フローラとセイジロウの距離は?
No54
フローラとセイジロウの距離は?
昼間の買い物を済ませた俺とフローラさんは、陽が暮れると夕食をするためあるお店に向かった。
前に来た創作料理店ノクティスだ。
「あらー、すっかり仲良しそうね。その荷物を見ると買い物だったようね!」
「こんばんは、シーナさん。テーブル席空いてますか?」
「えぇ、空いてるわ。フローラの荷物は預かるわよ、帰りに言ってちょうだい」
「シーナ、ありがとう。助かるわ」
手にしていた荷物をシーナさんに預け、エンリさんが席を案内してくれた。
「フローラさん、今日は何にします?オススメはアースラビットの果実ソース添えですよ。ラビット肉を煮込んで柔らかくして、ハーブで焼いたラビット肉に甘酸っぱいソースを添えた料理です」
うん、説明を聞くだけで美味しそうな想像をしてしまった。
「ならそれで。あと赤ワインをお願い。セイジロウさんはどうするの?」
「う~ん、フローラさんが選んだ料理は美味しそうなんですが...シチューも良いんですよね」
「なら、両方で良いじゃないですか?今日は、フローラさんと買い物だったみたいですし、ガッツリ食べても良いとおもいますよ?」
と、エンリさんが誘惑的な言葉をかけてくる。だが、さすがに2つは食べ過ぎか?
「ならシチューは、2人で食べましょう。それなら、食べれるでしょ?わたしも今日はお腹が空いてるから食べれるわよ」
「じゃ、お言葉に甘えてそうします。それと、お土産にボア肉のサンドパンを2人前用意して貰えますか?」
「えっ?お土産?」
と、エンリさんが驚きつつ疑問に思った声を出した。
「マダラのね....今日は一度も見なかったわね?」
「はい、せっかくのデートですから。それに、マダラ自身も気を使ってくれたんでしょ。なので、お土産にと」
「あ~~、あの従魔ですね!色々と噂は聞いてますよ!なら、お土産も用意しときますね。では、ごゆっくり」
と、しばらく出された料理に舌鼓を打ちながら、料理の話、買い物の話に花を咲かせながらゆったりした時間を楽しんだ。
「今日は楽しかったわ、ありがとうセイジロウさん」
「いえ、こちらこそ。私も楽しかったですよ。気に入るものが買えて良かったですね」
「えぇ、よかったわ....それと、ブローチありがとう!大切にするわね!」
フローラさんが改めて笑顔を見せながらお礼を言ってくれた。この笑顔を見れただけで、ブローチを買ったかいがあったな。
「お話し中失礼します。こんばんわフローラさん、セイジロウさん」
と、ここで店主のノクティスさんが挨拶をしに来てくれた。両手に2つの皿を持ちながら...
「こんばんわ、ノクティスさん。お料理美味しかったわよ」
「こんばんわ、ノクティスさん。凄く美味しかったです」
「ハハ、喜んでくれてなによりですよ。で、新作のデザートを作ったので感想を聞かせてくれないかと....もちろん、サービスですから」
と、手に持つデザート皿を俺たちの前にセットしてくれた。
「レンジの果実を使ったムースケーキです。卵と砂糖、レンジの実を材料にして冷やして象ったムースに、レンジの実とハーブを使ったソースをかけたものです」
見た目は美味しそうで色合いも悪くない。お洒落感もあって見映えは満点だ。
「あら、今日はいつになくサービス性が高いのね」
「たまたまですよ。暖かくなってきましたし、喉越しがいいデザートを考案中なんです。さっ、ちょっと食べてみて下さい」
「はい、いただきます」
パクリッ...うん!旨いなっ!ムースが口にとけると同時に、レンジの実の柑橘系の匂いと味が口の中に広がる。ソースに使われてるハーブも清涼感があって爽やかさを感じる。甘さも控え目で口の中もくどくない。
「「美味しい!」」
「ふふ、どうやら合格はもらえましたか?」
「ちなみにー、発案はわたしだからねぇー!!」
試食してると、ノクティスさんの妻でシーナさんがやってきた。
「あら、以外ね。シーナが発案なんて」
「ちょっと、失礼じゃない!私だって、料理ぐらいは考えるわよ...作るのはノクティスだけどね!」
「へぇ、シーナさんが発案ですか....うん、女性観点から見たデザートですね。良いと思いますよ?味も美味しいですし」
「やっぱりぃー!セイジロウさんは分かる人ね、フローラには勿体ないわねぇ」
「ちょっと、セイジロウ!シーナが付け上がるから誉めなくていいわよ」
「なによ、焼きもち?良い年して子供みたいな事言わないのよ、フローラ?」
「そっ、そんなんじゃないわよ!それに、歳は関係ないでしょ?!」
「ふふ、さっきはプレゼントのお礼を顔を赤くしなが言ってたじゃない?子供みたいだったけど?」
「シーナっ!」
「はいはい、そこまでにしようねシーナ?お仕置きされたいの?」
フローラさんとシーナさんの騒ぎにノクティスさんが止めに入った。ノクティスさんに止められたシーナさんは、軽い謝罪をしながら仕事に戻っていった。
「フローラさん、すいません。シーナには後で僕から言っておきますから」
「いいえ、わたしもちょっと大人げなかったと反省するわ」
「まぁ、仲がいいことは悪くないじゃないですか?デザートは美味しかったんですから、ねっ?」
「そうね、デザートに罪はないわよ。美味しかったわ、ノクティス」
「ありがとうございます。後日から販売しましょうか。では、ゆっくりして言ってください」
ノクティスさんは、食べ終えた皿を下げ仕事に戻った。
「ふぅ、何かシーナさんが来ると疲れますね」
「ホントよ、黙って仕事出来ないのかしらね?」
「ハハハ、まぁあの明るさがあってのシーナさんじゃないですか?人当たりも悪くないですし、見た目も良いですからね」
「シーナは人妻よ、ちょっかいは出さないようにしなさいよね」
「へっ?やだなぁ、出しませんよ。フローラさんも、変な男に引っ掛からないように気をつけた方がいいですよ?口が上手いな人は特に」
「.........そうね、十分に注意するわ」
あれ?なんか一瞬空気が.....気のせいかな?
その後は、馬車を呼んでもらいフローラさんは荷物と一緒に自宅へと帰った。俺も途中まで乗せてもらって自宅へと帰宅した。
ちなみに、帰宅してからはマダラにお土産を渡しちょっとした愚痴を聞いてから眠りについた。