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第81話 最高じゃねぇか、その姿

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 ジュリーは頭を下げ続けている俺の顔を無理やり上げた後、何も言わずに剣を抜いた。俺を殺すのか、というくらいに鬼の形相をしていたが、もちろん違った。


 俺の後ろに立っていたゴブリンを剣で倒そうとしていた。が、俺のさっき投げたハンマーによってゴブリンはあっけなく倒された。


「あ……お前やっぱすげぇわ。改めて驚いたよ」とジュリーは目が飛び出しそうな程に驚いていた。ずっと後ろで彼は「やべぇ」とか「本当に驚いてるわ」とかしか言っていない。それも含めてジュリーらしいと言えばジュリーらしいが。


「なら俺からも言うことがある。ウィドウは息を引き取った」とタイガが俺に教えてくれた。


 やはり彼も亡くなったか、俺に生命エネルギーを全て渡すとか言っていたし、既に息が切れていてずっと胸を押えて苦しんでいた。


 やはり、なんて言葉を使うと予測していたように思われるかもしれないし、冷酷だと思われるかもしれないが、何となく運命を分かっていた。彼は先が長くないんだ……と。


 それでも止めることはできなかった。どんなに力があろうとも、人の死を止めることはできない。モンスターなら討伐できても、生命エネルギーの増減なんて……まだ仕組みがよく分からないんだからできっこない。


 だからウィドウの意志を引き継いで、魔王を討伐する。彼の祖父も魔王に殺されたんだ、彼と祖父の仇は俺たちが討ってやる。


 ……さて、今からは魔王の討伐に専念しよう。ここは彼ら3人とアイに任せた。まだシータもジャラも他の治安兵士のメンバーも生きていると思われる。だから彼らに任しておいても大丈夫だろう。


 俺は奴の心臓を貫けるような武器を作ろう。さっきから力の石のお陰で、様々な武器を作れるようになった。だから今なら巨大な魔王の心臓を貫けるような新たな武器が作れる気がする。


 だが今はモンスターが周りに多くて、集中して作ることができない。早めに作って早めに終わらせたいが……仕方ない。それにモンスターと戦いながらの方が様々な素材を手に入れられるし、そっちの方が良い選択なのかもしれないな。


 さっきはゴブリンの棍棒を奪ってハンマーにしたり、ドラゴンの翼をへし折って自身が飛べるようになったりと様々な変化が起こった。それなら近くにいるモンスター全員で試してみてもいいな。


 ということで、まずは近くにいるスケルトンから試してみる。スケルトンは名前通り、骨のみで形成されているモンスター。どこで呼吸しているかも分からないが、とりあえず奴の頭蓋骨をハンマーでかち割って討伐する。


 スケルトンの腕部分の骨を空に掲げると、それは徐々に白い槍へと変化していった。何でも貫けそうな長く鋭い槍、ただこれで魔王を倒すことはできない。並大抵のモンスターなら倒せそうだが。この槍はタイガに渡して、また挑戦してみる。


 次はたまたま近くにいたオークで試してみよう。オークはゴブリンに似ているが、体が大きいモンスター。巨人程ではないが、人間よりは遥かに大きい存在で初心者の時は倒すのに苦労した。今は軽々と倒せる、剣を奴の顔面に向かって刺し込み、ハンマーで弱点を思いっきり叩くのみ。


 オークから奪ったのは……何もなかった。オークに生えているツノや皮膚を空に掲げたが何も起こらなかったんだ。これは骨折り損、どうせ討伐するからいいんだけども。


 と、ここで脳内にいるフィンから新たな情報が入ってきた。


「視界が晴れたお陰で分かったんだ。モンスター達は全部、魔王の口から召喚されている。4時の方向を見てみて」


 彼の言う通りに、俺からして右斜め後ろの方を見てみると……その方角からは大量のドラゴンと大量の巨人が向かって来ていた。間違いない、向こうは魔王の口がある方面でもあり、心臓がある方面でもある。大量のモンスターが出入りできるような穴があるとしたら……口か鼻だろうな。


 それなら、口を閉じさせればこのモンスターの無限地獄は収まるということか。鼻でも口でもいい、魔王にある巨大な穴さえ埋めれば、モンスターの攻撃は収まる。けれども、どうすればいいんだ。眼球でさえこんな巨大なのに、モンスターの発生する穴にわざわざ飛び込みに行くのも危険だ。


 だがこのまま放っておいても、いつしか耐えられなくてこっちが死ぬ。無限に湧き続けるモンスターと、物資も体力も限られている人間。どっちが先に滅ぶかなんて、考えなくても分かる。


 だからこそ魔王を討伐すべきなんだけどもな、倒す術が未だに見つからないんだ。弱点も分かっていて能力も持っているのに、肝心の倒す術が分からない。ここからどう動いたら魔王を討伐できるのかが1番肝心なのに。


 ……けれども、考えているだけなのも無駄。行動に移すのが先。とりあえず近くにいるスケルトンを討伐して槍に変化させた後、その槍で近くにいるモンスター達を蹴散らしていった。それで手に入れた素材で新たな武器を作っては、魔王に効くかどうかを判断する。それの繰り返しだ。


 巨人を倒し、その巨大な腕を空に掲げると何故か俺の体が巨大になった。それも巨人と同じ大きさくらいに。ハンマーも剣も巨大化したため、モンスターをより大量に討伐することが可能になった。


 下にいるタイガたちに危害が及ばないように離れてからハンマーを使用した。地面にいるゴブリンやスケルトンといった小さなモンスターは踏み潰し、オークは蹴飛ばす。巨人はハンマーで殴って討伐。飛んできたドラゴンも、その巨大なハンマーと剣により一撃で倒せるようになった。


「最高じゃねぇか、その姿!」とジュリーが遠くから野次を入れてくれる。最高の仲間を持ったものだ、と再確認。


 しかし正直な所、逃げ惑うモンスターを踏み潰すなんて行為はしたくない。だが抵抗しないと逆に倒されてしまうから仕方なくやっている。同じ大きさの巨人と戦うにはまだいいが、ゴブリンとかスケルトンは子供くらいの大きさだ。


 ……おっと、精神が不安定になると石に乗っ取られるかもしれないんだった。ついつい思考が暗くなってしまう。一旦、彼らにも倒せないような巨大なモンスターを相手にしよう。


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