マダラとセイジロウの主従関係
No49
マダラとセイジロウの主従関係
ハルジオンの街に帰ってきてから数日、生活のリズムは戻ってきていた。
さて、今日も頑張りますか!
『セイジロウは、街の外に出ないのか?帰ってきてからはずっと甘味やら魔法の訓練だけではないか!』
「食事処の給仕に魔石に魔力の補充もしてるだろ?」
『それは知っておる!街の外で魔物と戦わないのか、と聞いてるんじゃ!せっかく、ワレの力も分かって魔法も扱えるのじゃ。そして、倒すべき魔物が街の外を縦横無尽に跋扈しておるのだぞ?漢なら戦わずしてどうするっ!』
「いや、別にどうもしないだろ?俺にはやるべき仕事があるし、それで生活出来てるんだ。不自由もなく不満もない。平和が一番だよ。さっ、ギャアギャア言ってないでギルドでは大人しくしてろよ?近い内に、何か依頼を受けてやるから」
『.....まったく、陽の民も時が経つとこうも変わるのか....昔は.....侍とは...』
と、ブツブツと思念で何か言ってるけど、無視だからな?お前と違ってこっちはちょっと魔法が使える一般冒険者なの。
平々凡々で安定な生活を望む中年よ?夢を見るのは異世界ファンタジーと○葉原で十分だろ。
「さてと、マダラはいつもの場所な。俺は、受付で依頼を受けてくるから」
と、マダラと別れて受付に向かう。
「おはようございます、アリーナさん。依頼の受付お願いします」
「セイジロウさん、おはようございます。いつものですね。.......はい。それと、ランクアップと先日の緊急討伐依頼で魔物の売却金の一部が報酬と支払われますよ。どうします?」
ギルドマスターが言ってたランクアップね....どれくらいになるんだろ?
売却金は口座でいいか....
「じゃ、魔物売却金は個人口座で。ランクアップは手続きお願いします」
「分かりました。ランクアップは凄いですよっ!なんと....なんとっ!Dランクです!!飛び級ですね」
「えっ?.....そこまで上がるんですか?」
マジかよっ?やっぱり緊急討伐でか?
「はい、正式なものですね。依頼数、依頼に関する成功率、実力、ギルドの評価などの査定でどれも高い水準値です。あと、やはり先日の緊急討伐の件ですね。あれで、セイジロウさんとマダラちゃんは名が広まりましたから.....さすがにFランクのままでは冒険者ギルドとしても上げないわけにはいかないですし....」
「はぁ....やはりそうですよね。私としては、あまり望まないのですが....」
「それ、他の冒険者達に言わないで下さいね。要らぬ嫉妬や妬むを買いますからね。さて、手続きは済んでますから書類にサインと新しいギルドカードを渡します。古いのは返却です」
アリーナさんが出した書類にサインして新しいギルドカードを受けとる。
「へぇ.....ギルドカードは余り変わらないんですね....ランク表示が変わっただけ?」
「見た目はそうですが、偽造防止処置はされてますよ。無くさないでくださいよ。あと、錬金術ギルドから呼び出し依頼が来てます。......何したんですか?」
なっ、なにもしてないよ?そんな目.....ジト目.....ありがとーございますっ!!ジト目いただきました!
「何ですか?....何もしてないですよ?...なんでしょうねぇ?」
「また、知らずに何かしたんじゃないですか?セイジロウさんにはその辺の自覚が足りないですからね」
「そんな事ないですよ」
「なら、良いですけどね.....事が大きくなる前に事前に報告して下さいね。フローラさんにもまだ帰ってきた挨拶をしてないでしょ?」
「まっ...まぁしてませんね.....何か言ってました?」
「何も言ってませんけど.....心配はしてましたよ。早めに挨拶する事を推奨します」
いや、タイミングがね....ハハハ....はぁ....うっかりしてたなぁ、あとで挨拶しよ。
「分かりました、あとで挨拶します」
と、早速プリンの仕込みとフレンチトーストの販売準備をしますか。
▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽▽△
『マダラー、何か錬金術ギルドに呼ばれてるらしいよ?何かやった?』
『ワレは知らんぞ?それに、何じゃ錬金術とは?』
『あれ、知らない?有名な話だと、非金属か金を生み出す技術。不老不死の秘薬を作る術に賢者の石? とかかな?』
『ふむ....神術に近いのぅ。』
『なに?心当たりあるの?』
『無くはない。ヌシ様が【陽の国】を創造したのは知っておろう?』
あれでしょ、イザナギとイザナミによって作られたやつね。
『まぁ.....チョロッと知ってる?』
『はぁ.....セイジロウは不学者であったか....良いか、今セイジロウがいるのはすべてヌシ様のおかげなんじゃぞ?ヌシ様が国を創り民が生まれ時代を経て、セイジロウが生まれ生きてるのじゃ!陽の民なら生まれの歴史ぐらい--』
あー、始まったよ....マダラはたまに小姑みたいにチクチク説教が始まるよな....まぁ、不勉強なの認めるけど、何千年?何万年前の話なんか分かるかよ....
あとちょっとでフレンチトーストも完売だしな....何で錬金術ギルドから呼ばれたんだろう?
てか、フローラさんどうしよ?帰ってきてから喋ってないし、仕事してる姿は見るけど...なんか改めて言われるとちょっと躊躇しちゃうよな....
『おい、聞いてるのかセイジロウ!!』
『はい.....で、錬金術ギルドから何だけど、何かした?』
『しとらんわっ!このバチ当たりが!ヘラヘラした顔で甘味なんか作っとる場合か!』
『なら、マダラは要らないんだな?この甘味は人が研鑽と閃き、試行錯誤をした上で編み出された偉大な甘味だぞ?確かに、国を創るような事と比べたら小さいが、それでも、人の努力で生み出され物だ。これを食べた陽の民が笑顔になる甘味を売って悪いか?んっ?プリンもそうだぞ?んっ?』
まぁ、初めて作った人は日本人じゃないけどね.....
『ぐっ....だが、賢者は歴史から学ぶのだ。甘味--』
『要らないんだな?俺に歴史学の知識は少ないが、甘味を作り出す技術と知識がある。いづれ時が経てば歴史にもなる....かもしれない。甘味をバカにするもの甘味に泣くぞ?』
おっ?上手い事いったんじゃない?錬金術の話から甘味の話に飛んだけど、まぁ、これも錬金術だよな?
錬金術は台所から生まれたって聞いた事あるし....
『....ふん、....今日はこれで終いじゃ。ちと、腹が減ったぞ。フレンチトーストを所望する』
『代金は大銅貨1枚になりまーす!!』
『銭を取るのかっ?!ワレはセイジロウの守護者じゃぞっ!』
そりゃ、商売だからね.....
こんにちわ、紫煙です。今作は、どうですか?恥ずかしいのですけど、前作はかなり煮詰まってまして....ごめんなさいです。
こっちは何とか頑張りますから!すでに、60話までは描いてありますからぁ!