カニがあったよっ!
読んで下さりありがとうございます。今作は、カクヨムサイトとアルファポリスでも掲載してます。改稿版ですが、内容には変更ありません。誤字、脱字を修正したものです。ブクマ、評価感想お待ちしてます。
No80
カニがあったよっ!!
えっと? 状況がわからないだけど?
メイドのメイリーンに連れて来られたセイジロウは現在、アンリエッタから各自の紹介をされて困惑していた。
「....まずは、初めましてギルドマスター。私はセイジロウと言います」
「初めまして、セイジロウ。わたしがルインマスの冒険者ギルドマスターのサーシャよ。ちなみに、アンリエッタとは旧知の仲でエルフィン種の血が流れてるから」
「あぁ、それで.......艶やかさが出ていて美しいですね。今後はお見知りおきを」
「世辞はいいわよ、セイジロウ。まずは、謝罪を先に済ませましょ。この度は、受付嬢のエミリアが不当な依頼をあなたに受けさせた事を謝罪します」
突然、サーシャさんとシンディさんが頭を下げて謝罪してきた。不当な依頼って何?
「セイジロウさん、わたしから説明します。まず事の発端ですが--」
それからシンディさんからの説明を受けた。時折、サーシャさんからの説明が入って、今までの経緯がわかった。
「--そうですか....でも、別に気にしてませんよ? 実際私には実害は無いですし、アンリエッタさんとの話で倉庫整理の報酬も変わりましたから」
「そういって下さるとギルドとしては、助かるわ.....そして、今回はそれだけでアンリエッタ邸に来た訳ではないのよ、セイジロウ」
と、サーシャさんの雰囲気が変わり部屋の空気が変わろうとした瞬間、
「サッちゃん、お腹空いたからご飯にしよーよ。セイジロウさんもお腹空きましたよね?.....シバス、料理の手配をお願いね」
と、アンリエッタさんが場の空気を和らげてくれた。これで、一息つけるし頭を整理できる。....はぁ....とりあえず、気持ちを切り替えよう。
「そうだ、アンリエッタさん。とりあえず、倉庫整理は少し進みましたから。メイリーンさんに進捗を伝えてあるんで確認して下さい。それと、明日はお休みでお願いします。マダラが街の外に出たがってるので、ギルドで依頼を受けて外にでますから」
「そうですか....マダラちゃんに会えないんですね.....分かりました。では、明後日にお待ちしてます」
「はい、朝食を食べてから伺いますね」
とりあえず、マダラの魔力補充の為に狩りと採取でもするかな? あとは、俺自身の鍛練もか....
俺とアンリエッタさんの話を聞いていたシンディさんが話しかけてきた。
「セイジロウさん、明日はギルドで依頼を受けるという事でよろしいのですか?」
「はい、シンディさん。討伐系か採取系になりますね。マダラの運動も兼ねてますから」
俺とシンディさんが話してる時にマダラに興味を持ったサーシャさんが床に寝転がるマダラを見ながら言った。
「あれが従魔のマダラなのね....ずいぶんと大人しいのね」
「そうよ、サッちゃん! マダラちゃんは、大人しくてモフモフしてふさふさして、とっても可愛いのよっ!!」
と、寝転がるマダラに向かったアンリエッタさんがマダラに抱きつきちょっとだらしない顔をしている。
「...あなたは昔から変わらないのだから...それで、セイジロウ。あなたの資料は読ませてもらったわ。変に勘ぐらないでいいわよ。普通の資料だから....それで先に言っておくけどあなたと敵対する気はないから」
マダラに抱きつくアンリエッタさんを見ていたサーシャさんが突然、俺に話しかけてきた。
「えっ?...別に何もしませんよ? なぜ、そんな話になるのですか?」
「要所の砦の話は伝わってるわ。そのマダラの話もね。実際のわたしの目で見たマダラの脅威度はかなり高いわ。この後に具体的な話になるけど互いに良い関係でいたいとわたしは思っているわ」
ギルドマスターのサーシャさんが言い終わると部屋の扉が開き、食欲をそそる匂いをさせた料理が運び込まれテーブルへと並べられていく。
マダラが寝転がる前に絨毯を汚さないように敷物が敷かれ、その上にマダラ用の食事を並べられる。
アンリエッタさんもマダラから離れ自分の席につき準備が整うのを待っていた。
少ししてすべての料理が用意され給仕係りが部屋から退室すると、
「では、食事が揃いました。この出会いに乾杯をっ!」
「「「「乾杯っ!」」」」
『乾杯じゃっ!!』
ブハァッ!!
