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「今日は宗方さんお休み?」

「良かったじゃん沙優奈、邪魔者居なくて」

「そうそう、堂々といけんじゃん」



斉藤の友達が俺の方をチラッと見ながら言う。



「そういう風に言うのはやめようよ」

「沙優奈甘すぎよあんたは! ここらでガツンと行かなきゃ」



山梨やまなし 環奈かんな、こいつも斉藤の友達でお節介な奴だ。 まぁ友達だからなんだろうけど。



「てか自分にも関係あるんだからガン無視はやめようよ新庄君」



ほら、こっち見ながら言うからそう来ると思った。 山梨をギロッと睨むと山梨も睨み返してきた。



「沙優奈、やっぱ新庄君苦手だわ私」

「寧ろ得意な沙優奈にビックリだよねぇ、顔はまぁ悪くないけどぶっちゃけ隠キャポジじゃん? いたッ! いたーい沙優奈ぁッ!!」

「そういうのもやめてよね! 新庄君困ってるじゃん」



藤岡は斉藤にデコピンをされたようだ、困ってるというか単にウザいだけ。 あ、そういう意味では困ってるな。



山梨と藤岡が自分たちの席に戻って行くと斉藤は俺の方を向いた。



「ごめんねあの2人、悪気はないと思うんだけど」

「別に気にしてない。 いろいろ言われるのはもう慣れてるし、隠キャだってのはホントだろうしな友達もいないし」

「新庄君、ここに新庄君の友達のつもりの私が居るけど?」

「うん?」

「あ…… いや、その…… 私の中ではもう新庄君は友達と言うより」

「言いたいことはわかったって、とりあえず落ち着け」



だんだん顔が赤くなってきて収拾が付かなくなりそうな斉藤を宥めると……



「そういえばこれ送るの忘れてた」

「ん?」



斉藤が見せたのはスマホ、俺と一緒に出掛けた記念にと写メを撮っていたのだ。 こんなことは絶対ないだろうなと少し前の俺なら思ってたけど俺が女子と写メを撮ろうとは。



「楽しかったね! 心なしか新庄君の表情も柔らかい気が」

「するか? この顔で」



写メに写る我ながらムスッとした顔を指差してそう言いうと斉藤はウンウンと首を振る。



「おいおい〜、お前ら見せつけてくれるじゃん。 てことは、え? ええ〜ッ!?」



木戸きど 雅人まさと、所謂お調子者キャラのウザい奴が絡んできた。 



「ずりぃよ新庄、俺斉藤のこといいなって思ってたのにどっか2人で行ってきたのかよ!?」

「はぁー…… 特に何も。 気のせいだ」

「ほんとか?」



俺にでなく斉藤に確認すると斉藤は俺に話を合わせて「うん」と頷いた。



「なぁーんだ、ッたくよぉー。 前から思ってたけど新庄みたいなのとなんでそんなに仲良いんだ? 弱味でも握られてんの?」

「そんなわけないじゃん、新庄君は木戸君が思ってるような人じゃないし」

「ちくしょー今は新庄が羨ましい…… 斉藤はクラス上位の顔してるしその上宗方とも…… ん? そういや宗方って誰かと付き合ってたよな、誰だっけ?」

「ああ、西君のこと? それはもうとっくに終わってるよ」



あー西の奴は宗方に利用されるだけされてポイされたっけ。 



「西でもいけんなら俺でもいけるんじゃね!?」

「あははは、どうだろ……」



そして宗方が居ないまま放課後になった。



結局あいつは休みか、クラスの連中も青葉が酒を煽ってそのまま休んだとは思うまい。



「新庄君! 待って」



駐輪場に来た時聴き覚えのある声で振り返るとやはり斉藤。



「ハァハァッ…… 」

「どうした息切らして」

「環奈と舞に追い出されちゃって。 新庄君のとこ行けばって」

「ったく、あいつらホントお節介だよなぁ」

「本当にね、でもたまには良いかなって」



「ふぅん」と言ってバイクを引きながら歩くと斉藤がついてくる。



「なんか用か?」

「あ…… ええと新庄君とお話ししながら帰りたい」

「へ?」



結局斉藤と話しながら帰って斉藤の家の前まで行ってそれからバイクで帰った…… のだが。



「は?」

「おかえりー! 遅いじゃないの世那君」

「お前帰ってなかったのか?」

「だからここにいるんでしょー? あ、お風呂借りたからね」



ストーブがついていて台所の方には近所のボロいスーパーの袋の中に食材……



「お前そのパジャマのまんまで行ったの?」

「そんなわけないでしょー、世那君の服ちょこっと借りただけ」

「は?」



見れば確かに俺の服を弄った形跡があった。 



「世那君ろくな服ないからさぁ〜、おまけにダボダボだし。 まぁそこは私の美貌で逆に可愛く見えるよね! もう脱いだけど」

「自分で言うなよ」

「だって昨日はせっかくサプライズで来てあげたのに鍵掛かってるんだもん、ムカついた」

「あんな時間になんの連絡もなしで来られてドアノブガチャガチャされたら恐怖でしかねぇよ。 灯油とか食材わざわざ買ってきたのかよ」

「そぉ! あら、もしかしてポイント高め?」

「いやいいから普通に帰って寝てろよとしか」



と、そんな俺を無視して青葉は料理を作り始めた。 「キッチン狭過ぎ」と「火力なさ過ぎ」と文句を垂れながら。



「はい出来たぁー!」

「ってチャーハンかよ」

「好きそうだなぁって思って。 火が弱いからどうなることかと思ったけど上手く出来たよ!」



まぁ実際チャーハンは好きだし。 お手軽に作れるしご飯余ったら消費出来て無駄が出ないし。



「どぉ?」

「美味しい、俺が作るより」

「でしょー? たーんとお食べ」



青葉が当たり前のように振る舞うしわざわざ買ってきてくれたもんは食べないとな。



「美味しい?」

「ああ、美味しいよ」

「へへぇーん」



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