表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/100

第67話 両手で地球を包み込む

----------


 フィンは過去の俺の言動についての考えを1人で述べ始めた。


「もしかして、力の石が君を無意識に動かした?」と。


 力の石にそんな力があったのか。いや、"力の石"と言うからには不思議な力が込められているのは当たり前か。ただ、幼い人間を勝手に動かすような力は正直危険だ。人助けをしていたから良いものの、もし強盗を企んでいたらどうなっていたんだ。


「力の石にはとてつもない力が込められている。一気に4人分の石を取り込んだ魔王は、力に耐えられず封印体に戻った。あくまで僕の案だけど、力の石同士が引っ付こうとして……ソールを助けた?」


 そうか、俺が追放されたのと同じタイミングで魔王が封印体に戻っていた。だから俺が狙われることもなかったし、4人の犠牲だけで済んでいた。俺を取り込んでも無事なのは、月日が経って石の力に抗う別の力を身に付けてしまったのかもしないな。


 となると、勇敢な行動をしていた俺は……力の石同士がくっつくためにソールを無意識に助け、そこから仲良くしていたのか。力の石が無かったらソールを助けることも無かったし、ソールと出会うことも無かったということになる。


「なら、ソールの『好きな女の子を助けたい』っていう勇敢な行動も力の石由来?」と、魔王の視点を見るのに忙しくてあまり口を挟まなかったサタナが珍しく発言をした。


 確かにソールの行動も若干おかしくはあった。勇敢とはいえ、力もないのに「好きな女の子を助けたい」という理由だけで強盗団に立ち向かった。もちろんボコボコにされたが……これも力の石由来の思考だとすると繋がる。


 なら、なんで俺は力を発揮できていて、ソールは力を発揮できていなかったんだ。石が体内に入れられた時間も同じだろうし、歳も性別も同じ。元から力があったとか、ソールがひ弱な人間であったとかは関係あるのか?


 その時は力の石の付いた剣も使っていないから、割合は皆より少ない。皆は力の石の割合が20%ずつだが、俺と剣は10%ずつ。だから剣を譲ってもらえたのだが、その頃は触れたことすらない。1番割合が少ないのに力が発揮されていた……とは?


「この件は考えつつ、次の出来事を覗いてみよう。何か他に手がかりを」とフィンは俺を急かしてきた。操作方法は分かっているが、何せ記憶を他人に見られるのだ。もう少し慎重にしたいが、致し方ない。


 次の出来事は少し飛ばして、俺がガルから力の石の付いた剣を受け取った時のこと。これは覚えているが、その光景を一人称視点以外から見ることが出来るのは不思議な感覚だ。


 それも過去に遡った時はたった独りで全てを見てきたが、今は一緒に見る仲間がいる。ガルから受け取った場面を、ガルと一緒に見るなんてこれもまた不思議な気分だ。もう死んだと思っていた仲間とまた話せているのもな。


----------


「マイト、パーティーに入ってくれてありがとう。これは俺からのプレゼントだ、大事に使ってほしい」


 過去のガルから剣を手渡されるのを俺たちは黙って座ったまま見ている。今のガルは照れ臭そうにしているが、俺だって少し恥ずかしいんだ。過去の記憶を他人に見せるというのは。


 しかしこの時、過去の俺の目が薄らと赤く光っているのが見えた。ソールに習った通りに左手を上げてそれをグルグルと回してみると、目の前に映っている場面も少しだけ巻き戻されていく。


「----は俺からのプレゼントだ、大事に使ってほしい」


 ガルから剣を手渡された瞬間の、過去の俺の顔を皆ずっと見つめていた。それで……少しだけ赤く光ったのだ、俺の目が。ガルは持っていても赤く光らなかったらしい。だから俺だけなんだろう、力の石は俺にだけ別の不思議な力を与えている予感がする。


「ありがとう」


「何か分からないことがあったら俺かソールに聞いてくれ」


 こうして剣を手渡しする場面は終わった。これで俺と剣、または力の石に関しての出来事に、他の何らかの力が関わっていることが分かった。ガルにもソールにもフィンにもサタナにも無い、また別の力。


「次はウェール村を初めて訪れた時のことを映し出してほしい。今のうちにサタナは魔王の視点を、ガルは自身の記憶を小さく映し出してほしい」


 ソールは俺含めた3人に指示を出しつつ、何か端の方で自身の記憶を映し出していた。やはり俺に何らかの力がある、力の石とは別に。だから新発見が無いか、皆探し始めているんだ。魔王の視点を覗いているサタナを除いて。


「……助けてっ」


 その魔王の視点を覗いているサタナが、突然小さな声でそう言った。記憶を映し出す準備をしていたソールも俺もガルもすぐに彼女の所に駆け寄って心配したが、返ってくる言葉は「早く準備して」とだけだった。


 彼女は汗だくで息も切れ切れ、目は虚ろで声も枯れている様子。こんな短時間で一気に体がボロボロになるなんて。


 更にそんなことを言うサタナが逆に心配でその場に留まろうとしたが、彼女は止まっている俺を無理矢理立たせて準備に取り掛かるように言ってきた。そこまでされたなら仕方ない、準備を続けよう。


 でも、どうしてそんな声を上げたのか気になるから、準備を進めながら聞いてみた。幸いサタナの近くには俺の準備を手伝っていたフィンがいるから、最悪の事態には陥らないだろう。というか……何があったのか訳だけは教えてほしい。


「サタナ、何があったの?」


「魔王が世界を飲み込もうとしていた……だから早くしないと世界が!」


 彼女はパニックに陥っているのか、フィン肩を触れられてもジタバタと動いており手も震えている。それに……世界を飲み込もうとしていたって何だ?




「魔王が地球と同じくらい大きくなっていて、地球を両手で包み込んでいた……少し目を離した隙に」


----------

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