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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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自分の選択・2

No91

自分の選択・2




 朝、目が覚める。昨日の事が頭に残ってるが、俺にはやるべき事があるんだと、気持ちを奮い立たせ朝食を食べに行く。


「おはようごさいます、ロゼッタさん」

「おはようさんだねっ! どうだい、少し楽になったかい?」


「えぇ、なりました。ありがとうございます」

「なら、よかったさっ! 話を聞いたかいがあったよ! 今、準備するからテーブルで待ってなっ!」

 と、空いてるテーブルに腰かけて料理を待つ。その間に今日やるべき事を考える。


 昨日は悩んでて倉庫整理が進まなかったからな、今日はやる気を出して整理しなきゃ....明日は、気分転換に休日して海釣りでもするかな? 釣竿とか売ってるかな....


「あいよっ! 待たせたね、ちゃんと食べるんだよ! あと、こっちがいつものヤツだから、従魔に食べさせてやりな!」

 予定を考えてると、ロゼッタさんがテーブルに朝食とマダラのサンドパンを用意してくれた。


「ありがとうございます、マダラの分もすいません」

「良いんだよ、ちゃんと料金はいただいてるんだからっ!」

 そう言って俺の肩を叩いて他の宿泊客の所へ向かっていった。


 俺は、いつもの様に旨い朝食を食べてから、部屋に戻り身支度を整えてアンリエッタ邸に向かった。


 メイン通りで買い食い改め買い溜めをしながら、昨日の店主の店を横目に見てから足を進めた。数人の客が串焼き肉を買っていた事を少しだけ喜んだ。




 アンリエッタ邸に着くと執事のシバスさんに挨拶をしてメイリーンさんと馬車に乗り倉庫に向かう。

 倉庫に着いてメイリーンさんに鍵で扉を開けてもらい、気持ちを切り替えて倉庫整理を始めた。


 倉庫整理をしてる時にマダラに昨日の出来事について聞いてみた。

「なぁ、マダラだったらあの時どうしてた?」

『なんじゃ、まだ気にしておるのか?』


「今はそうでもないんだけど、俺以外の人だったらどうなのかなって」

『そうじゃの、セイジロウの案も含めて選択肢はいつもあったはずじゃ。セイジロウの意見を聞き入れ、肉の部位を変えて売り出す、違う食材にする、味を変える、仕事を複数して金を稼ぐなど考えればいくつもあるわけじゃ』


「そうだな、考えれば選択肢は無数にあったわけだ」

『そうじゃ、その選択肢からあの店主は"店を閉める事" を、選んだんじゃ。そう自分が選択したわけじゃ』


「....だから、それでいいと? マダラはそう判断するのか?」

『そうじゃ、それが自分の人生だからじゃ。セイジロウはその選択肢が不満なのか? 違う選択肢を選べと店主に言うのか?』


「....いや、そこまでは言えない。そんな....無責任な事は....」

『よいか、セイジロウ。選ぶのは自分の選択肢だけじゃ。セイジロウ以外の誰かの選択を選ばせたら、その責はセイジロウが負うのじゃぞ。それが、対価であり代償じゃ』


 あぁ....人生は何て重くて辛くて厳しいのだろうと改めて思ってしまった。俺にあの店主の選択を止めさせる事は......


『納得は出来なくても理解は出来るはずじゃ。話が終いなら倉庫整理を--』

「なぁ、マダラ。選択とは常にその場にあるよな? 今、こうして話してる時も幾つもあって選ぼうとすれば何時でも選べるんだよな?」


『.....お主、何を考えてるんじゃ? 人の人生は軽くは無いのじゃぞ? ましてや、何の関係もないただの露店売りの店主じゃ。無理に選ばせて責は投げるのか?』


「そんな事はしないさ....俺は、そんな無責任じゃない。ただ、新たな選択肢を与える事しか出来ない。選ぶのはあの店主に任せるだけさ」


『........ふん、それもまた選択じゃ、さっさと木箱を確認せい。いつまで経っても終わらんじゃろ』

「そうだな、今日も進まなかったらメイリーンさんに怒られちゃうからな」


 俺は明日の事を頭に浮かべながら、倉庫整理に汗を流した。昼食の時にアンリエッタさんに相談したら、俺の好きにして良いと言ってくれた。助力もすると.....


 これで、土台の根回しはした。あとは、あの店主がどう選択するかだ。人生の選択は常に目の前にあるのだから.....


 ちなみに、今日も試作料理を貰って帰りましたよ。あとでマダラに分けてもらおう! こっちの世界で天ぷらや唐揚げが食べれるなんて幸せだなっ!

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