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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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プロジェクト開始・6

No208

プロジェクト開始・6




 翌日、目を覚ましてマダラに昨夜の見張りの状況を聞くが、

『静かなもんじゃったぞ。セイジロウが気にするほどでもないわ』

 と、いつも通りの返事が帰ってきたので俺はマダラの影の中から朝食の食材を出してもらい準備を始めた。


 朝食の準備が丁度終わる頃にリリアーナが起きてきた。

「リリアーナ、おはよう。少し起きるのが遅かったけと体調は大丈夫?」

「平気。ちょっと寝すぎただけ」

 と、森の中の夜営で眠りすぎただけとは.....将来は大物の可能性が?

 と、バカな事を考え頭から離しマダラとリリアーナの受け皿にスープとバゲットパン、焼いたベーコンにサラダを盛り付けて渡した。


 マダラとリリアーナは用意された朝食を食べていく。

『ふむ。セイジロウ、肉は無いのか? ちとワレには物足りんぞ』

「わかった、今から焼くからちょっと待ってくれ」

「セイジロウ、わたしも欲しい。ちょっと足らない」

「えっ? リリアーナも? 食べれるなら焼くけど食べ過ぎると動けなくなるよ?」


「そこは大丈夫。動けなくなるほど食べたりしないから」

 と、リリアーナも朝食の量が足りないと言ってきた。そう言われて思い出してみると最近は俺と変わらないぐらい食べていた気がする。時には俺より食べる日もあったくらいだ。


 成長期か? 確か十代前半から中盤にかけて俺は背が伸びたりしていたからな。女の子も中学生くらいから妙に発育が良い女子もいたからな。


 俺はマダラとリリアーナの分の肉を焼いて受け皿に盛り付けてあげた。マダラとリリアーナはそれをペロリっと平らげ俺はリリアーナの食事の量に少し驚いたが、まぁ成長期だと思う事にした。

 それから朝食の休憩を済ませると【テーネビスアベム】の討伐に向かった。


 現在いる森の中でテーネビスアベムを探し出すには広すぎるし、実際の姿を見たことがない。それに、森の中には他の魔物や獣がいる。むやみやたらに探し回っても効率が悪すぎる。

 しかし、テーネビスアベムは森の中ね木の上に巣を作る習性がある。俺はテーネビスアベムを誘き寄せるための行動を森の中でおこなう。


 目星を付けた森に到着すると、まずは周辺の探索をすくに行った。テーネビスアベムとの戦闘が最低でも行える拓けた場所が必要だったからだ。


 マダラに頼んで数匹の犬狼を影の中から出してもらい探索に協力してもらった。俺とリリアーナはその間に作戦の確認をリリアーナと行い、マダラにも伝えてもらうように頼んだ。


 しばらくて作戦に程よい場所が見つかり俺はマダラとリリアーナと別れて、犬狼たちに護衛をしてもらいながらテーネビスアベムを探しに行く。


 マダラから授かった黒いローブ【黒衣透翼】を纏い気配を消しながら森の中を探索する。探索を始めてから一時間ほどでマダラの犬狼がテーネビスアベムの巣を発見した。俺は犬狼に案内を頼みその場所へと向かった。


 俺はテーネビスアベムが巣を作ってる木を眺めた。

「やっとか....よし、やるか」


 俺は覚悟を決めると手荷物の鞄から通常より大きめなハンマーを出した。このハンマーで木の幹を叩きテーネビスアベムの注意を引き付けマダラたちが待つ場所まで誘導するのが俺の役目だ。


「いくぞ、せーのっ!」

 

 バコーーンっ!


