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[第二章]#4 全部みんなのせいだ

 春日居先生の頭が潰れる最後の最後の瞬間。

 私の方を見て、確かに何かを言った気がした。


「おま……えが?」


 お前がって言った?

 私が、何だっていうの?


 瞬間、私の身体の先端の方から針で刺すような痛みとともに悪寒がぞわぞわと上がってくるのを感じた。

 

 まるで硫酸でできたナメクジが大量に身体の中に入り込み、指先から、足先からゾワゾワと上がってくるような感覚。


 ゆっくりと、確実に私の身体を蝕んでくる。


「い……あああああああああああああ!!!」


 私の脳内に、システムボイスのような音声が響いてくる


 春日居和也の【裏スキル】が発動。

 スキル名、地獄に道連れ|ゴートゥーヘル

 条件:死に際に目を見た人物が対象

 効果:同等程度の痛みをもって、「死」の道連れにすることが可能。


「あああああ!? 春日居! あの、クソ担任があああ!!」


 何で私が!

 何で私があああ!

 指先を上がってきた痛みは、速度を圧力を増しながらどんどんと這い上がってくる。

 もう肘と、下半身は腰のあたりまで来ている。

 直感として解る。

 これが心臓まで達したら私は、死ぬ。


 私の能力、あれは、他人の痛みを引き受ける。

 それじゃ意味がない。

 私の痛みを、死ぬ前に、この痛みを……!


「い、委員長? 何が?」

「あああああ! もう! くそが! 誰か他にもいるんでしょ!? この能力は、春日居が、最後に私に死の道ずれにって……! うああああ! いたいたい! どうして!!」

「か、春日居が?」

「誰か、能力を止めるとか、私の代わりにこの痛みをおおおおおあああああ!」


 肩口。

 横隔膜のあたり。


「全部、みんなのせいだ! 全部みんなのせいだあああ!!!」


 そして、心臓。


 少しだけ、IFの私を想像してみる。

 いい子でも何でもなくて、普通の子。

 普通に好きな人とかできて、妹と一緒にバレンタインにはチョコを作ったりする。

 少し失敗したチョコケーキを指差しながら、あのときみっちゃんが適当な分量にしたから〜なんて笑い合う。

 告白は失敗。

 でも、二人で失敗作のチョコケーキを食べながら、次の瞬間には笑ってる。

「美味しくないね」

「そのせいかな? じゃないし」

 

 ありえなかった日常の。

 ありえたはずの光景。

 私が壊し続けてきた、日常。

 ドアの向こうの、もうずっと顔も見ていない妹に対して、私は最後に、言いたかった。


「ごめんねぇ」


  【裏スキル】

 責任転嫁は私の癖|オルタナティブ・ワークス 発動。

 効果:現時点では見ることができない

 条件:能力者が指定した

 対象:指定した対象→「みんな」


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