「マダラ、またかよ....みなさん、聞きました?」
ここでマダラがぶっ込んできた。前も確かこんな事が合ったよな....
アンリエッタさん、シンディさん、サーシャさんが口に含んだワインやら果実水などを、ゲホゲホしながら息が整うのを待ってから、再度声をかえた。
「マダラがすいません、多分、みなさんの反応を見るとマダラの思念が聞こえたと思いますが...」
「...さっきの声は...」
「いきなりね...」
「マダラちゃんの声、渋かったぁ!!」
「えー、とりあえず説明します。マダラの能力の一つで、マダラの意思で思念を相手に飛ばし意思の疎通が出来ます。ちなみに、こちらの会話は理解してますし、返答はマダラ次第です。私は、自由にマダラと相互に思念で会話が可能です。『マダラ、改めて挨拶しといて』」
『マダラじゃ。ワレはセイジロウの守護者じゃ。今から食に集中するから話はあとじゃ』
「と、聞こえましたね。かなり自由なヤツですがよろしくお願いします」
これで、マダラの説明が少しは楽になったかな....マダラが思念を飛ばしたって事はある程度は信用してるのかな?
「ええーっ!もっと喋りたいのにぃー!」
「...かなり特殊な従魔ね....」
「えっと.....どう接すれば?」
「アンリエッタさん、食後ならマダラが相手をしてくれますか....色々と聞きたいでしょうがまずは、いただきます」
とりあえず、腹が減った! 魚料理に肉料理、野菜にチーズ、ベーコンにバゲット、スープ、そして、貝にカニもあるじゃんよ!!
くぅーー!! さぁ、食うぞぉー!!
△▽△△△▽△△△▽
今は食後のティータイム中だ。俺は満足です!! ホントに旨かった!
今回一番旨かったのは、カニと貝だね!まぁ、正確にはカニのようなカニと、貝だね!
こっちの世界のカニって色とりどりで茹でても甲羅の色が変わらないだぜっ! さらに、脚の数もハサミの数も統一制が無いみたいだし、食事中にアンリエッタさんやシンディさん、サーシャさんに聞いたから間違いないと思う。
最初に魚料理から食べたんだけど、コレがまた.....味かピリ辛だったんだよ! 別に、料理中の味付けじゃなく魚肉自体の味なんだって。
まるでエビチリの魚肉バージョン的感じの魚だったよ。魚肉はエビみたいにプリプリしてて噛み締めると肉汁とピリッとした辛味の味が口の中にひろがった。
アンリエッタさんに聞くと、調理の際に熱を通すとそういう味になるみたいて詳しく分かっていないらしい。特に体に害は無く異常ない為にそういうもんだとみんなは思ってるそうだ。
次に肉料理だけどこっちはヴォルフバードという鶏肉のソテーだった。原型は二頭を持つ鳥で飛ばずに地上を走る鳥だとシンディさんが説明してくれた。体高は2メートル弱あり森や草原が生息地で素早い動きをする。さらに、二頭の嘴で攻撃してくる為に危険度も高いと言ってた。
そのヴォルフバードのソテーは、皮をパリパリに焼き上げて、香草と酸味のある果実ソースで味付けされていた。この酸味のある果実ソースがいい味をしていた。鳥の肉汁が口に広がるが果実の酸味によって、中和されていくのだ。これによりついつい食が進んでしまう。
俺が食べてる横でマダラの食も進んでいた。並べられた料理はどれも空だった。俺はテーブルに並べられて余ってる料理をマダラに与えていいか聞くと、
「はぁーい! わたしがマダラちゃんに与えまーす!!」
と、アンリエッタさんがマダラに与える事になった。
「マダラちゃーん! 新しい料理を持ってきましたよ! たんとお食べぇー!!」
『ふむ、気が聞くではないか! 食後はワレの横で休む許可を与えよう』
「きゃーっ! マダラちゃんに誘われたゃいましたよー!」
と、かなりのご満悦だった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。面白いと思いましたら評価をよろしくお願いします。