 木の幹にハンマーを打ち込むと良い音と振動が幹を伝い上から獣の鳴き声らしいものが聞こえてきた。


「よしっ! 犬狼たちも逃げる準備はいいな?」

 と、言葉は通じないが意思は伝わったようだ。

 俺と犬狼たちは上空からテーネビスアベムが降下してくるのを確認するとすぐに走り出した。

 森の中は大木が生えているがそれほど密集して生えてるわけではないので走りづらくはない。俺は後方を確認しつつ犬狼たちと一緒に必死で走る。


 テーネビスアベムは森の中の木々を上手く避けながら俺たちを追ってくる。木々の合間を縫うように犬狼たちと走り時折、天装具である【透縛鎖靭】を使いテーネビスアベムの注意を惹き付ける。


「はぁ....はぁ.....こ、れは、ちょっと....キツいな...はぁ.....はぁ....」

 息も途切れ途切れになりつつも、必死に足を動かして走る。犬狼たちは俺を援護しつつもテーネビスアベムへと攻撃を繰り出し注意を惹き付けてくれる。


 そんなやり取りをしながら森の中を駆けるとようやくマダラとリリアーナが待機してる近くの目印を視界に捉えた。


「はぁ.....はぁ....あと....少し....」

 すでに体力は尽きかけている。が、残りは気力で走るしかない。

 犬狼たちは間近に迫ってくるテーネビスアベムを牽制しながら俺の背後を守ってくれていた。

 そして、ようやく目印の場所を通り過ぎると俺は声を張り上げた。


「マダラぁーーっ!」

 と、叫ぶと獣の野太い咆哮と共に黒と白い毛を身に纏った巨体な獣と、その背に乗る小さな少女が姿を現した。


 俺は体力の限界に達し大木の幹に体を預けて倒れこんだ。


 マダラとリリアーナは犬狼たちが必死にテーネビスアベムを牽制してる場所へと乗り込んで戦闘が始まった。


 マダラがテーネビスアベムへて接近に前脚を振るうと、テーネビスアベムへと直撃しテーネビスアベムは大木の幹へと叩きつけられた。


 リリアーナはマダラがテーネビスアベムへと接近する前にマダラから飛び降り、もう一匹のテーネビスアベムへと接近すると同時に種族特有の風魔法を使いテーネビスアベムを上空から地上へと落としすかさず装備している短剣で斬りつける。


 マダラはすでに一匹のテーネビスアベムを倒し、それからしばらくしてリリアーナも残りのテーネビスアベムを倒した。

 俺は大木に寄りかかりながらその戦闘の光景を見ていた。


(はぁ.....マダラもリリアーナも平然とBランク相当の魔物を倒しちゃうんだな.....このパーティーで一番弱いの俺だと分かってはいたけど......さすがに目の当たりにするとへこむな)

 と、内心で思いつつ体力の回復に努めていると、

『セイジロウ、戦闘は終わったぞ。鳥の魔物もワレの影に保管した』

「セイジロウ、終わった。無事にここまで帰ってきてくれて嬉しい」


 マダラとリリアーナがそう言ってきたので軽く返事を返して、一度夜営をした場所まで帰る事にした。


 夜営をした場所にたどり着くと簡単な食事を取り体を休めてからハルジオンの街へとゆっくり帰った。


 今回はBランク相当の魔物という事で俺が進んで囮役をかって出た。俺の実力じゃまだBランク相当の魔物は倒せないからだ。

 マダラたちと一緒にテーネビスアベムの巣へと乗り込んで倒す案も出たが、テーネビスアベムは気配が敏感な為に気づかれる事が予想された。

 マダラなら気配を抑える術を持っていると思うがリリアーナはそうではない。


 なら、マダラと一緒にと考えるがそれではリリアーナが必要なくなる。俺たちはパーティーを組んでいるのだからリリアーナだけを取り残して魔物を倒すというのは何か違う気がした。

 

 そうした考えから今回のような作戦になったわけだが、やはり自分の戦力不足は問題の一つだと理解した。俺にもっと実力があれば違う作戦も考えられた事だ。


 ハルジオンに戻りハルジオンチェスのプロジェクトが落ち着いたら自身の実力不足を鍛え直さないといけない。


 そんな事を少しだけ真剣に考えつつ、ハルジオンの街に帰ってからのプロジェクトの事も頭の隅で考え街へと戻ってきた。

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