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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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シーバル遺跡調査・7

No61

シーバル遺跡調査・7




 翌日はギルバートさんとガーディルさんと俺で、賊から助け出したミリアーナさんの今後について話をした。


 今日は静養の為に休んでもらい明日の朝に馬車でハルジオンの街に送る事に決まった。ガーディルからフレーナさんが付き添いに、それと、他の女性冒険者達と男性1名が選ばれた。


 ミリアーナさんの送り出しと同時に錬金術ギルドと冒険者ギルドに中間報告もしてもらい、翌日に食料や足りない物資を積んで遺跡に戻ってきてもらう予定だ。


 話が纏まり各自がそれぞれ準備に向かう。今日は、ギルバートさんから地下遺跡に来てもらいたいとお願いされたので、マダラを連れて地下遺跡へと降りた。



「それで、ギルバートさん。今日は地下遺跡で何をするんですか?危ないのは出来る限り遠慮したいのですが....」


「分かってますよ、セイジロウさん。今日はマダラに魔法陣の発動、それが不発な場合はセイジロウさんとマダラで魔法陣の発動をしてもらいたいと思いまして...」


 ギルバートさんと一緒に地下の魔法陣がある空間に向かいながら話を聞くと、この2日間のあいだで錬金術ギルドの研究者が魔法陣発動を色々と試したそうだ。


 まずは、研究者自身が一人ずつ魔法陣の発動を試したが結果は何も起こらなかった。次に、現在主流の召喚魔法のやり方で一人ずつ魔法陣の発動を試すもやはり何も起こらなかったそうだ。


 他にも複数人で試したり、詠唱を変化させてみたり血を垂らしてみたりと、今現在この場で試せる方法を試してみたが結果は何も起こらなかった。


「はい? 血を垂らしてのですか?!」

「えぇ、垂らしたのはわたしの血ですからから別に問題は無いですよ」

「いや、問題ないって....」


 もし、それで発動した時のリスクは考えて....るよな。そこまで、無謀な人じゃないしなギルバートさんは...


「さてと着きましたね......一応、冒険者パーティは1組を用意しましたけど、多分ですが大丈夫だと思います。じゃ、早速やりましょうか」


 来る途中でマダラもギルバートさんの話を聞いていたから魔法陣の端まですぐに移動してくれた。


『悪いな、マダラ。まぁ、変化はないはずだから適当に頼むよ』

『全くじゃ、これこそ無駄な努力じゃよ。それと、セイジロウ。お主昨夜にプリンを作って女に渡しておったろ。面倒事をやる代わりにワレにも作るんじゃ、よいな?』


『....なんで、しってんの?お前、あの時はいなかったじゃん。冒険者の人達と一緒にメシ食べてたよね?』

『ふん、ワレに隠し事をするなど万年早いわ!よいな、プリンじゃぞっ!』


 と、そんな思念をマダラとしてると、ギルバートさんの合図がかかりマダラが魔法陣に魔力を流した。


 が、やはり変化は起こらなかった。次に俺とマダラで同時に魔法陣に魔力を流すが同じく変化は無い。


「セイジロウさんとマダラ、ありがとうございます。とりあえずの検証は終わりましたので、あとは自由にしてもらって結構です」

「分かりました、では、地上に戻りますから何かあれば声をかけて下さい」


 ギルバートさんに挨拶をしてから俺とマダラは地上に戻った。

 

「さてと、時間は....あと少しで昼か....ちょっとガーディルのレグリットさんに話をしてくるから、マダラは適当にその辺にいてくれるか?」

『構わんぞ、昼食を食べたら狩りに行くからの』

「ああ、分かった。それも話してくるよ」


 小走りでレグリットさんがいる詰所まで行って、賊から手に入れた食料を買取りたいと話をした。その食料の中にプリンを作る材料があったのだ。量は少ないが砂糖が含まれてるし、卵もそれなりの値段はする。なので、俺が知る仕入れ相場よりも多めな金額を提示して先買いさせてもらった。


「セイジロウは、その材料をどうするんだ?マダラに何か作ってやるのか?それとも、料理に使うのか?」

 レグリットさんのもっともな質問がきた。


「これはミレアーナさんに甘味を作ろうと思って....ほら、プリンですよ。冒険者ギルドの食事処で私がプリンを販売してるのは知ってますね?そのプリンが今の材料で作れるんですよ」


「ほぅ、それでか....まぁ、セイジロウがやりたいようにすればいいさ」

「えぇ、それじゃ」


 足早に立ち去りマダラを見つけ遺跡の隅にまでいく。

「マダラ、影から木の大きい器と小さなカップを出してくれるか?あと、調理道具も」

『プリンを作るんじゃな.....コレじゃな。しかし、よくそんな技術を身に付けてるもんじゃな。食事を作るのは女の役目だったはずじゃが、セイジロウは食事の世話をしてくれる女がそばにいなかったのか?』


チッ...余計な質問を....


