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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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内なるサーシャ

No79

内なるサーシャ





 セイジロウとマダラがアンリエッタ邸の倉庫整理をしてる頃、冒険者ギルドの執務室では話し合いが行われていた。


 執務室では冒険者ギルドマスター・サーシャと魔導具師アンリエッタに、冒険者ギルド受付嬢シンディ。それの3者を静観するアンリエッタの執事シバスが成り行きを見ていた。


「さて、ちょっと話を整理したいのよ、アンリエッタは紅茶を飲みながら待っててもらえる?....シンディあなたに聞きたいんだけど、セイジロウと言う冒険者がアンリエッタの所で倉庫整理をしてるらしいのよ? 何か知ってるかしら?」


(知ってることを全部話なさいよねっ!アっちゃんが話を全部知ってて、わたしが知らないんじゃ話し合いも出来ないんだからね!)


「はい、セイジロウさんは確かにアンリエッタ様の依頼を受けてます」

「依頼?.......もしかして、アンリエッタが昔に出したあの依頼?......アンリエッタ、まさかあの依頼を受けてるのがセイジロウなの?」


 (もしかして、ちょっと面白半分に作ったあの依頼?...だって、あれってだいぶ塩漬けしてたはずじゃ? なんで.....)


「セイジロウさんの依頼はエミリアさんが紹介しました。わたしは、隣で途中から気づいていたのですが、他の冒険者の方を相手にしていましたので対応が遅れてしまいました」


「....なぜ、エミリアが? 副ギルドマスターであるエミリアが受付て対応をしていたの?」

 (何しちゃってんのよっ、エミリアっ!しかも副ギルドマスターが塩漬け依頼を紹介するなんてっ!)


「実は時折、息抜きと称して受付嬢の真似事をしていたのです。最初は注意しましたが、のらりくらりとすり抜けてしまい、さらに副ギルドマスターですので強く言えず....冒険者達もエミリアさんに気が付いていますが何分副ギルドマスターですから....」


「....とりあえず、話しなさい。エミリアはあとでキツく言いますが、まずは全容を知りたいのです」

 (あの小娘ぇ~!! 話を聞いたらタダじゃおかないんだからぁー!!)


「はい、それでアンリエッタ様の依頼を受けてセイジロウさんはアンリエッタ様と面識が出来た思います。それと.....ギルドの食事処の話ですが--」


▽△▽▽▽△▽△


「--話が分かったわ。要は事の発端がエミリアにある事もね....はぁ...」

(ホントに何してんのエミリアは...もぅ首にしちゃうかしら? それとも、水に沈めようかしら....はぁ...)


「アッちゃん、話はわかった? それで、どうするの? アッちゃんは独り占めしちゃうの?」


「アンリエッタはどうしてこの話に噛みたいのよ? 別にただ、食事処を再稼働させるだけよ?」

 (アッちゃんが噛んだら話が大きくなり過ぎちゃうのよっ! だから、大人しくしててよっ。後始末が大変なんだからねっ!)


「わたし、知ってるよ。セイジロウさんからのレシピもらって何か企んでるでしょ?ダメだよ、アッちゃん。.....やり過ぎたら死んじゃうよ?」


「.....アンリエッタ...あなたはどこまで読んでるのよ?」

 (何よ....死ぬって...ただ、ちょっと他の冒険者ギルドでもレシピを回して益を得ようとしただけなのに.....)


「セイジロウさんから聞いたんだ。食事処の改装計画を。面白かったよっ! 良くあんな事思い付くよね! だから、わたしがセイジロウさんのスポンサーに付く事にしたんだ。だから、アッちゃんはわたしの話に乗らない? セイジロウさんは、ギルドの事もちゃんと考えていたよ? わたしは、それにトッピングをちょっとしようと思ってるだけだから」


「.....長い話になりそうね....」

 (ほらっ、みなさいっ! すでに、話が進んでるじゃないのよっ! もぅ...もうもうもうっ!)


「良かったっ! じゃ、セイジロウさんからの話をするね。で、詳細は家で話をしようよ! セイジロウさんは倉庫整理してるから居るし、マダラちゃんもいるよ? 夕食は準備するから! シンディもおいでよっ!」


「わかったわ....じゃ、話をして頂戴アンリエッタ」

(なんでこうなるのよ? あたしの平穏を返してよぉー!!)



 その後、アンリエッタから話を聞いたサーシャは詳細を書類に書き留め、商業ギルドに書簡を送る準備をした。シンディは現時刻以て、セイジロウ担当に任命された。


 アンリエッタは執事のシバスと冒険者ギルドを出て自宅へと帰っていった。


 そして、陽が暮れた頃にアンリエッタ邸には冒険者ギルドマスターのサーシャと受付嬢のシンディ。アンリエッタにセイジロウとマダラが夕食を一緒に摂ることになったのだった。



△▽△△△△▽△▽△▽


 倉庫整理をマダラと一緒にしてると、陽暮れ前にアンリエッタさんから夕食のお誘いがあった。別に断るつもりは無かったから二つ返事で承諾した。


「へへ、やったなマダラ! また、旨い料理が食えるぞっ!」

『ふむ、ちと気合いを入れて夕食までがんばるかのぅ』


「だなっ! 今日の夕食は何かなぁー! 貝類とかどうだ、マダラ?」

『貝か、ワレはあまり食した事がないんじゃ。あれはアシが早いし、供えは珍しかったからのぅ』


「そうなのか? 貝は旨いぞ! 醤油を垂らして網焼きで食べるとビールが旨いんだよなぁ!!」


 夏に外でバーベキューして食べるのが堪んないんだよなぁ! サザエに蛤なんて定番だったしな。


『しかし、醤油などこっちの世界にあるかのぅ? ワレは知らんぞ?』

「.....俺も知らない....魚醤ならあるんじゃないか? もしかしたら....」

『ふむ、港街ならあるかも知れんな』


「だよな! 後で探しに行ってみるかっ!あとは、カニとか食べたいよな! それに、寿司が食べたいっ! 鉄火丼とかウニ丼にイクラ丼。漬けマグロとか!!....あるか分かんないけど.....何より米がなぁ...」


『おお、白米か! ワレの時は雑穀に麦米が多かったが、白米はワレも好きじゃぞ。甘味があってなかなかに美味じゃからな』

「だよなー! 卵かけご飯とか納豆とかで食べたいし、焼き魚には白米だよな! おにぎりも食べたいな....」


『ふむ、思い浮かべればキリが無いのぅ、思いはいつか叶うと信じ、今は倉庫整理じゃ。働かざる者食うべからずじゃ』


 こうして、俺とマダラは夕食まで倉庫整理をして、メイドのメイリーンさんに案内された部屋には見知らぬ人が席に座っていた。

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