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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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手紙と朝食

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No70

手紙と朝食




親愛なるフローラさんへ


 先日無事にルインマスの街に着きました。以前から少しだけルインマスの街の話を聞いてましたが、やはり聞くと見るのとでは違いますね。


 最初に感じたのは海の香りでした。私の出身国も海に面していたので懐かしさを感じましたよ。


 フローラさんは、ルインマスの街に来た事はあるのですか? あるのでしたら話を聞かせてくれますか? もし、なければ私が話を聞かせましょう。まだ、着いたばかりで右も左も分かりませんが、新しい発見があれば教えますよ。


 今日は、冒険者ギルドに行ってマダラの従魔の更新申請をしました。その時に"黒白狼使い"なんて呼ばれましたよ.....

 どうやら、要所の砦での出来事がきっかけみたいです。何ともはや....


 そうそう、街に着いた初日に要所の砦でお世話になったアルタロスというパーティーのリーダーであるスベンさんに会いました。

 その時に連れていってもらった酒場で、ラームエールとシシャモンと言うお酒と魚のおつまみを知りました。


 なかなかに美味しかったですよ。フローラさんにも食べてもらいたいですね。いつか一緒に食べましょう。

 他にも美味しそうな魚や貝、料理がありそうですし、これからの食事が楽しみですよ。


 ハルジオンの街は特に変わりはないですかね? プリンの販売とかはどうですか? あまり食べ過ぎてはダメですよ? あまり食べ過ぎてしまうと......


 こちらでも何か新しい甘味のアイデアや料理メニューが浮かんだら作ってみたいと思います。


 では、火水季も近くなってますから体調に気をつけて下さいね。


貴女が好きなセイジロウより


▽△▽▽△△△△△△△△△△▽△△△▽


「さてと、こんな感じかな...」


 まぁ、初めての手紙にしちゃ上々かな?

明日から何かしらの依頼を受けなきゃな....良い感じの依頼があると良いんだけどな...


 さてと、寝ますか。おやすみなさーい、フローラさん。


△▽▽△△△△△▽△△△▽▽△△▽△▽


 翌朝の目覚めはスッキリだった。昨日とは全然違う。身支度を整えて宿屋の食堂に向かった。

「おはようございます」

「おや? 昨日とは顔つきが違うね! 飲み過ぎには気を付けなっ! で、朝食かい?」


「ハハハ....面目ないです。えぇ、朝食をお願いします」

「あいよ、ちょっと待ってなっ!....アンターっ! 朝食を1つだよ!!」



 朝から元気がよろしくて.....今、話していたのが"餌付け亭"の女将ロゼッタさんだ。ロゼッタさんは30代半ばの恰幅が良く肝っ玉かぁさん的な感じがする女将だ。


 そして、ロゼッタさんに呼ばれていたのが女将の主人のガリルさんだ。何故か捻りハチマキをした主人で宿の料理長だ。


 どうも前の世界の昭和風を連想させる女将と主人だがここは歴とした異世界だ。


「セイジロウさん。はい!お待ちどうだよ! しっかり食べて頑張ってきな!」

「はい、ありがとうございます。.....おお、朝から美味しそうですね!」


「当然だよ! うちは料理も自慢だからね!」

「では、自慢の料理をいただきます!」


 テーブルに用意された朝食はボリュームたっぷりでどれも美味しそうだ。では、実食!!


 メニューは、焼き魚に厚切りのベーコン、野菜スープ、バゲットパン、カモン水。


 まずは、焼き魚からだな。見た目はデカイ.....しかも全く見たことがない。身の色は白く淡白な味を想像するが.....


パクリ.....んーっ! 噛んだ瞬間に魚の油? 魚汁? ともかく、ジューシーだっ! 肉とは違うが、歯応えが肉に似てる。身が締まっていて弾力がある。それに、噛むたびに溢れるこの肉汁みたいなヤツ。これは旨い!!


 味付けは多分....ハーブくらいか? これは、魚の青臭さを取るためだと思うけど。あとは、分かんないな.....この感じだとしてないと思うけど、まぁ、旨いからオケ!


 小骨もないし、ナイフとフォークで簡単には選り分けられるし.....良いねぇ食べやすい!

 野菜スープは.....見た目は普通? 味は....普通だったよ! でも、味の濃さはちょうど良いね。ちょっと魚のインパクトが強かったから変に期待したけど、普通が一番だよね。


 バゲットパンは見慣れてるし....この魚の切り身と厚切りベーコンを挟んで食べてみるか....パクリ....おっほーっ!!

 あー、この宿は当たりだわ! 魚と厚切りベーコンのサンドパン。マジで旨い!

 魚の肉汁と厚切りベーコンのカリカリ感と肉の味が合わさり、それに、バゲットパンの香ばしが混ざりあって.....感動だわ....


 いやー、朝からこんなに食が進んでいいのか? あそこまで旨い魚とはなぁ....こっちの世界にきて良かった....本当に良かったよ....


『おい!セイジロウ! お主だけズルいぞ! 何やら旨そうに食べるではないか!ワレも所望するぞ!』

『いや、無理だろ? 俺の朝食だよ? それに、マダラはこのあと通りで魚を買うからそれでいいじゃん』


『いくないわ!生魚は旨いが、調理した魚も食したいではないか! 所望するぞ! 渡さぬなら、ここで姿を現してもよいのだぞ? んっ?』

『きったねぇー! 脅しかよっ.....それが守護者が主に対する態度か? それに、そんな事したらここに泊めてもらえなくなるぞ?』


『フン、食せないのなら泊まる必要はない! ワレは困らんぞ?』

『おまっ!.....はぁ....分かったよ、でも、その分は働けよな!』


 こいつ、意地きたねぇよな.....くそっ....


「すいませーん! ロゼッタさん、お願いがあるんですけど?」

「なんだい? おかわりかい?」


「いや....まぁそれに近いんですけど、実はうちの従魔がどうやらさっき食べた朝食を食べたいらしくて....料金を払いますから、魚と厚切りベーコンを挟んだバゲットパンを2つ作ってもらえませんか?」


「なんだい、あんたは従魔使いかい?まぁ、料金をもらえるなら問題ないよ。宿を出るときに声をかけな! 今から作っておくから!」

「ありがとうございます、料金はその時に払いますから....」


 ったく、朝から迷惑な.....まぁ、確かにあの朝食は旨かったからマダラの気持ちも分からなくはないかな....


 さて、部屋に戻って食休みをしたら冒険者ギルドに向かうかね!

今作は、カクヨムサイト、アルファポリスでも掲載してます。改稿版ですが、内容には変更ありません。誤字、脱字を修正したものです。ここまで読んで下さりありがとうございます。面白いと思いましたら評価をよろしくお願いします。

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