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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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プロジェクト開始・4

No205

プロジェクト開始・4




 フローラさんにエリックさんへの面会を頼んでから二日後、フローラさんと冒険者ギルドで待ち合わせをしてからエリックさんが待つ屋敷へと一緒に向かった。

 道中、フローラさんとこれまで決まってきた事を話しつつ一緒に歩いている。

「アンナさんからある程度の事情を聞いてるからわたしも理解してるわ。セイジロウさんには苦労ばかりかけてごめんなさいね」

「いえ、元は私がやりたいと思った事ですし、私たちの今後の為にもなりますから」

「そう言ってくれると嬉しいわ。でも、大変だったらわたしにも相談してね。わたしに出来ることなら手伝うから」

「はい、ありがとうございます。たぶん、エリックさんとの細かい調整を頼むと思うのでよろしいお願いします」


「分かったわ、その時は任せてっ!」

 と、メイン通りを腕を組みながら歩いていく。ハルジオンの街に帰ってきてフローラさんと共に一緒に過ごす時間が増えて互いのスキンシップも少しずつ増えた。

 腕を組みながら歩くのも最初は恥ずかしがっていたフローラさんだったけど今ではこうして普通に歩けるようになった。


「頼りにしてますね。フローラさんもそうですがみんなの協力があってプロジェクトは完成しますから頑張りましょう」

「そうね、一緒に頑張りましょう」

 と、それからは、他愛ない話をしながら屋敷へとついた。


 屋敷に着くと執事に案内され一室に通された。俺とフローラさんは用意されたお茶と焼き菓子を食べつつエリックさんを待った。


 しばらくして部屋の扉がノックされエリックさんが入ってきた。

「ほっほ、久しぶりじゃのフローラにセイジロウ」

「はい、エリックさん。お久しぶりです」

「こんにちわ、お祖父様」

 互いに簡単な挨拶をしてから話の本題へと入った。


「今日はお時間を作ってもらいありがとうございます」

「なに、フローラからの要望じゃしセイジロウからの話となれば苦にならんよ。して、ハルジオンチェスの話じゃな?」

「はい。以前話した改良版の【ハルジオンチェス】ですが大幅に仕様変更する事になりそうです。今回はその話をしに来ました」

 俺は持ってきた資料をエリックさんに渡して話を始めた。


「簡単な概要を私なりに纏めた物です。こちらを見ながら聞いてください。最初にですが--」

 と、予め決まっている事から話を始めた。それから、仕様についてとそれに関する必要な物や敷地、予想経済効果を話した。


「--良く纏められおるの。それに、各ギルドとの連携して興行するわけじゃな。よくここまでまとめたのぅ」

「いえ、私だけじゃないので。錬金術、商業、冒険者、それにフローラさんやアンナさん。他にもハルジオンチェスに関わってる人たちがいてこそです。私はただ案件を出しただけですから」

「ほっほ、そう謙遜しなくても良いじゃろ。何にしても発端はセイジロウなんじゃ」


「そうです。セイジロウさんがいなければここまでにはなってないのよ? もう少し胸を張っても良いんじゃない?」

「そうですね、と言いたいですがまだ何も始まっていませんからね。完成してある程度の軌道に乗ってから胸を張りますよ。それで、エリックさん。どうですか、このプロジェクトを進めますか? 私としては少しリスクがあると思ってますけど」


 エリックさんは資料を見ながら少しの間沈黙したあとに話した。


「ふむ。進めてみようかの。新しいことをするときは多少のリスクは付き物じゃ。それに、リスクよりリターンの方が大きいとワシは見とる。ワシの名の元にプロジェクトを始動させてよかろう」

 エリックさんの言質をとった事で正式にハルジオンチェスのプロジェクトが開始された。


「では、そのように各ギルドと関係者に通達しますね。経過報告は随時するようにしますので」

「よかろう、ワシも出来る限りの力添えはしよう」

 ようやく、少しだけ肩の荷がおりた瞬間だった。



「さて、とりあえずの話は纏まったんじゃ。さっそく、一戦しようかの」

 と、エリックさんはハルジオンチェスを取り出して笑顔でそういった。


「そうですね。まだ時間はありますからね。今回はわたしも参戦しますよ」

「ほぅ、なら最初はセイジロウが相手になるわけじゃな。その腕前を見せてもらおうかの」

「なら、わたしはお茶と焼き菓子を用意してくるわ。わたしが準備するまで待っていてね」

 と、フローラさんは部屋を出ていった。


「それはそうとセイジロウ。フローラとはどうなんじゃ? 仲良くやっておるか?」

 と、さっきとはうって変わって普通のじいさんのような雰囲気になったエリックさんが俺とフローラさんの関係を聞いてきた。


「えぇ、それなりに仲良くやってると思いますよ。ただ、今は少し忙しいですから二人だけの時間はあまり取れてませんが」

 ハルジオンチェスをテーブルに用意して互いに楽な姿勢で話をする。


「なんじゃ、それはいかんぞ。もっとフローラを構ってやらんとあやつは拗ねてしまうぞ? 何だかんだいってフローラは寂しがり屋な面があるからの。普段は平然としておるがたまに甘やかしてやらんと」


「へぇ、そうは見えませんけどね。フローラさんにそんな一面があるんですか?」

「ああ見えてな。昔はよくワシに着いてきたもんじゃよ。しかし、冒険者ギルドで働くようになってからはずいぶんと変わったもんじゃ。ギルド内でそれなりの立場に付くと気を緩める時間が少ないし、頼るよりも頼られる方が多いじゃろ? それもあってなかなかのぅ」


 まぁ、確かにそういうのはあるだろうな。働き始めの頃は、頼っていた自分がいつしか新しい人が入って部下になり自分は頼られる存在になる。すると、自分でも知らず知らずに弱い部分を隠していく。


「そうですね....頃合いを見て二人の時間を作ってみましょうかね」

「そうしてやってくれるかの。フローラも女じゃ。好きな男に頼られるよりも頼りたいはずじゃ。甘え下手なところはあるじゃろうが、そこはセイジロウの器量の見せどころじゃな」


「まぁ、それなりにやって見ますよ」

「ふむ、頼んじゃぞ。さて、そろそろフローラが戻るじゃろ。また、二人で話す機会はあるからの。その時には今より二人の関係が進んでる事を楽しみにしておるよ」

「えぇ、いずれ良い話が出来るように私も精進しますね」

 と、きりの良いところでお茶と焼き菓子を持ってフローラさんが部屋に戻ってきた。


「お待たせっ! さっ、準備万端よ! さっそく、始めましょうよ」

 フローラさんの言葉で俺とエリックさんはハルジオンチェスを始めた。


 ちなみに、エリックさんとは三戦三勝。フローラさんとは二戦二勝の大勝だった。が、エリックさんからは大人げないと言われ、フローラさんからは優しくないと言われた。

 勝負に大人も子供もないし、優しさは厳しさに変わる。


「はは、次の再戦までにはもう少し上達してると良いですね」

 と、余裕の言葉で屋敷をおいとました

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