表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
57/226

シーバル遺跡調査・3

NO57

シーバル遺跡調査・3





 初日と2日目は周辺調査に使われ、3日目は地下の空間の調査に俺も付き合った。


「久しぶりに来ましたが、特に何も変わりはありませんね...」

「そうですか....もしかしたらセイジロウさんが地下の空間に降りたら何かが起きるかもと期待したんですが...」


 イヤイヤ、何物騒な事言ってるのギルバートさん....頼むから普通に調査してよ...


「まあ、それは起こらないだろうと予測はしてましたよ?そんな心配そうな顔をしないでくださいよ。わたしだって、危機管理ぐらいしますよ?さっ、まずは魔力を流してみますか?」


 地下にある魔法陣の空間には、俺とギルバートさん、錬金術ギルドの研究者が3人と冒険者パーティーが1組がいる。

 もしもを考えて、カーディル達とは違う冒険者パーティーに護衛をしてもらった。コレも今回の遺跡調査の依頼内容に含まれてるとギルバートさんは言っていた。


「じゃ、今から流しますよ?警戒だけはしといて下さいね」

 俺はみんなに注意を促してから魔法陣の端に手を付き、自身の魔力を流していく。


 最初は、ゆっくり.......まだ、いける......まだ、大丈夫............ちょっときついか.........


 床に描かれた魔法陣は、何の反応も示さなかった。


「....はっ....はっ....はぁ、ギルバートさん?どうですか?」


 魔力を少し使いすぎて息が上がるが、ギルバートさんに問いかけた。


「...セイジロウさん、ありがとうございます....反応はありませんね。とりあえず、セイジロウさんには休憩をしてもらいましょう。少し休んでいてください。その間に少し調べてみますから」


 ギルバートさんの言葉通りに、近くの倒れてる円柱に背をあずけて座り込んだ。すると、影に入ってるマダラから思念が飛んできた。


『辛そうじゃの、セイジロウ。前に言ったじゃろ?無理だと....ワレの言った事を信じぬからこうなるんじゃぞ』


『別にそんなんじゃないさ.....ギルバートさん達は自分達の考えや仮説を試したいんだよ。それが、研究者で探求者なんだ。やって出来ないって結果がほしいんだ』


『ふん...分からなくないが無理じゃ。あの魔法陣は一度しか発動せんよ』


『なんだよ?何か知ってるのか....知ってるなら教えてくれないか、マダラ?』


『別に構わんが....奴等に喋らないと約束すれば教えよう。ただ、ワレも確証に近い憶測じゃ、それでよいな?』


 俺は、マダラから聞いた事をギルバートさん達に話さないと約束し話を聞いた。


 マダラの話を聞いたが、小難しいくて凡才の俺では理解に苦しんだが、幾つかは何となく分かった。

 やはりあの魔法陣は【陽の民】の血を持つ俺の血液が発動の鍵となってること。


 マダラを喚び出せたのは偶々とか波長が合ったとかそんな感じらしい。この辺はマダラでも推測の域を出ないと言っていた。

そして、あの魔法陣は一度発動が成功すると二度は発動しない事。


 なぜマダラにそんな事が分かるかは、発動して喚ばれた時に自然と分かったみたいだ。なら、事前に話してくれよと言ったが、

『言ったところで遅かれ早かれこうなっていただろう。結果を求める研究者なら尚更な』


 そうかもと、俺は思った。ギルバートさんに今聞いた話をしたとしてもきっと試してみなければ納得しなかっただろう。


 ギルバートさん達の方を見れば、研究者が魔法陣を調べるのに忙しくしている。 きっと今が一番楽しいんだろう、調べてる人達は笑顔ではないが生き生きとしてるのは分かった。


『そうだな...それにもしかしたらマダラでも分からなかった事が分かるかも知れない可能性も無くはないだろ?人はいつの時代も可能性を広げ手繰り寄せて生きてきたんだから』


『ふん、物は言いようじゃな。それら全てが良いと言うわけではなかったであろう?現に手に余るものを作り破滅の道を進んでるではないか?』


 マダラのその言葉に反論はしたかったが、事実は事実だ。決して破滅を望んでるわけじゃなく、人が豊かに暮らせるようにと思って発展し進化してきたのに.....


『少し言葉が過ぎたの....今言う言葉では無かったしセイジロウに問うものでもなかったの。しばらくは動くのも辛いじゃろ、休むがいい』


と、それ以降は何も喋らなかった。


 あと数時間は地下遺跡にいたが、ギルバートさん達は何やら収穫はあったらしく一度地下空間から出ると言って地上へと戻った。


 昼も過ぎて中途半端な時間だったが、マダラは守りに行きたいと言うので行かせ、俺はマダラが帰ってくるまで適当に時間を潰した。


 陽が暮れ始めた頃にマダラが帰ってきた。

『セイジロウ、戻ったぞ。今日は時間が少なくてな、鹿と熊しか狩れなかったがな』


「いや、十分だろ....しかし、よくもまぁホイホイそんなに狩れるな?」


『こんなのは序の口じゃ。その気になればここら周辺の全生物は狩れるぞ』


「いや、それは止めてくれ。本当に....じゃ、とりあえず今日の夕食に使うか。今ならまだ捌いてもらえそうだしな」


 俺はマダラが狩ってきた鹿と熊を冒険者の人達に伝えると、喜んで解体してくれた。解体した鹿と熊の素材は分配して、肉は夕食に使われた。



 夕食をマダラと食べてると、

『セイジロウよ、先の狩りの時に洞穴に世捨て人がいたぞ。あれは落人だな。仕方ないと言えば仕方がないがな...』


「んっ?なんだ、その落人って?」


『知らぬか...いや、呼び方があれか。あれじゃ、賊の一種じゃな。理由がどうかは知らんが人の道のひとつじゃな』


えっ?賊を見つけたの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