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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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プロジェクト開始・5

No207

プロジェクト開始・5



 俺は改良版の【ハルジオンチェス】に必要な物の中の一つである魔石、それもBランククラスの魔石を手に入れるために冒険者ギルドで依頼を受けた。


 事前にマダラとリリアーナに相談したら、

「んっ! マダラとの訓練の成果を見せてあげる」

『やうやく体を十分に動かせそうじゃのっ。そろそろ退屈しておった頃じゃ』

 と、一人と一匹はずいぶんとやる気を出していた。 


 マダラとリリアーナしてから食料などの買い出しを行い準備を始めた。それと、各ギルドには数日ほどハルジオンの街を留守にする事を伝えておいた。


 俺とマダラとリリアーナはハルジオンの街門で手続きをすると、Bランク相当の魔物が住む森へと向かう。

『マダラ、今回はちょっと面倒な魔物だけどよろしく頼むよ。リリアーナも頼りにしてるから』

「んっ! 任せてっ」

『ふん、ワレにかかれば造作もない。久しぶりに暴れ.....少しだけやる気を出してやろうっ!』

「今、暴れるって言ったろ? むやみやたらに力を振るうなよ。んじゃ、まずは、東に向かってから南に向かうから。道中はいつも通りに倒せそうなら倒すけど、無理はしないからな」

 と、俺とリリアーナはマダラに股がり出発する。


 今回、冒険者ギルドで受けたBランクの依頼は森の中に生息してる【テーネビスアベム】という、大型の鳥の魔物だ。

 氷雪季になると活動を活発化させる魔物だ。寒さで動きが鈍るこの時期にとっては厄介な魔物だが、俺にとってはありがたかった。


 テーネビスアベムは基本的に獣しか襲わないらしいので、罠をはりそこで仕留める計画だ。

 冒険者ギルドがテーネビスアベムをBランク相当の魔物に設定してるが、危険度は通常のBランクよりも低い。が、油断は出来ない。何せ鳥型の魔物な為に襲われるの上空からとなる。以前にもルインマスの街で受けた依頼の最中に不運にもBランクの魔物と対峙した事があったが、その魔物も翼類型の魔物だった。


 人種にとって空から襲ってくる魔物に対してはそれほど有効な攻撃を持ち合わせていない。魔法が使えるとは言っても所詮は地上からの迎撃でしかない。

 上空を自由自在に飛び回る魔物に対してはやはり一筋縄ではいなかい。そのような理由も含めてギルドはテーネビスアベムをBランクの魔物にランク付けをしてると受付嬢のアリーナさんは教えてくれた。


 通常ならたかが二人と一匹で受けるような依頼ではないが、アリーナさんは俺とマダラの事情もしているし、リリアーナがばバードン種というしかも、人とバードン種のハーフという事も知っている。

 見た目が幼いリリアーナだが、実力はマダラとそれなりに張り合えるぐらいはあるし、俺は一応Bランクの魔物を討伐した経験もあり今回は俺たちだけで依頼を受ける事ができた。


 まぁ、そうでなくても自身の冒険者ランクの依頼は受けれるのだが、そこはやはり知らぬ仲ではないので心配をしてくれたのだろう。


 それ以外でもこの時期に手軽な、とはまでは言わないが危険度の少ないBランク相当の魔石を持つ魔物がテーネビスアベムしかいなかったと言うのも理由の一つだ。



 マダラに股がり時折休憩はとりながら、半日ほどの時間をかけてようやくテーネビスアベムが生息している森へと辿り着いた。

「マダラ、ここら辺が今回の討伐対象となる魔物がいる森だと思う。とりながら、夜営の出来そうな場所を探しつつ辺りを探索しよう。リリアーナは俺と一緒でマダラはいつも通りで頼むよ。あまり魔物を狩りすぎなよ」


