ウェットグレイトードの討伐
こんにちは、紫煙です。今年も一年が終わりますね。皆さんは、今年一年どんな一年でしたか?
来年も良い一年になりますように!
No99
ウェットグレイトードの討伐
朝早くにウェットグレイトードの生息地に向かった俺とマダラは、半日ほどの時間をかけてようやく辿り着いた。
ちなみに、マダラの駆ける速度で半日と言ったらそれなりの距離になる。しかも、駆けるのは街道ではなく、森の中なのでルインマスの待ちからはずいぶんと離れた場所だ。
この湿地帯にはウェットグレイトードが生息していて、時おり冒険者達が討伐しに来るがその頻度は少ない為に、成長した個体が多く棲む。
「さっそく、マダラには狩りを始めてもらうぞ。俺は足場の良い場所で討伐をするからマダラは好きに動いて狩ってくれ。ただし、影に保管するだけでまだ糧にはするなよ」
『分かっておる、素材が必要なのじゃろ』
「それもあるが今回は魔石も回収する。ちょっと金を稼いどかないとな」
街中のメイン通りで買い食いばかりするから、金が無くなってきたんだよな....今回の討伐依頼は狩り放題だからな。誰にも迷惑はかからないだろうし....
「じゃあ、狩るぞぉー!!」
俺は周囲が湿地帯をいいことに火魔法を使う。
「炎柱葬送っ!」
ウェットグレイトードが炎の柱に体を焼かれていく。火力には注意しながら魔法を放つ。
ウェットグレイトードはそれなりに体長が大きいがマダラほどじゃない。
素早さがある訳じゃないし、魔法が使える魔物でもない。ただカエルらしく、跳躍力と二本の舌が特徴の卑しいカエルなだけだ。
ある程度の距離を保ち、ウェットグレイトードの舌攻撃に注意を払えばなんてことはない。
「氷針葬送っ!」
ウェットグレイトードの下から氷の針が何本も現れ、ウェットグレイトードを貫いていく。そんな風に、火魔法と氷魔法を使いウェットグレイトードを討伐していった。
たまにマダラの方を見ると、黒い無数の狼に似た動物がウェットグレイトードに襲いかかっていたり、マダラがウェットグレイトードの手足を食いちぎっていたりする姿を見た。
あの黒い狼に似た無数の動物は、マダラの能力の一つ【犬狼羅刹】で生み出した犬と狼の姿を象ったものだとすぐにわかった。
【犬狼羅刹】は、要所の砦で見せた能力だし、犬狼の一匹は常に俺の影に潜んでいて万が一の護衛に使われているからな。
そして、数時間もすれば湿地帯にいたウェットグレイトードは狩り尽くされた。
『セイジロウ、すでにここら一帯にはもうおらんの。まだ、狩りたいのならば探しだして狩ってくるが?』
「いや、それなりに狩ったはすだ。今回はこれで良いと思う。とりあえず、ウェットグレイトードの死体は全部入れたよな?」
『すでにワレの影に入っておるぞ』
「なら、ここから離れよう。近くに小川が流れてる場所があるからそこて素材の採取をする」
俺はマダラに跨がり地図に書いてある場所を指示して移動してもらった。
移動から少しして目的の場所が見つかり、素材採取がしやすい広くなってる所にウェットグレイトードを影から出してもらった。
「うへぇっ!! 改めて見ると気持ち悪いな....こりゃ女性が嫌がるわけだ」
『じゃがゲテモノほど旨いと聞いた事があるぞ。少し食してみたい気がするのぅ』
「えっ?.....コレ食べるの?」
『昔はカエルを食したりする人間はいたぞ? 地域によっては虫を食したりする事もあるのじゃ』
まぁ聞いたことはあるけど.....えぇー....マジかぁ、でもカエルは淡白な味で食感は鳥のササミ肉に似てるとも聞いた事があるし.....
