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MAESTRO-K!  作者: RU
S1:赤いビルヂングと白い幽霊
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6.昼の賄い

 いくら開店休業みたいな店でも、一人で店番している時は、そうそう外出は出来ない。

 一応、戸締まりをしてから出掛けるのは "アリ" なのだが、その戸締まりが面倒だから、出掛けたくないってのもある。

 シノさんが居る時なら、店番を代わってもらったり、適当な賄いを出してもらったり出来るのだが、俺は家事能力が著しく低いので自炊は出来ない。

 だが、そんな俺の状況を考慮して、敬一クンはカフェの厨房にある冷蔵庫に、賄いを用意してくれるようになった。

 日によってシノさんが作った物が入ってる場合もあるが、昨晩の残り物のアレンジを、あのねぼすけのシノさんがやれるわけもないので、シノさんの作った物を敬一クンが昼食用に準備してくれてるんだろう。

 今日はラップに包まれたおにぎりがあったので、俺はそれをテラス席に持ち出して、ペットボトルのお茶を飲みながら、遅い昼食を食べ始めた。


 おにぎりがコンビニのおにぎりの二倍…か、それ以上のビッグサイズだ。

 なんでこんなにデカいんだろう? と思いながら食べ始めたら、中から半熟の煮タマゴが出てきた。

 サイズがビッグだったのは、中にタマゴが一個丸々入っていたからだ。

 白身に染みてるだし醤油の味が濃い目で、塩をまぶした白いご飯とのバランスが良く、半熟の黄身がトロッとしててすごく美味しい。

 敬一クンはココに来た当初、料理をしたことが無いと言ってたけど、美味しいもの大好きシノさんと暮らし始めたら、すぐにいろんな料理が作れるようになった。

 そもそも敬一クンも美味しいもの大好きらしく、シノさんがメシの支度をする時に、自分からコツをどんどん聞いている。

 俺も美味しいものは好きだが、じゃあ自分の料理レベルを上げて自炊で食べたいか? と問われると、ちょっと考えてしまう。

 経済的にゆとりがあるわけじゃないけど、でも俺はシノさんほど偏食でもないので、自分で失敗を繰り返してレベルを上げる手間を考えると、外食で済ませたほうが美味しいものにありつける可能性が高い。

 更に、今はメゾンで暮らしているおかげで、シノさんや敬一クンの料理の恩恵に預かれるし、未だインスタントラーメンしか作れなくても、生活に支障をきたさないのだ。

 もっとも、同じゼロスタートでも、敬一クンが料理に失敗したのを見たことが無いので、シノさんの言う「ケイちゃんはなんでも出来る」は、あながちシャレでも揶揄でもなくその通りだと思うし、俺だってあんなスキルがあるなら自炊をしたと思う。

 二個目のおにぎりには、おかかとチーズが入っていて、え、おにぎりにチーズ? って一瞬思ったけど、もぐもぐしてるとチーズが柔らかくなってきて、醤油鰹節ごはんにイイ感じに合う。

 シノさんはこーゆー料理は作らないと思うんだけど、敬一クンはレシピをどこで覚えてきたのかな…。

 そんなことを考えながら食べてるところへ、シノさんが帰ってきた。

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