「俺がいた時代では男も料理を作れる技術を学ぶ時代なんだよ。何事も技術があって困る訳じゃないだろ?それに、その技術を学んだからこそピザやフライドポテトやプリンが食べれるんだぞ!フレンチトーストだってそうだぞ。お前も好きになってきたろ?」


『ふむ...言われるとそうじゃな。何事も努力と研鑽は必要じゃ、自らを高める者は嫌いではないからな。フレンチトーストも旨いと理解しておる。また旨い物を作るためにワレも力を貸すのは吝かではないぞ。それと、はよ嫁を取り子を作れ。セイジロウは若く無いのじゃ、子孫を残す事を考えよ』


 お前は、俺のオカンかっ!最初は賛同してたのに.....俺だって好きで一人でいるんじゃないやいっ!


 ったく.....さてと、あとは魔法で冷して固めれば......完成だ。


「おっ?そろそろ炊き出しの準備かな?マダラ、このプリンは保管しといてくれるか?デカプリンはマダラのだから食べても良いけど、小さいのはダメだからな。それと、もう材料が無いからこれ以上は作れないぞ?」


『わかったのじゃ、大事に食そう』

「じゃ、炊き出しを手伝ってくるからその辺で待っててくれよ」


 夕食の炊き出しを手伝い、出来上がった昼食を持ってマダラにも渡す。自分の分をささっと食べてマダラからさっき作ったプリンを受け取り、ミリアーナさんがいるテントに向かった。


「ミリアーナさん、セイジロウです。食後の甘味を--」

「はいはーい!セイジロウさん!」

「えっ?....セリーナさん、どうして....あぁ、なるほど。一緒に食事をしてたんですね。こんばんわ、ミリアーナさん」


 テントの中から出てきたセリーナさんに驚くもテントの入口から中を見ると2人分の料理が置いてあり事情を理解した。


「セイジロウさん、甘味を持ってきてくれたんですか?」

「はい、ミリアーナさんの分だけですけどね」

「えーっ!わたしのは無いんですかっ!?」


「ありませんよ、昨日食べましたよね?」

「食べましたけど.....」

「甘いものは精神的な落ち着きを促す作用があります。ミリアーナさんに食べてもらうのが一番です。明日の出発もありますし....話したんですよね?」


「ちゃんと話したわよ。フレーナにもハルジオンの街に着いたら一緒に行動してもらう事になってるわ」


「そうですか.....あっ、すいませんミリアーナさん。つい、話し込んじゃいました。コレ、昨日と同じプリンです。夕食後もありますか楽しみにしていてくださいね」


「あれあれ?何か優しすぎじゃないですか、セイジロウさん?」

「妙な勘繰りをするなら、報酬のプリンがどうなっても知りませんよ?代わりに、フレーナさんに食べてもらいましょうかねぇ?」


「ちょっ、ごめんなさいっ!謝るから許してください!セイジロウさーん!」

「まぁ、いいでしょう。じゃ、しっかりとミリアーナさんを頼みましたよ、では」


 ミリアーナさんのテントを離れたらマダラのとこに行こうとマダラを探したけどいなかった。


「あれ?....もう狩りに行ったのか?....じゃぁ、俺は、魔法の訓練でもして暇を潰すかな」


 そして陽暮れ前にマダラとガーディルのメンバーが狩りから帰ってきた。

「おーいっ!セイジロウっ!」

「みんなとマダラも.....無事の帰還ですね。何か嬉しそうですね、ガッソさん」


「おう!珍しくブルーバードが捕れてな!あと、オークが3匹!なかなかの収穫くだったぜっ!」

「狩ったのはマダラだけどね!セイジロウさん、セリーナは?」

「たぶん、ミリアーナさんのトコかと。フレーナさんも行きますか?」

「そうね、明日は出発だから顔を出しておきたいし」


 と、歩いていった。ちなみに、ガッソさんとレガソさんは先にマダラを連れて皆が集まる場所に行っていた。


 そのあとは、マダラ達が狩ってきたブルーバードとオークの肉を使った肉つくし料理を食べて、食後のプリンをミレアーナさんがいるテントに持っていき就寝した。


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