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第78話 内面から変えてみよう

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 幸い、俺がゴブリンに気絶させられる時と同じ服装でここに来ていた。だから盾もあれば、ウィドウから貰った5つの腕輪も手元にある。当然、力の石の付いた剣も近くに落ちていた。


 俺はそれを拾い上げ、どうにか自分の体の中に取り込めないか試してみる。ガルによれば「これを取り込めば力の石は安定する」とのこと。


 力の石の欠片を持っていて不安定だったから操られていたのであって、完全に安定すれば操られることは無くなるらしい。じゃあ、取り込んで安定させるしかないよな。


 とは言っても、安定させるやり方なんて俺は知らない。剣から力の石を無理やり奪うか……と考えて剣に付いている石をどうにか引っ張って取ろうとしても、中々取ることはできない。強い何かで接着されているのか、2人がかりで試してもできなかった。


 剣から石を手放せないことが分かった。なら、石単体をどうにか飲み込んでみるか。剣に付いている石をかじってみるも、もちろん固くて噛み切れやしない。体の中に入れればいいと思っていたが違うようでガルに止められた。


「変な方法で石を摂取すれば、また乗っ取られるぞ!」とガルは止めようとしてくるが、彼は正規の方法を知っているのだろうか。知らないのに俺のやり方を「変な方法」と決めつけているのか。まぁ、変な方法であるのに変わりはないが。


 では、変な方法以外の正規の方法って何だろう。知っていたらもう教えてくれるはずだから、多分知らないんだろう。じゃあ、どうやって力の石を手に入れるのが正解なんだろう。


 力の石の賢者・アキラが力の石を6等分して散らばらせた。だから彼に聞いてみたら全てが分かる……とは思うが、過去に戻る術が存在しない。まず時の遡り方を知らない、知っているのはウィドウとアイとアキラのみ。


 そういえば時の石が時を止めているとか言っていたな。どう意味だ、時を止めるって。文字通り、時の進みを止めるということか?それなら外の世界の生物は皆動きを止めているのか。呼吸も何もせず、ただ直立不動のままになって。


 しかしいつまで時が止まっているかなんて分からない。俺も故意に時を止めた訳じゃないから、勝手に時の進みが再開される可能性もある。だから急いでどうにかして、力の石を安定させなければ。


 ……だからどうすればいいんだ。


 変わった方法で力の石を摂取すれば、効力を失う可能性もあるし不安定になったまま暴走する可能性だってある。良い方に暴走すればまだいいが、戦闘を放棄したり生存している人間を殺したりするかもしれない。力の石には秘められた恐ろしい力があるから。


「自分と向き合えば?」


 遠くとも近くとも言えない距離から女性の声がした。この声、もちろん聞き覚えのある声だ。ティナでもなくジャラでもなく……サタナだ。サタナもこの空間に来ることができたのか、よかった。しかし姿は見えない、ガルは目の前にいるのにサタナの姿は見えないのは何故だ。


 で、自分と向き合う……どうやって? やり方は当たり前だが知っている。過去の自分の行いを振り返って、嘘偽りない自分と話してみる。そうすれば向き合ったと言えるはずだが……それを今やれというのか。


「外から摂取しようとも上手くいかない。なら内面から変えてみよう」


 この声は……フィンか。サタナと同様姿は見えないが、声だけは聞き取ることができる。内面を変えてみよう、急に大雑把な命令になったな。「左にゴブリンがいるから避けて」といった、もっと抽象的な命令が欲しい。


「俺たちは力の石を持っていない。あるのは魂だけ、だからマイトが石を安定させるんだ」


 この声は……ソールか。ソールもサタナやフィン同様に姿は見えないが、声はキチンと聞き取ることができる。彼らは石を持っておらず、逆に俺に全ての石が集中しているとすると……割合的には俺が90%で、剣に10%の石が含まれていることになる。


 今まで体の中に10%の石しか含まれていなかったんだから、流石に80%も増えれば体も耐えきれなくなって暴走してしまう。これに更に10%を加えてかつ安定させるのか。自分と向き合えばいいらしいが、どうやって自分と向き合うんだ。


「過去を振り返るだけさ、魔王をどうやって倒したい?」とフィンの声が聞こえる。彼らは石を安定させる方法を知っているような口調だ。まぁ、彼らのやり方に従おう。俺には何も分からないから。


 それで魔王をどうやって倒したいか。それは手に持っている剣で奴の心臓を貫いてやりたい。


「それはそうと、剣とは長い付き合いだろ。剣でモンスターをどのように倒していった?」と次はソールの声が聞こえる。


 どのように……って覚えていないことの方が多いな。ゴブリンやスケルトンやオークといった普通のモンスターってのは何百体と倒してきた。だからもう覚えているとしたら、マーナガルムや巨人といった上級モンスターくらい。


 と、ここで周りに突っ立っていたモンスターのうち、上級モンスターだけが俺に向かって突進してきた。ガルには目もくれずに、巨人もマーナガルムもハロークもリザードも。バジリスクは白と黒で合体し、巨大化している。


 これは、前倒したのと同じように倒せということなのか。どうしてそんな遠回りなことをさせるんだ。まぁいい、これで終わるのなら終わらせてやろう。


 まずは巨人からだ。突進してきた巨人の足を切り、すぐさま背後に回る。そこから高く飛び跳ね、重力のままに背中を切りつけて討伐する。


 次はハローク。盾を左に持って、木を登るように盾と剣を奴の体に突き刺しながら這い上がっていく。奴の胸辺りに到着したら、首に剣を刺し更にそれを足で蹴って深く入れ込む。剣が赤く光り出したら討伐が完了する。


 次にバジリスク、こいつは厄介だったな。2体が合体して覚醒したバジリスクだ、首に向かって剣を投げ、刺さったのを確認したらまた手に戻す。自動で戻ってきた剣をまた奴の首に向かって投げる。これを何回か繰り返していくと、奴は力の石に耐えられずに爆発する。


 その間にリザード、こいつは剣を使わずに倒した記憶がある。バジリスクに刺さった剣が戻ってくる間に高く飛び跳ね、リザードの背後を取る。バジリスクに向かって剣を投げた後、リザードの首を羽交い締めにしながら、剣が戻ってきたらまだ投げる。何十秒か経つとリザードは口から白い泡を吹いて死ぬ。


 次は……マーナガルムだ。


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