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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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ルインマスと亜人種

No68

ルインマスと亜人種





 俺とマダラはルインマスの街、海上貿易を主とした沿岸都市? に着いた。門番から冒険者ギルドの場所を聞いて、マダラと一緒に冒険者ギルドの扉を開いた。


 俺とマダラが扉をくぐると、一瞬のあとギルドの中に居た冒険者達の視線が集まる。


 ある者は武器を握り今にも動ける態勢をとる。

 ある者は、椅子から転がっていたり視線だけを寄越し警戒するだけだったり。


 やはり、マダラを直接ギルド内に入れるべきじゃないと、すぐに謝罪するべきだと思った時に、

「おいおい、セイジロウか?...セイジロウだろっ!久しぶりだな!!」

 と、見知った顔の人が声をかけてきた。


「えっ?...あっ、スベンさんじゃないですか!久しぶりです。どうしてここに?」


「どうしてとはひでぇな....ルインマスは活動拠点の1つだぜ!それより.....マダラも元気そうだなっ!相変わらずの姿だなっ!.....みんなぁ、コイツはセイジロウってんだっ!俺の知り合いで、あの要所の砦の立役者だ!仲良くしてやってくれよ!!」


 そう、この人は緊急討伐依頼の時に一緒にゴブリンとオークの混成団と戦った、アルタロスのリーダーでスベンさんだ。


「セイジロウ、久しぶりだからちょっと付き合えっ!そうだ、マダラはちょっと影に入ってもらえよ(さすがに目立ち過ぎだ....今は従え)...」


「(わかりました...『マダラ、ギルドを出ると同時に影に入ってくれ。やはり、目立ち過ぎたみたいだ』)」


『うむ、反応を見るとそうじゃな。従おう』


 スベンさんが肩に腕を回しながらヒソヒソと言ってくれた事に従い、冒険者ギルドを出てしばらく歩いた場所にある酒場にはいった。


 昼間の酒場にしては客がいたが、冒険者や船乗り? 船員? ぽい服を来た人がいて視線を奪われるが、すぐにスベンさんの後についていき、店内の奥の席に座った。


「いやぁ、まさかセイジロウが現れるとはな....しかも、マダラを連れてとは....あっ!ラームエールを1つとシシャモン炙りを一皿くれ!セイジロウはどうする?」


 なんだ? 聞きなれない品名が聞こえたな? ルインマス特有の物か? ラームエールって?


「えっと....ラームエールって何ですか?それと、シシャモンってのは....」

「あぁ、そうだったな...ラームエールってのは、南の方にから入ってくる果実でな。その果実の汁を絞ってエールに入れた物だ。香りが良くてエールと良く合うだよ!清涼感があって普通のエールより旨いぞ!!」


 ほぅ....エールに果実を加えたものかぁ....カクテル...とは違うか?


「シシャモンってのは何ですか?」

「シシャモンは、つまみだな。コレぐらいの小さな魚でな、カモンの果汁をかけて食うと良いつまみになるんだ!安いし旨い!!頼むか?」


「はい、どちらも初めてなので....」

「よしっ!.....ラームエール2つとシシャモンを2つだ!.....で、ルインマスには物見遊山か? セイジロウの拠点はハルジオンだったろ?」


 俺は、ハルジオンの街での事をスベンさんに話した。俺とマダラが街の人にどう思われていて、噂が立っている事を....


 スベンさんに話をしてる時に、ラームエールとシシャモンがテーブルに用意されたが、スベンさんは話を聞き終わるまで真剣に話を聞いてくれた。


「--なるほどな....そりゃ何とも報われないって言うか、ショックな話だな....とりあえず、飲みながら話を聞いてやるよ!まずは、出会い乾杯だ!」


「そうですね....まずは、乾杯しましょう!」


「「出会いに乾杯!!」」


 初めてのラームエールを飲んでみた。味からして前の世界のライムに似た味がした。スベンさんが言った通りラームの香りが口から鼻に抜けて清涼感を感じる。


 これから暑くなる火水季の時期にはもってこいだ! 次いでシシャモンは柳葉魚だな....皿に添えてあるカモンを絞りかけて食べると、塩味とカモンの柑橘の味が合わさりさらにラームエールがすすむ。シシャモンの腹にある魚卵もプチプチして旨い!


