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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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ハルジオンチェスの説明・1

No198

ハルジオンチェスの説明・1




 氷雪季も本格的になり肌寒い日や白雪がちらつく日々が過ぎる。俺は相変わらず、錬金術ギルドのギルバートさんや商業ギルドのセブリスさんと【ハルジオンチェス】についての話し合いをしていた。


 リリアーナとマダラは冒険者ギルドの訓練場で訓練をしつつ、いつの間にかビルドさんがいる食事処で依頼を受けていた。リリアーナに話を聞いてみると、ビルドさんからの指名依頼を受けたそうだ。


「そうなんだ。まぁ、俺も去年はギルドの食事処で給仕をしていたから別に難しいわけじゃないから。しかし、指名依頼とはね。ずいぶんと、奮発したもんだ」


「依頼の報酬は銀貨二枚と食事付なの。これで少しはお金も貯まるし、セイジロウにも返せる」

「報酬はともかく、お金は気にしなくていいよ。それより、自分の欲しい物や先の事を考えて貯金しとけばいいよ。それと、リリアーナが依頼を受けてる最中のマダラはどうしてるの?」


「マダラは隅で休んでる。訓練では役に立つのに食事処では役に立たないの。寝てばかりで掃除の邪魔」

「ははは、まぁあれだけデカいとな。あまり邪魔ようならマダラは俺と一緒に行動しようか?」


「あれで色々と人気がある。それに、セイジロウはまだ忙しいから、マダラの世話はわたしが見る」

「そう、悪いね。思ってた以上にこっちの進みが悪くてね。しばらくはリリアーナに頼っちゃうけど任せてるよ」

「うん。任せて」

 と、そんな会話が数日前にあった。その時のリリアーナの様子は少し嬉しそうだったのを覚えている。

 指名依頼が入ったからなのか、お金が稼げるようになったのか詳しくは分からないが手持ち無沙汰な所に舞い込んできた吉報なので良かったと思う。


 リリアーナに関しては特に問題ない日々が続くが、俺の方が少し行き詰まっているとまでは言わないが頭を悩ませていた。

 そこで、フローラさんに声をかけてエリックさんとの面会をこちらから申し出た。面会理由をフローラさんに説明すると、

「そぅ、分かったわ。お祖父様と連絡とってからセイジロウさんに連絡するわ。わたしも一緒に行くけどいいわよね?」


「別に私は構いませんけど、ギルドの仕事は平気なんですか? 無理に私に合わせなくても」

「今は平気よ。氷雪季だから依頼も少ないし街の周辺も特に変わった報告は受けてないから。それに、お祖父様とセイジロウさんが二人きりで会わせるのもね....(セイジロウさんと一緒にいれる口実が出来たんだから、その日仕事を休んで話が終わったら二人で過ごしたいし)」


「気遣い、ありがとうございます。なら、連絡を待ってますねって、言っても毎日ギルドには来ますから」

「えぇ、分かったわ。そう時間はかからないはずだからセイジロウさんの方は準備をしておいてね」

 と、そんなやり取りがあり現在はフローラさんのお祖父様がいる屋敷に来ている。


 テーブルを挟み対面にはフローラさんのお祖父様、エリックさんが座ってる。俺とフローラさんは隣同士で仲良く座っていた。

「今日はお時間を取ってもらいありがとうございます」

「ほっほ、そんな固くならなくても良いじゃろ。知らない仲でもないのじゃから。いづれは身内になるんじゃしな」

「先の事は予見出来ませんが、そうなれるように私は努力したいと思ってます」


「そうじゃな、セイジロウにはそれなりの努力が必要になるじゃろうな。その時にはワシも尽力しようと思っておるよ。さて、あまり話しても本題からズレてしまうからの」

「はい、話はいづれまたという事で。本日は、試作品の【ハルジオンチェス】を持ってきました。まずはご覧いただきながら説明します」

 と、俺は少し大きめな袋からハルジオンチェスを取り出し目の前のテーブルに盤面と駒を置いた。


「まずはこちらがハルジオンチェスの盤面になります。エリックさんには以前話したので覚えているかと思いますが、フローラさんは初めてですよね? これから説明しますね」

「えぇ、お祖父様との話は聞いてますけど実際には詳しく知らないからお願い」


「まず、ハルジオンチェスは娯楽遊戯です。この八✕八マスの盤面で数種類の駒を動かし対戦者の大将....このキングの駒を奪う遊戯です」

 と、王冠が象ってある駒を取り盤面に置いた。


 今回用意したハルジオンチェスは前の世界で使われている物とある程度似た物を用意した。


「へぇ、見事な作りね!」

「そうじゃな、実際に見るのは初めてじゃが凝った作りをしておるの」

「はい。こちらを製作したのは街中にある家具店ラムレイさんの孫のレイシェルさんですね。フローラさんの幼馴染みの方です」


「あの時に話は聞いてたけど....レイシェルがね」

「ほっほ、また懐かしい名前が出たのぅ。ラムレイにレイシェルとはの」

「ご存知だとは思いますが、リバーシの製作はラムレイさんに私が依頼しました。当初もラムレイさんに製作を手伝ってもらおうとしましたが、リバーシの方で手一杯らしく紹介されたのがレイシェルさんだったんです」


 その時の経緯を簡単にエリックさんに説明してからハルジオンチェスの説明に戻った。


「まずは、一度ハルジオンチェスをやってみましょう。聞くより体験する方がより分かりやすいですから」


 と、ハルジオンチェスの駒を並べ遊戯を始めた。

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