『分かっておる。陽が暮れるまで戻るからのっ!』

 と、伝えてからさっさと森の中へと入っていった。


「じゃ、リリアーナは俺と一緒に周辺を警戒しながら探索しようか。いつも通り薬草などギルドで買い取ってくれそうな物を採取しよう」

「お金は大事。それに、新鮮な薬草があれば多少は傷薬とか作れる」

「そうなの? へぇ、リリアーナは凄いな。それは、お母さんたちに教わったの?」

 俺とリリアーナは森の中を警戒しつつ一緒に歩きながら辺りを見回す。


「うん。父様に教わったの。覚えておいて損はないから覚えておけって言われた」

「そうなんだ。確かにそういうのは覚えておいて損はないよね」

 俗に言うサバイバル技術みたいなものなんだろう。

 知らない土地、森、山などで不運にも一人になってしまった時などで役立つ知識はいくらあっても困らない。


 こっちの世界でもそうだけど水、食料は必須だ。水を確保したからといって気軽に飲めば腹を下す事になる。もちろん、魔法があるから水を生み出す事も魔導具を使って水を作る事も出来るが、どちらも魔力を使用する事になりいざという時に魔法が使えないと命とりになる。


 その為にサバイバル技術はあって困る事はない。病気や怪我に効果がある薬草を知っている、調合して作れる技術はあって困る事はないだろう。


 実際、俺も冒険者になってからそういう知識を資料や人づてて学んだりした。


「リリアーナは俺より博識みたいだから俺にも教えてくれるかな? 本当なら俺が教えてあげれると良いんだけど、知識も経験もまだまだ未熟だから」

「んっ! わたしが知ってる事を教えてあげる。セイジロウはわたしを頼ってくれていいの」

 と、少し誇らしげな顔をしながらリリアーナが言ってくれた。

 俺はリリアーナの頭を撫でながらお礼を言った。リリアーナは目を細目つつ嬉しそうにすると、それからは探索しつつ小さな少女に教わった。


 そんな風に数時間ほどリリアーナと一緒に行動してると、探索という名の狩りからマダラが帰ってきた。

『セイジロウ、帰ったぞっ! 久しぶりに体を動かせてワレは満足じゃ!』

「おかえり、マダラ。満足出来てよかったな。それで、夜営出来そうな場所はあった?」

『うむ。ここから少し離れた場所に拓けた場所を見つけた。ちと、狭いが問題ないじゃろ』

「なら、そこに移動するか。リリアーナ、移動して夜営の準備をしよう」

 と、さっそくマダラに跨がりマダラが見つけた夜営場所に向かった。


 夜営場所に着くとすぐにテントを張り夕食の準備にとりかかった。ハルジオンの街で買った露店料理と鉄板焼き魔導具で肉や魚を焼いていく。

 森の中でこんな香ばしい食欲をそそる匂いをさせていれば魔物や獣が寄ってきそうなものだが、その辺はマダラがいるので安心だ。

 匂いの代わりにマダラ自身の魔力を夜営の回りに意図的に散らしているらしいので、自殺願望がある魔物や獣以外は近寄ってこないだろうと以前マダラに聞いた事があった。

 が、マダラと同等もしくはそれ以上の力を持った魔物や獣はやってくるかも知れないし、それ以外にも興味を持った好奇なものもやってくるかもしれないがその時はマダラに何とかしてもらうしかないだろう。


 夜の森に限らず、街を一歩出ればすでにそこは生きるか死ぬかの危険な世界なのだから。


 マダラとリリアーナは露店料理や鉄板焼きで焼いた肉や魚を美味しそうに食べて満足そうな顔をしている。俺も二人に食べ負けないように夕食を食べつつ、明日の【テーネビスアベム】についての作戦をマダラとリリアーナに話していく。

 

 今回の作戦の肝となるのは、囮役である俺にかかっている。俺が上手くテーネビスアベムを連れてマダラとリリアーナが待機してる場所に連れ込み倒してもらう。

 テーネビスアベムを連れ込みさえすれば、俺より戦闘力が高いマダラとリリアーナが必ず倒してくれるはずだ。


 いや、そうじゃないと俺がヤバいからねっ! 物語の主人公だったりアニメとかなら魔法やチート能力で簡単に終わるような事なんだろうけど、俺にはそんな魔法も能力もないからな。マダラとリリアーナに頼るしかないのが情けないけど.....

 代わりに頭を使って頑張るからさっ!


 俺とリリアーナは夕食を済ませマダラに夜の見張りを任せると明日に備えてテントの中で眠りについた。


 無事に帰れると信じて夢の中へと落ちていった......

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