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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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セイジロウのデモンストレーション・本番

No84

セイジロウのデモンストレーション・本番





 俺とマダラは今夜、アンリエッタ邸でデモンストレーションを行う為の食材を市場で大量に買い込み、アンリエッタさんの料理人達に下拵えを手伝ってもらった。


 無事に下拵えも済みすべての準備が整った。アンリエッタ邸の裏庭には特設会場が作られその場には、冒険者ギルドマスターのサーシャさん。受付嬢のシンディさん。屋敷当主アンリエッタさん。執事のシバスさん。メイドのメイリーンさん。と、俺にマダラだ。


 給仕係りや料理人達は、屋敷内の別会場ですでに料理を堪能している。下拵えが終わると同時に、調理の仕方を料理人達に教えて自分達の分は自分達で作ってもらった。


 屋敷の調理場には"揚げ鍋" もといフライヤーはあったが、"鉄板" は無かった。フライヤーの調理と作った料理の食べ方を教え、"鉄板焼き" のやり方は、フライパンでの調理説明になってしまったが......また後でということで。


 ちなみに先に料理を食べている料理人達の事は事前にアンリエッタさんに許可をとってるから大丈夫。かわりに甘味をたくさん作る事で了承してもらった。


「えー、では皆さま。本日はお集まり頂いてありがとうごさいます。アンリエッタさんに関しては調理具、場所の提供を受けて頂き感謝します。あとで、新作甘味を作りますからね」


「うふふ、期待してますよ! セイジロウさん!」

 サーシャさんとシンディさんが凄い目で見てきたけど、ニコリっと笑ってスルーだ...


「では、さっそく調理開始しましょう。今夜は私、セイジロウと助手兼味見担当のマダラが務めさせていただきます」


 さぁ、とくとご覧あれ、ご賞味あれ。私のデモンストレーションをっ!!


△▽△△▽△▽▽△



「まずは貝類を焼いていきましょう。その間に茹でた野菜に衣をつけた揚げ物"天ぷら" をご賞味ください」


 衣の天ぷら粉は卵に水、小麦粉を混ぜた簡易な物を作った。ダマにならないように滑らかにかき混ぜたものだ。


 試作で一度エビ天を作ったがギリギリ及第点だった....後日要改良で。


 衣をつけた野菜を熱した油に潜らす。もちろん、温度の確認はしてある。

 ジュワンっと良い音とともに香ばしい匂いが立ち上った。揚げてる間に手早く小皿を人数分用意する。


 頃合いを見て揚がった天ぷらを、油切り用の受け皿に下ろし少し油をきる。そして、油を切った天ぷらを用意した小皿に並べ、カモンとラームの輪切りを添えてみんなの前に差し出す。


 ちなみに、カモンは前の世界でのレモンに似ている果実でラームがライムだ。エールにラームの果汁を加えたものがラームエールになる。 


「こちらが最初の品です。料理名は "天ぷら" といいます。私の出身国の料理ですね。カモンとラームの果実を輪切りにして添えてあります。好みで絞って下さい。それと、こちらが、特製のハーブ塩になりますのでこちらも好みでお使いください」


 みんなが"天ぷら" を不思議そうに見つめていた。この世界では箸が普及して無いので、みんなの手にはナイフとフォークが握られている。俺にとっては違和感があるが、天ぷらの味は変わらないから指摘はしない。


「わたしからいただくわ......パクリっ....あむあむ...っ!!美味しい....おいしいわっ!!」

 と、サーシャさんの声が上がると、みんなが次々に食べていく。


 俺はみんなが食べてる間にせっせと天ぷらを作る。野菜に、エビ、魚、茸、スッパの葉など。そして、次々に提供していく。ついでに、マダラにもね。


 みんなの口から聞こえてくる賛辞の声を聞きつつ、鉄板に乗せて焼いてる貝類の焼き加減のチェックも忘れない。


「みなさん、どうでしたか?」

「えぇ、とても美味しい料理だわっ!」

「美味しいとしか言葉が出ない....」

「セイジロウさん、もっと食べたいっ!」

「素晴らしい利用です」

「美味しい.....」


 うんうんっ! 旨いよねっ! 掴みは取れたな....では、次に行きますか....


「ありがとうございます、次は"鉄板焼き" になります。先ほどの貝類が良い感じに焼けてきましたので」


 まずは殼付きの貝から身を取り出して、特製のハーブ塩を軽く振りかけてと....

 次に殼付きの貝にバターをポトリっと、うん。バターの香りがまた...食欲をそそるな....


 みんな、料理に釘付けだよ。若干、ヨダレが垂れてる人が二人いるけど.....誰とは言わないよ。


 そして、新しい小皿に盛り付けて、カモンとラームの輪切り添えて完成。はい、召し上がれ。


「こちらが、貝類の盛り合わせとバター焼きですね。お好みでまたお召し上がり下さい」


 みんなが食べてる間に焼く、焼く、焼く! 魚も、カニも、エビも、貝も、焼いていき、差し出す!!


