初めての寝落ち?
No23
初めての寝落ち?
この世界にきて初めての冬だ。こっちはでは氷雪季と呼ぶみたいだ。
「おはようございます、アリーナさん。」
「はい、おはようございます。」
「この依頼の魔石を増やせますか?もう少し数がこなせそうなんですよ。」
「出来ますよ。それとも、魔石を大きくしますか?」
「魔石を大きくすると補充する量も増えるんですか?」
話を聞くと、魔物から得られ魔石は様々な大きさがある。親指の爪程の大きさから、大人一人が抱える程の大きさまで....
魔石が大きくなる程価値がある。さらに、小さくても魔石の色の彩りよっても変わる。色の色彩がハッキリするほど、内蔵魔力は多くなる為、小さくても色彩が鮮明な魔石は価値が上がる。強さも上がるが.....
「そうなんですね....知識不足でした。ありがとうございます。なら、今の大きさを5つと一回り大きいのを5つにしてもらえますか?」
「分かりました、そのようにしておきますね。ビルドさんの仕事が終わったら取りに来てください。ちなみに、フレンチトーストは今日も売りますか!?」
「えぇ、売りますよ....では、よろしくお願いしますね。」
と、いつも通りプリンの仕込みとフレンチトーストの準備をしながらお客さんを待つ。
しばらくして受付嬢のアリーナさんがギルドの食事処に現れた。
「セイジロウさんっ!フレンチトーストはまだ、ありますかっ?!」
「ありますよ、注文します?」
「はいっ!お願いします。昨日は忙しくてダメだったんですよ。食べた人の話を聞くともう食べたくて食べたくてっ!」
「ありがとうございます。飲み物はどうします?アイスティーと紅茶しか無いですけど...」
「では、紅茶で。最近は寒くなりましたからね...」
と、雑談をしながらフレンチトーストを焼き始め、紅茶を準備する。
「そうですね。女性にとっては辛い季節になってきましたね。」
「そうなんですよー、一応、熱が発生する魔導具はギルドが各部署に支給してくれるんですけど、それでも寒いですからね。」
「辛いですね。....ギルド内が暖かかったら良いんですけどね....」
女性用に向けて膝掛けを用意した方がいいか?
「そうだ、アリーナさん。カラの魔石って販売してたりします?」
「カラの魔石ですか?.....どうだろ?魔石自体なら販売しますけど、カラの魔石だと....急ぎで欲しいなら雑貨屋とか魔導具屋、錬金術ギルドとかならあると思いますよ?」
「そうですか、ありがとうございます。はい、紅茶です。ちなみに、体を暖めるハーブを入れてありますよ。」
「わぁあ!ありがとうございます!」
と、フレンチトーストも焼き上がったので盛り付けて出した。
「はい、お待たせしました。フレンチトーストです。」
「ん~~っ!!良い匂いっ!いただきます。」
アリーナさんは食べると同時に声にならない声を出しながら、満面の笑みをしながらフレンチトーストを食べた。食べ終わるまではずっと笑顔だったな。
女性の笑顔はいつみても眼福だな....
「紅茶のお代わりはどうですか?入れ直しますよ?」
「はい、いただきます。それにしてもフレンチトーストは美味しいですね!幸せですよっ!」
「喜んでもらえたようで何よりです。紅茶のお代わりはサービスしますから、宣伝をお願いしますね。」
「分かりました、承りましょう。」
と、休憩が終わったアリーナさんは仕事に戻った。
今日もフレンチトーストの売れ行きは順調で、プリン販売はギルド職員に任せて魔法の鍛練に向かった。
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最近は、各属性の魔法の種類が増えてきたのがちょっと嬉しい。
火魔法では、火球、火槍。風魔法では、風球、風刃。水魔法は、水球、水槍、水流。土魔法は、土球、土弾、土槍、土壁。
氷魔法は、氷球、氷弾、氷槍、氷壁。
ほぼ初級魔法はクリアした。さらに、魔力量も増えつつある。
一通りの魔法を小規模で発動していき、想像力と発動速度を上げる練習をする。最終的到達地点は、コンマ秒単位で発動させる事だが、いつになるやら......
程よく魔力も使い少し体にダルさを感じ、魔法の練習を止め片付けたら街中の雑貨屋に向かった。
「こんにちはー」
「はーい!いらっしゃいませ!」
と、雑貨屋の扉を開けながら言うと耳に心地よい声が聞こえてきた。見るとカウンターの向こうには、10代後半と見られる女の子がこっちを向いていた。
「何をお探しですかー?」
「カラの魔石を探してます。ありますか?」
「カラの魔石ですか?また、珍しいですね。普通は魔力が補充されてる魔石を欲しがるのに....」
「ちょっと必要になりまして....無いでしょうか?」
「ありますよ、大して大きくないですけど、魔導具用のカラ魔石なら幾つか売りますよ。」
「なら、銀貨1枚で売れるだけ売ってもらえますか?」
「それだと、小さいのが一杯になりますよ?数が欲しいのか、魔力がたくさん入る魔石がいいのか選んでもらわないと....」
「あっ、そうですね。では、銀貨1枚分の魔石を1つ下さい。」
と、魔石を売ってもらった。小ぶりのミカンぐらいの大きさだった。
すぐに自宅へと戻り魔石を部屋の金庫にしまい、ギルドの食事処へと向かった。すでに、陽も落ち始め依頼から帰ってきた冒険者で混む始めるだろうと考えながら。
そして、いつものようにギルドの食事処の仕事をこなし帰りに、ギルドの受付で魔力補充依頼の魔石を受けとり自宅へと帰った。
手早くお湯で体を拭き賄いを食べ終わると、まずは依頼の魔石を取り出す。
「さて、この後は買ってきた魔石の補充があるからなさっさと済ませるぞ。」
魔石の補充は1時間程で終わり、やはり自身の魔力量は上がっていた。
「うん、練習後から考えても魔力は切れなかったな。回復速度の上がってるか?こういうときに、自分の魔力量の確認が出来たら便利なのにな...」
と、愚痴を言いながら、買ってきた魔石を金庫から取り出し魔力を込めていく。
あっ.....こりゃムリだ....
魔力を込め始めて10分ぐらいで俺の魔力はカラになり気を失った。
もう1話投稿予定です。
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