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第68話 俺が追放された真の理由

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 ……どういうことだよ。


 魔王が地球並に大きくなって? 地球と同じくらいの大きさとなって? 地球を両手で包み込んでいる? 確かに空を突き破る程には大きかったが、遂に地球を超えてしまうとは思いもしなかった。


 疲れ切っているサタナが見ている魔王の視点をフィンに移して、そこから記憶を映し出すようにして間接的に壁に魔王の視点を映し出した。


「地球というちっぽけな世界は破壊し、もっと広い"宇宙"を征服する存在となる。儀式を終えてから破壊しよう、それまでに人間どもの慌て死ぬ様をじっくりと観察しておきたいな」


 魔王は余裕そうに外の世界でそんなことを言っている。地球を……破壊するとか言っていたな。地球を破壊されるなんてもちろん嫌だ。もしこの世界から出られたとしても帰る所が無くなっては困る。


 だから何としてでもこの世界から出たいのに……これといった手がかりが見つからない。今もなお急いで準備を進めているが、どこでどう手がかりが見つかるかなんて分からないから、闇雲に記憶を漁っていくしか方法はない。


 魔王の視点を一旦消去し、新たに俺自身の記憶を壁に映し出した。それは村長やティナと初めて出会った日のこと。俺がティナの姿をもう一度見たいとかそんな単純な理由じゃない。


 村長は昔から何かしら隠していた。俺がデリーシャから追放された理由。ティナの両親の死の真相。魔王の存在や、力の石や時の石の存在。更に俺の中に力の石が入っていることや、俺がウェール村に行くということ自体仕組まれていたのも、全て彼は知っていたのだ。


 だから俺と初めて会った時から見ていけば、何かしらヒントやそれに近いことを言っているのではないか、という考えである。それに4人は俺と村長の会話を見た事がない。俺の歩んできた道を共有しておくのも一つの手だろう。


 だけど少し急ぎめに。のんびりはしていられない。地球が奴に破壊されるその前に。


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「旅人か、用が無いなら帰れ。剣なんて物騒な物持ち歩くな」


 村長は俺に対して高圧的な態度で物を言ってくる。それは死ぬ直前まで変わらなかった。唯一、俺に剣を渡してきた時と結婚を許してくれた時は優しかったが、それ以外はずっと怒っているようにも見えた。


「二度は言わんぞ銀髪頭、帰れ」


 今の俺は桃色の髪をしている。それは彼に言われたから。「シャリアに入るのなら髪色を変えて誤魔化せばよい」と言うから、その通りにした。そういえば昔のうちは色が落ちるから少しずつ足していたが、今では足さなくとも桃色になっている……不思議だ。


「話は全て聞かせてもらった。パーティーの件は誰にも言わんが、お前に仕事を選ぶ権利は無い。これに入れ……パーティーから追放された本当の理由が知りたいのなら、やれ」


 村長は最初から俺が追放された理由を知っていた。何で教えてくれなかったのか、それは未だに分からない。今考えれば、ウェール村の立て直しを手伝ってほしかったのかもしれないな。しかし村長に人生を狂わされたと言っても過言ではない。


 で、特に手がかりは得られなかった。俺は壁に映るティナの動いている姿に感動するだけで、特に得られた物はなかった。ただ、昔の思い出が呼び起こされたくらい。


「村長と関わったもので、大きな出来事はいくつある?」とフィンに聞かれた。ここからはチマチマと全ての記憶を見てられないから、次々にどんどん記憶を見ていくことにしたようだ。


 大きな出来事、沢山あるな。


 時系列順に追っていくなら、ノーマッドを立て直したのにも関わらず「不合格」と言われた後、俺やノーマッドの正体がバレて追われた。それを全て解決させたら「合格」と言われ、ティナとの結婚を認めてくれた。剣を改めて受け取ったのもその時ら辺だったはず。


 そこからの関わりはあまり無かった。ランが生まれたこともあったし、彼が村の外で「仕事」と言ってどこかに行っていたから会うこと自体少なくなった。今思えばクロースの孫であるアイやウィドウに会っていたのかもしれないな。


 それでデリーシャが復活するという報せを受け、彼は「有り得ない、それが終わったら剣を持って教会に来い」と言って、どこかへ行った。追放された理由は今もずっと、彼の口からは教えてもらってない。


 偽物のデリーシャと戦闘になって怪我をして、ノーマッドメンバーと共に教会を訪れた時彼はいた。そして真実を自分の口から言わないまま、結界を破るために犠牲になった。


「なら、剣を改めて受け取った日を見よう。俺が渡した剣だ、彼がもう一度渡したということは何かしら意味があるはずだろ」というガルの提案により、俺は結婚式の夜に村長から剣を渡された日の記憶を壁に映し出した。


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「まずは結婚おめでとう、ティナを幸せにしてくれ」


 頑固で喜ぶといった感情が無いような村長から、祝福の言葉をかけられていたのだ。やはり孫娘に関わることだからか。


「ティナの両親は事故で死んだ。私はティナの親にはなれなかった。お前もなれない。でも夫にはなれる。お前が幸せにしていけ。お前も幸せになれ」


 ……結局、幸せにできたかなんて分からない。本人に聞いてみないと……ティナ、君は今どこにいるんだろう。もちろん生きているよな、呪文とかで命を助けられているはず。だって君は生きていなきゃいけない存在なんだから。


「ティナの両親の形見だ、それをティナではなく……お前に渡す。見たことある物だとは思うが、改めてだ」


 彼は長い箱を取り出し、机の上に置いていった。中身はもちろん知っている。俺がガルから受け取った、力の石の付いた剣。当時はそんなことなんて知らず、ティナの両親とガルが繋がっているのか……と疑問に思うだけだった。


「こんな物騒な物……ティナには持たせるな。お前が持って、世界を救え」


 あくまで今思えばの話だが、ハロークを討伐した時、この剣は不思議な挙動をしていた。ハロークの首から、自ら抜けて俺の元に落ちた。だからこの剣にも不思議な力が込められているって分かっていたはずなのに、あえてそれを無視していた。昔の自分はなんて----


「俺は老いぼれだ、今更世界は救えない。"いし"もなければ力もない。時間も残されていない。だからお前に託す」


 これで俺の記憶は終わった。ここからも会話は続いていくが、もう手がかりは無いと俺が判断したんだろう、無意識にだが勝手に切られてしまった。


「……彼が亡くなった日を見よう」


 ガルの新たな提案の通り、彼が結界を破るために亡くなった日、数時間前のことを思い出すことにした。今日の出来事なのに、昔あったことのように感じてしまう。偽物のデリーシャに襲われたのも、何もかも全て数時間前の出来事。


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