ざまぁみろ

――感情的になるなんて珍しいわね。

――狭いところ苦手なんだ。

Jはその後も鉄格子の迷路を縦横無尽に進んでいき、下から3段目ほどの最奥の鉄格子のなかにフラグメントが浮遊している。

Jはその鉄格子の鍵を、刑務官から奪った鍵で開け、中のフラグメントに触った。

 Jの目の前が明転する。

場所は月音の自室。そこで月音は食い入るようにこちらを覗いている。そして手元のマウスをカチカチとクリックし、独り言を呟く。

「197834……197834……197834……お願い……あって……!」

そしてマウスホイールをカリカリとドラッグする。そしてしばらく経った後……

「あった……!あったよ!ヘルツ!」

「よかったわね。月音。」

「日葉はどうだったんだろう……。電話してみよう……!」

月音はスマホを取り出し、通話ボタンを押す。スピーカーモードに切り替えてヌルにも聞こえるようにした。

「お願い。日葉も受かってて……!」

「もしもし?日葉?私受かってた!日葉は……?」

「うんそれがね……」

「まさか……」

「うん、そのまさか。」

「ごめんなさい。私自分が受かってて舞い上がっちゃって……」

「まさか私が受かるとは思わなかったよー!」

「本当に?本当に日葉も受かってたの!?」

「そだよー。現国がちょっと自信なかったけどラッキーだったねー。やったね!これで月音と一緒に同じ大学に行けるよ!」

「やった……やったやった……!」

月音は両手で小さく拍手する。

「にひひー!これで一緒にヘルツ開発できるね!」

Jの目の前が明転する。

――以前見た二人の研究室はきっとここの大学だろう。

――はやく続きが見たいわね。

――そうだな。先を急ごう。

Jはフラグメントのあった鉄格子から離れ、元来た道を引き返す。狭い通路の箇所は、Jによって吹き飛ばされた囚人がまだ倒れ続けているため、手を絡めてこない。

――死んだの?

――死んでるはず。

Jは鉄格子の迷路を脱出し、ラトロ監獄を出る。その時、ふと振り向きラトロ監獄の上の方を見ると、シェロと眼があった。Jはすぐに踵を返しラトロ監獄を脱出する。Jは入り口に停めてある馬にまたがり先街道へと進む。街道へ出て右手に、煉瓦で舗装された道路を進んでいく。


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