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[第二章]#3 胃酸が逆流する

 ――そうして、しばらくの時間が経った。

 私は今、春日居先生の後ろで弓を構え、もうすぐ来る化け物を迎え撃つための前線に待機している。

 嫌だ、逃げ出したい。

なんでこんなことに。


春日居がいつもとは違ったイキイキとした表情でこちらを見る。


「委員長。大丈夫か?」

 

 ちっとも大丈夫じゃない。そんなんだから学校の教師なんてなにも相談もできない存在だと思われるんだ。

 

「……はい」


 気持ちとは裏腹に同意の言葉を投げかける。


「甲斐田、和久津も、俺の指示を聞けばいいからな」

「はい! 先生」

「わ、わかってます……」


 生徒に対する絶対指示。

 なんて、教師らしい、大人らしい能力なんだろう。

 こちらの気持ちなんて御構い無し。

 お前たちに理解する必要はない。

 いいからいうことを聞け。

 虫酸が走るような能力だ。

 そんな人に、私の能力を開示することなんて、絶対にしたくない。


「……くるぞっ!」


 森の奥から、足音が近づいてくる。


「いいか! 敵が来るぞ!作戦の通りやるぞ!!」

「はい!」(嫌だ! 逃げ出したい!)


 ――ガサ!

 

 ついに化け物の姿が見えた。その瞬間だった。


「――え! え⁉️」


 私は驚きで声を上げた。


 あれは、並河さんだ。先ほど頭から食べられたばかりの、彼女だ。


「な、並河!?」 

「GIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」


 並河さんは小脇に抱えていた男子生徒の頭を投げつける。

 和久津くんの手前でトマトのように弾けた。

 その刹那、大きく飛翔し、一気に間合いを詰めてきた。

 春日居先生の上に並河さんだったものが飛び乗る。


 私はすぐにその場から離れようとした、その時だった。


「指示の通りに。化け物を突き刺せ! 殴殺しろ! 射抜いてしまえ!!!!!」


 春日居先生の強制的な指示が飛ぶ。

 どうして!?

 自己犠牲?

 違う、これは、本人も望んでいるものではない!


 そして、それは私の行動も、そうだった。

 

「う、うわああああああああ!!!」

 甲斐田くんが大きな声を上げながら剣を振り下ろす。

「GIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 並河だったクラスメイトと共に、腹部が貫かれる。

「あ、あああああああああ!!!」


 私は弓を引き、春日居先生の、

 手を、

 足を、

 昆虫標本のように撃ち抜いた。

 

 ――胃酸が逆流するのを感じる。


「ひ、ひいいいいいいいいいいい!」


 そして和久津くんが声をあげると、大きなハンマーを頭部へと振り下ろした。


 ――グシャ。


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