話し合い・中編
No36
話し合い・中編
冒険者ギルドの大会議室内での話し合いは続く。
今はマダラが話した。【陽の民】について話をしてる。
『陽の民とは、ワレを生み出したヌシ様が創り出した国の大事な民だ。ヌシ様が大事にする民を守護するのがワレの役目。その民から召喚されれば否はない。よって、ワレはセイジロウの召喚に答えた。』
「国を作った....?マダラの主はセイジロウ以外にいるのか?」
マダラとギルドマスターのダンが会話してる。マダラはすでに、俺の魔力で体を寝転がるくらいには回復した。
俺の魔力は大分無くなったけどな.....あれだけ魔力をやったのに、ちょっとしか回復しないマダラって.....これからどうやって回復させよう?
『主はセイジロウじゃ。だが、ワレを生み出したのヌシ様だ。ヌシ様がワレを生み出さなければワレではない違う守護者がセイジロウの元に召喚されただろう。』
「?....頭が疲れてきたぞ....セイジロウはどこの国の民なんだ?」
「資料では、ニホンとありますがわたしは知らないですね....ギルドマスターは?」
「俺も知らん。どこかの小国あるいは、まだ知られていない場所に存在する国だろうな。」
『日本は、この世界に存在する国ではない。別世界、異世界に存在する国でその国の民がセイジロウだ。セイジロウは、次元に歪みが生じそこに入り込んでしまった【迷い人、神隠し】に合ってしまった民だ。』
「??」
ダン、スミス、アンナ達が呆気にとられていた。大会議室内は静まり、沈黙が少しの間だけ支配した。
俺は紅茶を飲みながらその光景を見ていた。ちなみに、マダラが寝転がるまでに回復した時に自分の席に戻ってる。
ほんの十数秒だけ沈黙が場を支配した後、ギルドマスターのダンが俺に顔を向け話しかけた。
「....マダラの言葉は本当か?セイジロウがこの世界とは違う世界の人だというのは?」
「はい、私は異世界の住人です。」
と、手を触れた魔導具にも変化はなかった。
スミスとアンナは目を見開いて驚愕し、ダンは椅子の背もたれに体を預け腕をくんだ。
「本当ならずっと秘密にしてよう思ってました。ですが、マダラが喋ってしまったので.....別に隠す必要はないんですが、異世界人というだけで、いらぬ争いに巻き込まれたく無かったんです。そこは、察して下さい。」
「.....今日は何度驚けばいいんだ?....スミス、俺はすでに頭が痛い、あとは任せていいか?」
「ダメに決まってるでしょ?何言ってるんですか....ではセイジロウ....何を聞いていいのか、私もよく分かっていませんが、他にも異世界からやって来た人はいるんですか?」
「私が知る限りはいません。スミスさんは、異世界人に心当たりはありますか?」
「ありません。ギルドマスターは?ありますか?」
「俺もねぇな。知らずにどこかで暮らしていたら分からんだろ。現にセイジロウが言わなきゃ、異世界人とは毛先程にも考えなかっただろうな。」
「そうですね、ただ異国から来た旅人だとしか認識してませんからね.....すでに抱えきれない問題になってきましたね」
「だな.....」
大会議室内が何とも言えない雰囲気になってきた。ついでに言うと腹が減った。
「少し休憩しませんか?お腹も空きましたし、食事をしてから再開しませんか?」
ここで頭を休める為に食事休憩を提案した。
「賛成だ、スミス休憩しよう。」
「分かりました、フローラもまだ目を覚ましませんし医務室に念の為に医務室に運びましょう。アンナ、フローラを医務室に。.........それと、今の話は3人だけの秘密です。改めて協議しますので1時間程休憩したら話し合いを再開します。食事は別室に用意しますから、セイジロウはそちらで。わたしとギルドマスターは執務室で食事をしながら打ち合わせです。アンナはフローラを医務室へ連れていきなさい。」
副ギルドマスター達が大会議室を出ていった。マダラは俺の影に入り、俺は別室へ案内に従って向かった。
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昼も過ぎ、別室で食事をしてるとフローラさんを連れたアンナさんが一緒にやって来た。
俺は、フローラさんを見てすぐに謝罪した。
「フローラさん、あんな事をしてしまってすみませんでした。」
「まったくですよ、セイジロウさん。ずいぶんな手のひら返しでしたよ。あれがセイジロウの恩返しですか?」
「言い訳はしませんが、説明の余地は私にありますか?」
フローラさんを見た限りでは、怒り心頭といった感じでは無さそうに見えた。なので、説明を要求してみた。誤解の無いように俺自身の説明をしたかった....
