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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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ハルジオンチェスの説明・幕

No200

ハルジオンチェスの説明・幕




 フローラさんのお祖父様、エリックさんとの昼食を食べた後も【ハルジオンチェス】の話は続く。

 ここからは、俺の草案でまだ誰にも話していない。ただ、こんな事が出来たら楽しいかなって思ってる話だ。


「この話はまぁ、あまり考えずに聞いてくれると助かります。ただの思いつきですので」

「ほっほ、セイジロウが思いつく事は面白い事なんじゃろうの。ルインマスでの件もあるからの。期待はしてしまうじゃろ」

「セイジロウさんは、突然突拍子な話をしますからね。今回もそんな話になるのでしょ?」

 と、二人はそんな期待に満ちた言葉と視線を向けてきた。


「いえ、本当にただの話です.....とは、話してみないと分かりませんね。とりあえず、話をしましょうか。まずはこちらを見てください」

 と、俺はもう一組のハルジオンチェスをテーブルの上に出した。


「こちらは、錬金術ギルドのギルバートさんと考案した通常とは違う駒を象ったもう一つのハルジオンチェスになります」

 それを見た二人は新たなハルジオンチェスをまじまじと見つめている。


「ルールに変化はありませんが、こちらは魔力を使う仕様になってますね。大きさも若干違います」

「ほぅ、こっちのハルジオンチェスは駒の形が魔物? を、象った感じじゃな」

「魔力を使うとはどんな感じなの?」


「まずは、エリックさんの言った駒の形ですが、自軍側ですがこれは通常ですね。そして、対戦者の側が魔物とおとぎ話ですか? わたしも又聞きなのでハッキリとは答えにくいのですが【五つの宝鍵】の話は聞いたことがありますか?」


「ふむ.....昔に少し聞いた覚えがあるの。確か、古い石碑に書かれた文章から話が広がったと記憶してるが」

「はい、私もそのように聞いてます。フローラさんは聞いた事あります?」

「えぇ、お祖父様と一緒ですね。ただ、妄想や空想とまでは言いませんけどかなり信憑性が薄い話だと思ってますけど....」


「まぁ、私も似たような感じに思ってますが、それでその宝鍵を守る門番みたいな守護者を思い描いた想像上の魔物? を、象ったのが対戦者の駒です。ただし、キングだけはドラゴンにしてあります。実際には見たことないですが、いるんでよね?」


「ドラゴンのぅ。確かにおるぞ。アーガニウム大陸で目撃された例は少ないが確かに存在するの」

「やっぱりいるんですね....(さすが、異世界。期待を裏切らないな) まぁ、ドラゴン退治は冒険者の一つの目標でもありますし、物語でも良く使われますからね。相手のキング、ドラゴンを倒す感じは遊戯としてありかと思ったので」


 それから、ナイト、ルーク、ビショップ、クイーン、ポーンはありふれたゴブリンだが、一通りの説明をした。


「それで、セイジロウ? 魔力はどう使うんですか?」

 と、フローラさんも興味深いのか聞いてきた。

「今から説明しますね。エリックさんも一緒にやってみましょう。まずは、自身側にある左右の隅にある魔石に手を触れて下さい。自然と必要量の魔力が吸われます」


 二人はチェス盤の隅にある魔石に手を触れた。


「おほっ!」

「ふわぁ!」

「どうですか? 魔力を吸われる感じは? 私も最初は驚いたのを覚えてますよ」


「ほっほ、魔力を吸われるのは何度か経験しとるが、これはあからさまな意図をかんじるのぅ。じゃが、別に不快な感じはせんがの」

「わたしもここまでハッキリと魔力を吸われる感覚は初めてですね。それに、思ったほど吸われた訳でもないですし」

「えぇ、ただ駒を動かすだけですからね。それに、隅の四つの魔石を連動しますから個人の負担は軽微です。では、盤面を見て気づいてると思いますが、すでに自身の駒は少し盤面から浮いてます」