「どうだ?ラームエールとシシャモンは?....その顔を見ると気に入ったみたいだな!!」

「ええ!!旨いですよっ!あとでお土産にマダラにも買っていきます!きっと、喜びますよ!」


「なら、良かったぜ。....じゃあ、セイジロウはしばらくルインマスを拠点にするのか?」

「そうですね、そう考えてます」


「そうか.....ルインマスの街は海上貿易を中心に発展してる街だ。人も物資も集まるし、情報も集まる。海もあるし海産物もあるから独自の食もある。南にあるグルガニウム国とも交易があるんだ。それから、マーマン種やバードリ種も居たりと人種以外の.....所謂、亜人種と呼ばれる種がいる街でもある」


 マーマン種? バードリ種? って、あれか....異世界ファンタジー的なやつか?


「亜人種ですか?....私は他国出身なんで知らないんですが....」


 ハルジオンの街でも聞いた事が無いしな....いや、チラッと聞いた事があるけど覚えて無かったな....


「まぁ、内陸部....には居ないな。マーマン種ってのは、見た目は人種とあまり変わらないんだ。ただ、指と指の間に膜があったり水中でも活動出来たりするんだよ。稀に魚の鱗が皮膚の表面に現れるマーマンも居るけどな....」


 あー、やっぱりかぁ...生物の特徴を持った種なんだ。そういう種族もこの世界には居るんだな....


「それと、バードリ種ってのも見た目は変わらないが空を飛べる種なんだよ。別に翼が生えてる訳じゃないんだが、バードリ特有の魔法で飛べるらしいだよな....見た目は変わらないと言ったが、背が高くかなりの細身だから見たらわかるはずだ」


 へぇ!空を飛べるのかっ!そりゃ、いいな!!種族特有だけど、教わったら飛べたりするのかな? 魔法なら可能性はあるのか?


「でな、ルインマスの街は人以外にも違う種族がいる特徴ある街だ。昔は、人種と亜人種の争いが合ったがな.....まぁ、中には受け入れられないヤツも居るがな」


「なかなかに個性的な街ですね。水中で活動したり空が飛べるのはちょっと羨ましいですね」

「ハハ...個性的な街か....そうだな、個性的な街だなっ!セイジロウの言う通りだ!....セイジロウは亜人種に対して嫌な感情はあるか? ルインマスに住めばそういう亜人種に関わる事もあるはずだ。それを考えてもルインマスに住む気があるか?」


「ありますよ。別に嫌も良いもまだ会ってませんから何とも言えないですけど....みんなが暮らせてる街なんですから私も暮らせるでしょう?それに....マダラもいますから。亜人種を受け入れてくれるなら、マダラも受け入れてくれますよね?」


「ああ、ルインマスの人達は寛大だからな! きっとマダラも受け入れてくれるさ! それに、召喚師で従魔を持つ者も多少はいるぞ! マダラみたいな凄いのはいないが、合う機会はあるだろうから話をしてみるのも良いだろう!」


「そうですね.....来たばかりですけど、先は明るそうで良かったです」

「おぅ、俺もいるし他のメンバーもいるからな。それに、要所の砦の参加冒険者もいるだろうから、お前とマダラの実力を知る者もいる。気難しく考える必要はねぇよ!」


 そうかも知れないな....どこか肩に力が入っていたんだろうな...冒険者ギルドでスベンさんが言ったことも気を使ってくれたんだろうな。さっそく、スベンさんには貸しが出来ちゃったな....



「スベンさんは、今日はこれから予定があるんですか? なければ、宿を取ったあとにアルタロスのメンバーを交えて飲みませんか?」


「おっ!良いねぇ!! 今日は休みでな、ギルドに居たのは暇潰しだったんだよ! なら、さっそく宿を紹介するぜ。飯も旨いし宿の質も悪くねぇトコだ」


 その後はスベンさんに紹介してもらった宿で部屋をとり、アルタロスのメンバーと夕暮れに合流して酒場で懇親会をやった。


 ちなみに、シシャモンのお土産はちゃんと忘れずにマダラにやった。マダラは久方ぶりにの魚に喜び機嫌がよかった。

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