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その足跡は少しずつに近づく


老人が死んでいた。

私がこの学校に来ていた間の約1時間の間にだ。不可能ではないにしろ手口が慣れすぎている。


相模家を襲撃した奴等か…?


だとしたら…。


考えるよりも先に体が動いた。


「四葉が狙われている…」


予想していなかったわけではない。

しかし、わざわざ目に見える場所で狙うことはないだろうと思っていたのだ。



一眼を掻い潜りながら校舎へ引き返し、見回ったがそれらしい人物は居ない…。

実験室、職員室などなど部屋は多くある。

隠れているのか…?


裏庭で各所につけた盗撮機を見ていると、放課後を知らせる鐘が鳴り響いた。

生徒が一堂に帰宅していく。


「正門前には警備の人間が立っているな…。」


結局それらしい人物は見つけることができず放課後を迎えてしまったが…。


それでは誰があの老人を…?

遺体を確認するため、小屋に戻ると老人の姿はなかった。


引き摺られたであろう跡もなく、小屋は何事もなかったかのように綺麗にされていたのだ。


怪しすぎるその有様に不快な気持ちがドロドロと込み上げてくる。


「魚の骨が刺さったような気分だ。」


四葉の下校を監視しつつ、先回りし家に帰り夕食を済ませると、四葉が言いづらそうに話しかけてきた。


「あ、あの…なんで今日は学校に…」


「『僕』は今日は仕事をしていたよ?どうしたんだね?」


「えと…あの…」


「他に何か?」


「く、クロ!は…その…『お兄さん』なの?『お姉さん』なの?……ですか?」


「『僕』は身体は女だけど、特に自分を男だとか女だとか考えたことはないよ。好きに思ってくれていい。」


「えと…えとえと……」


子供だから理解が追いついていないのか、子供の考えていることはわからないな。


「以上かい?」


「は、はい…あの…おやすみなさい」


「あぁ、おやすみ」


小骨の刺さったような不快感を残したまま1日が終わった。


翌日、老人の遺体は近くの河川敷で発見され、凶器は鈍器によるもの…


「と、よく聞いてもいないのに調べたな。」


「まぁまぁ。情報集めが俺の本職なわけだし」


「K、お前はなぜ私の周りで起きたことまで把握してるんだ」


「情報屋なもんで。お得意さんの周りは少しでも知っていて損はないだろう?」


「貴様くらいだ。私にそんな軽口を叩くのは。」


「まぁまぁ。んで?犯人はわかってるのか?」


「しらん。相模家襲撃の連中かと思ったがそれはないだろうし、四葉に危害がないなら気にすることはない。」


「ほぉ…。こりゃ驚いた。お前にも親心なんてのあったなんてな。」


「は?」


「俺ぁ、もしかして?とは思ってたんだよ。ペットも飼ったことない人間にゃわからんだろうけどな」


「ペットと四葉がなにか関係あるのか?」


「お前のそれは親心っつーよりか、愛着だな」


「家に置いて数日で愛着もクソもあるか。私は約束と依頼は死んでも守るんだよ。それがプロだからな。」


「それも師匠の受け売りかい?」


「なっ!ちがう!」


「へーへー、んじゃま、また連絡するわ」


「お前、いつか殺すからな」


「おぉ、こえぇ〜」









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