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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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自分の選択・4

こんにちわ、紫煙です。メリークリスマスですね。作品の内容は全然、クリスマスとは関係ないですが、よろしくお願いします。

Mo93

自分の選択・4





 俺が冒険者ギルドに着いたのは昼も終わりに差し掛かる時間だった。冒険者ギルドに向かう途中で気づいたのだが、メイリーンさんの馬車に乗せてもらえばよかったと....


 冒険者ギルドの中に入り周りを見渡すと、露店主がテーブル席に座ってるのを発見しすぐに駆け寄った。

「すいません、少し遅くなりました」

「あぁ、あんちゃんか...良かった。もしかしたら来ないのかと思い始めたとこだっんだよ」


 マジか....危なかった。短気な人なら間違いなく帰ってたよな...マダラが要らん事言うから本当になるところだったじゃねぇかよっ!


「本当にすいません。さっ、適当なお店に行きましょう。お昼はまだですよね?」

「あぁ、まだ食ってねぇ....本当にご馳走してくれるのか?」


「えぇ、大丈夫ですよ。まぁ、限度はありますが大抵な物なら平気ですよ。何か好きな食べ物はありますか?」

「ならっ!一度行ってみたい店があるんだよ! どうやら、旨い料理を出すらしいと聞いていつかは行ってみたいと思ってたんだよ!」


「良いですよ、なら行きましょう! 私も美味しい料理は好きですから」

 と、露店主に案内された店に向かった。着いた店は小綺麗な店で店内もわりと賑わっていた。店員がテーブル席を案内してくれて腰を下ろす。


「わりと賑やかですね。漂う匂いも食欲をそそりますね」

「そうだな、あん.......いや、ずいぶんと自己紹介が遅くなっちまったが、俺はマレルだ。よろしくなっ!」


「そうでしたね、私はセイジロウです。よろしくですね、マレルさん」

「ああ、よろしくなセイジロウっ! じゃあ、さっそく料理を頼むか!」

 俺とマレルさんはお店のオススメ魚料理とスープに、エールを頼んだ。

 少し世間話をしてると、テーブルに頼んだ料理が並べられた。


「では、乾杯しますか?」

「いいねっ! 音頭はセイジロウがやるか?」

「えぇ、良いですよ。では"新しい門出に乾杯"!」

「新しい門出にっ!!」

 乾杯が終わりさっそく魚料理に手を出す。


 ナイフとフォークで魚に切れ目を入れてから、魚肉を切り取り口へと運ぶ。少しだけ咀嚼して口に入れた魚肉を味わったあとにエールを流し込む。


 そして、俺はナイフとフォークを置いた。マレルさんを見るとマレルさんも苦笑いを俺に向けてからナイフとフォークを置いていた。


 正直に言うと口に合わなかった。見た目は上手く焼き上げられていて、香りも悪くない。だが、いざ食べてみると魚肉はパサパサしていて肉汁もなく濃い塩味と少し匂いが強いハーブの香りが残る。


 調理法が悪いのか、それとも、料理人の腕が悪いのか分からないが、これで料理と呼ぶにはちょっとお粗末ではないかと感じるのは間違いなのだろうか?


 確かに内陸部ではなかなか食べれない魚料理なので、食べれるだけ良いのかもしれないし、これでも旨い料理なのだろう。


 捉え方は人それぞれで、価値観も違うだろう。集団的思考の流れによって認めてしまう事もあるかもしれない。周りの雰囲気に流されて認めてしまう事も無くはないかもしれない。


 だか、俺は自分の意思をきちんと言葉に言える男だ。だから、

「マレル、私には口に合いません。すいません」

「いや、俺もだな....すまんなここは俺が払うから店を移動しないか?」


「はい、私も同じ意見です」

 と、俺とマレルさんは料金を払い、以前アルタロスのスベンさんに連れて来てもらった酒場にやって来た。


「ここは前に知り合いの冒険者に連れて来てもらった酒場です。気取った料理は少ないですが、味は保証します」

 と、ラームエールとシシャモン、串焼き肉の盛り合わせに湯豆を注文した。


 注文した料理がテーブルに並べられ改めて乾杯してから、シシャモンを食べる。

 前に来たときと同じ味で安心した。これでようやく話が出来る体勢になった。


「どうです? ラームエールとシシャモンのセットは?」

「こりゃ、旨いなっ! ラームエールが進むしシシャモンも進むぜっ! おーいっ、シシャモンを一皿追加だっ!」

 料理を食べるマレルさんの顔はさっきのお店とは違い、とてもおいしそうな笑顔でシシャモンを食べていた。


「気に入ってくれて何よりですよ。さすがにあの店より旨い自信はありましたから」

「いやぁ、本当にすまなかったなセイジロウ....俺が話を鵜呑みにしちまったから」


「いえ、あれもまた人生経験ですよ。ですが、期待した分落胆も激しかったですね」


「ありゃ、調理も腕も味付けもダメだ。あの魚はカジメグロってつってな、味が繊細なんだよ。だから、下拵えしたら弱火でじっくり焼いて、軽く塩をかけて食べるぐらいがちょうど良いんだよ。あとは、カモンの汁を少し垂らしても良いな。柑橘の香りがフワリと匂って食欲をそそるぞ! ハーブは香りが強いから一度湯洗いしてから料理に使えば匂いが収まるんだが」


「へぇ、ずいぶんと詳しいですね。やはり、漁村出身だと博識になるんですか?」


「そんなんじゃねぇよ! 親が漁師だし、家庭料理は魚がほとんどだったからな。自然と覚えちまうし料理だってやりゃあ誰でも出来るさ。誉められるほどじゃねぇよ」


「いやいや、それほどですよ。もし、あの店でマレルさんが料理を作っていたら今ごろ倍の人数のお客さんがいたでしょうね」


「わざわざ街に来てまで魚を焼きたくねぇよ。俺は、肉を焼きに来たんだ!」

「私が疑問に思うのはそこです。マレルさんはどうして露店で串焼き肉を売っていたんですか? 魚介類を売ればそれなりに稼げたでしょうに?」


「まぁ、セイジロウの言う通りだな。だが、俺は魚より肉が好きなんだ! 漁村では肉が高級品だったんだ。たまに立ち寄る商人や定期的にやってくる商人しか肉を売ってくれない。しかも、塩漬け肉だ。あとは、自分で狩るしかない。俺は肉が焼ける香ばしい匂いと、肉汁溢れる肉が好きなんだ。しかし、結果はセイジロウが買った肉だ。見様見真似でやったはいいが、ダメだったんだ」


 なるほど、生まれ育った場所への反発か。島民が内陸に憧れるように、都会人が島暮らしに憧れる感じか....


 俺はマレルさんの話を聞いてから、本題へと話を始めた。

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