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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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自分の選択・3

No92

自分の選択・3




 ん~~~~さて、起きるか。今日の目覚めは悪くない。今日は大事な交渉だからな気合いを入れて行くか....


「おはようございます、ロゼッタさん」

「おはようさんだねっ! おやっ...どうしたい、何か良い顔をしてるねぇ? 今日は何かあるのかい?」


「えぇ、今日はある人と交渉がありまして、上手くいけばかなりの利益になると思うので」

「そうなのかい? なら、気合いをいれなきゃねぇ! しっかり、食べていきなっ!」

 と、いつもよりベーコンが一枚多く、バゲットも一つ増えていた。さすがに全部は食べれなかったので、増えたバゲットに切れ目を入れて、魚肉とベーコンと野菜を挟んでサンドパンを作り、マダラのサンドパンと一緒にマダラの影に保管した。


 身支度を整えてメイン通りを進むと、一昨日の露店が見えてきた。マダラと一緒に向かい店主に声をかけた。


「おはようございます、先日はどうも」

「おうっ! あんちゃんじゃねぇか! 今日はどうしたい? 串焼き肉を買いに来たのか? 今日で店を閉めるからちょっとは安くするぜっ!」


 やはり、店を閉めて田舎に帰るつもりなのか...だが、俺の選択肢にそれは無いっ!


「実は少しお話をしたいと思いまして....串焼き肉を全部買いますから、時間を作ってもらえませんか?」

「ずいぶんと豪快だな、あんちゃん!...でも良いのか、味も肉も前と変わって無いぜ?」


「えぇ、良いですよ。全部焼くのに多少時間がかかりますよね? ちょっと市場に行ってきますから、串焼き肉を焼いといて下さい。....あぁ、他のお客さんが買いに来たら売って良いですからね」


「あいよっ! 最後の日だからそんなに仕入れはしてねぇから小一時間ぐらいで焼けるよ!」

 と、店主と話をしてから俺はマダラと思念で話をしながら一緒に市場に向かう。


『マダラ、あの人の話を覚えてるか?』

『話? 正確には覚えておらんのぅ、何か重要な話をしておったのか? もちろん、店を閉める事と、田舎に帰って生活する事は覚えておるが....』


『そうか....なら、あとのお楽しみにしておくか....さて、適当に旨そうな魚介類を買っていこうぜ! 夕食はアンリエッタさんの所で食べれるように話してみるから』


『ほぅ、ワレを楽しませるか...良いじゃろ、面白そうじゃ。ワレはカニとエビフライと魚を所望しよう』

『なら、俺は貝類とカニにしようかな!』


 俺とマダラは自分達が食べたい物を買い、あと天ぷら用の野菜と植物油を買ってから、店主の待つ露店へと戻った。


「お待たせしました、串焼き肉はできましたか?」

「おぅ、バッチリ出来てるぜ! 全部で銀貨一枚と大銅貨六枚だな」

「分かりました...こちらですね」


「....まいどっ! で、これからどうすんだい?」

「はい、私と従魔...マダラと言いますが、これからギルドの依頼があるんです。なので、昼時に冒険者ギルドに来てもらえませんか? 悪い話じゃないので聞いてもらえると助かります。お昼も私がご馳走しますから」


「あんちゃんがそう言うなら別に構わねぇけど....」

「助かります。では、お昼にギルドで待ち合わせましょう」

 と、こんな怪しさ満点の誘いを受ける露店主の危機感の無さにちょっと心配しつつアンリエッタ邸に向かう。


 もし、俺が逆の立場だったら怪しくて話を聞かなかっただろう。しかし、今回に限って言えばそれは大成功に繋がる選択だったと思うはずだ。


 アンリエッタ邸に着くと執事のシバスさんに、今夜の夕食は鉄板焼きをしたいと申し出るとすぐにアンリエッタさんに確認しに行ってくれた。


 少ししてシバスさんが戻ってきて了承の返事が返ってきた。ご都合的な風に思うが当然の成り行きである。

 アンリエッタさんからしたら、また鉄板焼きで美味しい料理が食べれるし、新しい料理が出るかもと期待に胸が膨らむはずだ。

 さらに、アンリエッタさんの中で鉄板焼きをメインにした出店計画はすでに決定しており、毎日熱心に鉄板焼き用の料理を試作してる為、新作料理が出てくれば一石二鳥が三鳥になるのだから返事は承諾しかあり得ない。


 ふぅ.....これで、交渉もやり易くなった。


 軽く息を吐き体の緊張を解いてから、メイドのメイリーンさんと一緒に馬車に乗って倉庫整理にむかった。


 倉庫に着いていつもの様に扉の鍵を開けてもらった。

「ありがとうございます、メイリーンさん。それと、昼食ですが私は少し用事があるので今日はマダラだけの分でお願いします。それと、夕食の鉄板焼きにはメイリーンさんとシバスさんも参加してくれる助かりますと、アンリエッタさんに伝えて下さい。」


「お気遣いありがとうございます。では、昼食はそのように。夕食に関してはアンリエッタ様にお伝えしますので。昼の迎えはいかがしますか?」


「昼は来てもらえますか? 鍵を閉めなければなりませんから。移動はメイリーンさんの影に入れば問題無いので」


「分かりました、では昼食時に迎えにまいります」

 と、メイリーンさんは馬車を見送り倉庫内の魔力灯を点けて中に入った。


『どうやら、順調に事が進んでるようじゃな』

「まぁな、夕食の鉄板焼きは期待して良いぞ! この間は俺だけだったから手が足りなかったけど、今回はあの店主がいるはずだからな」


『下手な事を言って逃げれぬようにするんじゃな。まぁ、それはそれで面白いがのぅ』

「不吉な事をいうんじゃねぇよっ! 本当になっちまうだろ!」


『ふん、狙った獲物を捕れんようじゃ、まだまだ半人前じゃ』

「へいへい、しっかり獲ってきますよ。罠はしっかりと張ってあるから後は餌を用意するだけだからな」


 端から聞いたらちょっと悪巧みをしてる小悪党な会話に聞こえるが、これはただのヘッドハンティングだから.....


 マダラとのお喋りもそこそこに、倉庫整理に汗を流し昼時にメイリーンさんが迎えにきた。マダラはメイリーンさんの影に入りアンリエッタ邸へ。俺は足早に歩き冒険者ギルドへと向かった。

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