 マダラにもちゃんと焼いてるよ。ちょっと量は足りないけど、デモンストレーションが終わるまでは我慢してくれ。


「"鉄板焼き" もお気に召したようですね。目の前で調理されて、その光景を見るのは楽しいですし、食欲も沸きますよね?これが、"鉄板焼き" の醍醐味です。さぁ、まだまだ続きますよっと言いたいですが、ここでお口直しです」


 市場でスッパの実が手に入ったからな、サッパリした物を間に挟んで小休止をしてもらおう。


「こちらは、事前に作ったスッパの実を使った小料理になります。まず、蒸した鳥肉を氷水で手早く冷やし割きます。そして、スッパの実の果肉を濾し、オリブの油とコマを加え一緒に和えたものです」


 コレがまたエールに合うんだよな! 俺はこれだけでエール3杯は飲めるね!!


 さっ、みんなが和え物を食べてる内に、唐揚げの準備に入らなきゃっ!! さすがに、五人を一人で相手にするのは忙しいなぁ.....


「では、次の料理は"唐揚げ" になります。こちらは、天ぷらの肉バージョンですね。ただし、揚げる肉には下味が付いてます。さらに、"トンカツ" と"エビフライ" もお楽しみください」


 では、"唐揚げ" から行きますかっ!!


 ジュワアァァンっ、と豪快な音がしてみんなの視線を奪う。その間にせっせと小皿を用意していく。ついでに、鉄板の上も綺麗にして次の料理準備もしちゃう。


 おっ?....そろそろかな?...マダラ、味見する?....ホイッと.....旨そうに食うなぁ。


 揚がった"唐揚げ" を小皿に並べて....はいどうぞ! 

「こちらは、カモンとラームをお好みでどうぞ。次は、"トンカツ" になります」


 さぁ、どんどん行くよ!!

 ジュワアァァン、ジュワアァァン!!


 "トンカツ" はソースが無いから、カモンネーズとタルタルソース、スッパの果肉の3種のソースで食べてもらおう。


 それぞれを小皿に用意して、さらに、"トンカツ" 用の皿に葉野菜を盛り付けて......

 "トンカツ" の油切りもしてと....マダラはちょっと待ってて。


 よし! 油が切れたら真ん中の良いとこだけを皿に乗せて完成だ。


「お待たせしました。"トンカツ" になります。付け合わせのオリジナルソース3種でお食べ下さい。好みでカモンとラームもどうぞ」


 マダラはさっき切り分けて余った"トンカツ" で我慢してくれ......スマンな...


 「揚げ物は次で最後になります。"エビフライ" です」

 この"エビフライ" に使う片栗粉がまた面倒だったんだよっ!! 芋を湯がいて水に浸けてデンプンを取り出す。ここまでは良いんだけど乾燥が間に合わなかったんだよっ!



 ったく、片栗粉ぐらい用意してけよ! 異世界ファンタジーっ!! 


 でだ、しょうがないからデンプン水に小麦粉とパン粉を加えて誤魔化した! すいません、今回は勘弁してください!


 さて、上手くいってくれよ....

 ジュワアァァン!......うん、音は良い感じだな....このまま揚げちゃうかっ!!


 "エビフライ" にはタルタルソースだよな? っな? うんうんっ! 正解っ! では、人数の小皿を用意してと....ちゃんとマダラの分も揚げてるからな....


 そろそろ良いなっ。よしっ! 盛り付けてタルタルソースを、たっぷりと添えて....完成。


「お待たせしました。こちらが"エビフライのタルタルソース添え" になります」

 みんな、そろそろ苦しいか? あと、一品だからっ! メインディッシュがあるから頑張れっ!!


 やっと最後だよ! ちょっと駆け足気味だけど....しょうかないよね?


「最後は本日はメインディッシュになります」


 まずは、グレーターバッファローの最高部位の肉を鉄板で焼き、


ジュウゥゥゥっ!!


 焼きがついたら、

「皆さまご覧ください、コレが"ドラゴン焼き" です」


ボワアアァァァっ!!


  酒精が強い酒を軽く肉に振り撒き、一気にアルコールに火をつけて飛ばす。よく鉄板焼き店で見るパフォーマンスだよね。


 本当は香りつけとかの意味があったりするんだけど今回は完全にパフォーマンスにしてインパクトを与えたかったからな...


 さて、軽く特製のハーブ塩を振りかけて、軽く切り分ければ、

「ドラゴン焼きの出来上がりです。ちなみに、肉はグレーターバッファローの最高級部位です。このままでお召し上がり下さい」


 ふぅ....俺頑張ったぜ! 

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