「.....いいでしょう。説明を聞かせて下さい。」
「ありがとうございます。マダラがなぜフローラさんを標的にしたのかは、理由は1つです。フローラさんが私にとって大事な存在だからです。フローラさんに害があると私にも害となり、マダラにとっても害となります。誰にとっても良いことは1つもありません。」
『そうじゃ、セイジロウの言う通りだ。ワレからも詫びを示そう。セイジロウの嫌疑を晴らす為に利用してすまなかった、フローラ。』
マダラは俺の影を広げて顔だけ出して思念をフローラに飛ばして謝罪した。ちなみに、アンナさんにも思念は飛んでいて、用意されていた紅茶を飲みながら俺達の話を聞いている。
「大体は理解してるわよ。そうだと思ったわ、けどそうじゃ無かったら....嫌だなって思ったのよ。どうせ、マダラはこうなるって知ってたんでしょ?セイジロウさんもでしょ?」
『ふむ、ワレは知っていたがセイジロウはどうなのじゃ?』
「俺は、ホラ....流れ的に大丈夫かなって。マダラはアホだけどあの場面でバカな事をしないのは何となく理解出来たよ。だから話に乗っかったんだよ。」
『ふむ、主から信頼されるのは良いものだ。これからもその信頼を向けてもらえるように精進しよう。』
「頼むよ、本当に....切実に頼むよ。」
「セイジロウさん、話は終わってないわよ。ようは何となく大丈夫というあやふやな気持ちで巻き込んだんですね?そうだと理解していいんですね?セイジロウさん?」
ちょ.....何か怒ってますねフローラ....でも、怒ったフローラさんもまた美人でいいなぁ....
「待ってください。フローラさんだから成功したんですよ?フローラさんだから、あれで済んだんですよ。なぁ、マダラ?」
『そうじゃ。セイジロウがフローラを大切に思っていたからワレは縛にされた。仮にフローラ以外だとしたら威圧ではなく、殺気を振り回していただろう。さすれば、その人間は廃人になっていただろうな。もちろん、縛になって手出しは出来なかったが殺気だけでもヤりようはあるからの。』
マジで...そんな事ならなくてよかった。正直、あの瞬間違う人にしてもらうか悩んだんだよね....
「ほっ、ほら。私はフローラさんが大切なんです。それに、フローラさんは私がフローラさんを傷つけると本当に思ってましたか?」
「......いえ、セイジロウさんがわたしを傷つけるとは思っていません。べっ、別に自意識過剰とかそんなんじゃないですよ!ただ、あの場で不利になるような程バカな事をするような人ではないと、わたしは知ってますからっ!それだけです!」
いやぁ、テレるフローラさんも可愛いなぁ。美人って怒っても可愛いって本当なんだな。
「信じてもらえて何よりです。じゃ、フレンチトーストでも食べます?お詫びに作ってきますよ?」
「そうですね、セイジロウさんが言った事ですからね。よろしくお願いします。」
「セイジロウさん、わたしもよ。あの時、約束したわよねぇ?」
とアンナさんからも声がかかりギルドの食事処で手早くフレンチトーストを焼いて2人に持っていった。
食事休憩も終わり、午後の話し合いに3人は大会議室へと向かった。