「これはまた....ほぅ、駒は思った以上に簡単に動くんじゃの」

 エリックさんは待ちきれないのか、さっそく浮いてる駒を指であちこちに動かした。


「はい、盤面に固定されてるわけではないですからね。フローラさんも自由に動かしてみて下さい」

 と、フローラさんに声をかけるとフローラさんも自身の駒を動かして感触を楽しんでる。


「それでは実際にはやってみましょう。仕掛けもあと一つ残ってますから」

 と、さっそくハルジオンチェスを開始してもらった。


 そして少しの間待つとその時はやって来た。

「フローラさん、自身のポーンでエリックさんゴブリンポーンを取れますから、そのポーンの登頂部にある魔石に触れてください」

 フローラさんは言われた通りに魔石にふれると、自身ポーンの稼働部分が動きゴブリンポーンを攻撃した。


「おほっ!」

「わあっ!」

 駒であるポーンが動くと二人から驚きの声が上がった。


「今、見てもらった通りに各駒の一部が稼働するようになってるのが、このハルジオンチェスの仕様です」

「これは、面白いの! 良くできておる!」

「えぇ、通常のハルジオンチェスよりも楽しめるわね」

「はい、俺も面白いと思ってます。が、幾つか問題もあるんですよ。一つが単純な行動しか出来ず細かい動作が出来ない事ですね。駒が集中してる場所だと誤った動作をしてしまうことです」


 俺は、盤面の駒の配置をズラして駒を稼働すると本来の駒ではなく違う駒を攻撃する様子を二人に見せた。

「技術的と言うか、魔力回路とこちらからの指示を示す為の指示が組み込めてないのが原因らしいです。ギルバートさんの話によると駒が小さいのと指示を伝達する為の回路が刻めない為らしいですが.....それから、あと一つは単純に価格の問題ですね。最低でも金貨一枚はかかるそうです」

 と、二人に説明する。


「稼働させる点は面白いが、技術面での問題のぅ。価格はまぁ、分からなくはないがの」

「でも、金貨一枚は.....高いわよね。娯楽遊戯にそこまでは出さないわよね。もちろん、売れないわけではないと思うけどそれなりの裕福な方になるわね」


「そうですね。誰もが楽しめるとしたら通常の物になると思います。見新しい物なので普及さえ上手くできれば広まると思いますが....」

「その普及させる為の注目度が難しいのぅ。何かしらの催しを開催させ注目を浴びる必要があるわけじゃな?」


「えぇ、大々的にやるべきでしょうね。本当なら動くハルジオンチェスを使ってやりたいところですが、まだ未完成ですので。現状は少し手詰まりですね」

 と、ハルジオンチェスに関しての説明はここで一先ず終わった。


「ふむ.....セイジロウがやろうとしてる事は理解した。短い期間でここまでできるとはさすがと言ってもよいのぅ」

「そうてすね! 通常版のハルジオンチェスなら量産態勢を組めればすぐに販売出来ます。さすがはセイジロウさんですっ!」

 と、二人の反応は上々だが、やはり考え付いてしまった稼働するハルジオンチェスを何とかしたいと思うのは欲張りすぎか....


「通常のハルジオンチェスに関しては商業ギルドとの話し合いで何とかなるじゃろう。ワシからの依頼は概ね合格だと言えるが.....どうやらセイジロウはそう思っておらんようじゃの?」

 エリックさんは俺の方に顔を向けながらそう言ってきた。


「まぁ、正直言えばそうですね。フローラさんの事だけを思えばあとは丸く納めて商業ギルドへと任せればどうにかしてくれるでしょう。商業に関してはやはりギルドに頼るのが一番ですからね。ただ、自己満足となれば話は違ってきますね。せっかく面白いと思ったものが途中で終わるのは.....丸っきり出来ないわけではないでしょうし」


「でも、通常のハルジオンチェスだけでも凄いとわたしは思うわよ。リバーシはリバーシで単純に面白いし、ハルジオンチェスはさらに思考を使って知略を競う楽しさがあるわ。満足.....はしないわね。どうせ、この改良版のハルジオンチェスも作り上げるんでしょ?」

「まぁ、やるだけはやってみようかと思ってますが」


「ほっほ、望みは高くと言うわけじゃな。好きにすれば良いじゃろ。ワシに出来る事は少ないが好きに訪ねてくるといい。力になれる事があれば力になろう」

「良いんですか? ここからはただの自己満足ですし、見通しはハッキリといって読めませんよ?」

「ほっほ、久方ぶりにちょっと面白そうじゃからな。年寄りの物好きじゃ。それに、チェスの相手がおらんとの」


「そうですか、分かりました。ありがとうございます。チェスをしながら話を聞いてもらえるなら」

「なら、わたしも暇が出来ればチェスをしに来るわ。もちろん、セイジロウさんはわたしとも対戦してくれますよね?」

「えぇ、一緒に練習してエリックさんを倒しましょうか」

「ほっほ、まだまだ若いもんには負けん。と、言いたいがのワシも練度をあげんとの」

 と、エリックさんとの個人的な依頼はとりあえず完了となり終了したが、改良版のハルジオンチェスは個人的に進める事にした。



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