「興味は無くはないけど、今は素材を取ってしまおう。その後に考えようか.....舌と討伐証明を切り取ったウェットグレイトードは影に入れて糧にしていいよ。ただ魔石だけは今回残してくれ。冒険者ギルドで売却するから」
俺はマダラに指示して討伐ウェットグレイトードを次々に影から出してもらい処理していく。そして、マダラの影に入れて糧としてもらった。
流れ作業的に処理をして陽暮れ頃にすべての処理が終わった。その後は、小川を少し上り夜営できる場所を見つけ夜営準備を始めた。
「じゃ、ちょっとウェットグレイトードを食べてみるか。マダラは、料理に要望はあるか? 焼きかスープぐらいしか出来ないけど....」
『そこはセイジロウにまかせよう。ワレは旨ければ何でもよいぞ』
それが一番困るんだよな....なんでも良いけど本当になんでもは嫌なんだよね....
よくさぁ、夕食何食べたいとか、今日は何するとか女子に質問するじゃん。すると、何でもいいよーって返事が返ってくるじゃん。アレと一緒だよな....
「なら、勝手に決めるから文句言うなよ」
とりあえず、先に釘を差しておくが....あまり意味無いんだよな、これが....
さて、まずは一番無難な足のモモ肉を解体して.....適度に切り分けて串に刺す。塩と胡椒をまぶして焼く。次は、鍋に水を入れて各野菜をブツ切りにして煮込んでいく。味付けは塩と胡椒と干し肉で....
あとは、カモンネーズとタルタルソース、スッパの実の梅肉とスッパの葉を出して....うん、焼いた匂いは普通だな。そろそろ、鍋スープも煮えてきたからモモ肉を入れて軽く味を整えて.....はい、完成。
「マダラ、出来たぞー! とりあえず、簡単な串焼き肉と鍋スープな! あとは、カモンネーズとタルタルソース、スッパの実の梅肉とスッパの葉だ。言ってくれれば付けてあげるから」
『ふむ、では食してみるか』
「いただきまーす....パクリっ.....」
まず串焼き肉は普通だった。やっぱり、淡白な味で特に旨くも不味くもないな....なら、カモンネーズを付けて...パクリッ.....
うん、まだこっちの方が食べれるけど...タルタルソースはどうかな.....パクリっ....
ちょっとクドイかな? 口の中が油っぽくなるな。スープで流すか.....
スープはいけるねっ! コレに味噌があれば結構旨いんじゃないか?......あっ、トマトスープとか魚介で出汁を取ったスープに入れてもいけるんじゃないか?
あとはスッパの実の梅肉をスッパの葉に付けて、肉を包んでっと.....パクリっ....
ああっ! コレが一番旨いっ! この梅肉の酸味と肉の淡白な味が混ざり良い塩梅だ。
「マダラ、このスッパの実の梅肉とスッパの葉で肉を包んで食べると旨いぞっ! 今、作ってやるからな........ホレ、食べてみろ!」
『ほぅ、どれ...カプリ....うむ、おかわりじゃな! なかなかに旨いではないかっ!やはり、ゲテモノほど旨いと言うのは本当じゃったようじゃの』
「まぁ、全部が全部そうじゃないけど....今回は当たりだったな! ちなみに、鍋スープはどうだ?」
『こっちはちと普通じゃな。とくに何も
言うことはないな』
「そうか.....まぁ、野菜スープじゃ淡白な肉は適さないからな。今回は我慢してくれよ.......ほら、巻き上がったから食べてくれ」
そして、次々とスッパの梅肉巻きを作って食べていった。
まぁ、とりあえず新しい食材の一つが見つかった事で良しとするか.....ふわぁ....食事が終わると眠くなってきた。
「マダラ、見張り任していいか? ちょっと眠くなってきた....」
『ふむ、任せておけ』
と、マダラの腹に体を預け毛布をかけて眠りについた。
明日、ルインマスに着いたらアンリエッタさんのとこに素材を持っていってビールサーバーを作ってもらおう。