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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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火精蜥蜴の依頼・前編

No189

火精蜥蜴の依頼・前編




 冒険者ギルドで受けた依頼で山の麓まできた俺たちは野営場所の確保の為に森の中を探索していた。


 俺とリリアーナは森の中を、マダラは俺たちから離れた場所を探索してもらってる。探索し始めて数時間が経ちそろそろ野営場所を見つけたいと少し内心で焦りが出た頃、マダラが探索から帰ってきた。

『セイジロウ、帰ったぞっ! つい走り回れる事が嬉しくてのぅ、ちと遅くなったわ。野営に向いてる場所は見つけてあるから安心せい!』


「やっとか.....そんな事だろうと思ったよ。こっちは、薬草とか木の実、調合に使えそうな薬剤の原料を見つけたからちょっと保管しておいてくれ。そしたら、その場所に向かおう」

 と、俺とリリアーナが収穫した物をマダラの影の中に保管してからマダラが見つけた野営場所へと向かった。


 ハルジオンから到着した場所からさらに移動すると少し狭さを感じるが野営出来る場所に着いた。

 さっそくマダラの影の中から野営道具と調理道具を出して準備を始めた。


 俺は気温が下がり冷えてきたので、具だくさんな鍋スープと、鉄板焼きの魔導具を取り出して肉や魚、貝類を焼いていく。


 リリアーナは自分のテントを設置すると少しの間だけ俺と交代してもらい、自分のテントを設置した。


「リリアーナ、ありがとう。調理を交代するよ」

「うん。でも、料理覚えたいから一緒に手伝う」

 そう言ってリリアーナは鍋のスープが焦げつかないようかき混ぜつつ、塩と香草で味を整えてくれた。


 マダラは焚き火の近くで腹を空かせながら寝転がり俺たちの料理が出来上がるのを待っていた。


 一緒に調理していた料理が出来上がると各々の受け皿に料理を盛り付け温かい夕食となった。

「今日はリリアーナが料理を手伝ってくれたんだぞ、マダラ。リリアーナはしっかりお礼を言ってから食べろよ」


『ふむ。リリの手作りのぅ.....大丈夫か? 匂いはわりと旨そうじゃが』

「そんか事を言うマダラにはおかわり無し。わたしはセイジロウほど甘くないからしっかりと躾する!」


『フンッ。ワレを躾とは、良いじゃろう。その挑戦を受けようではないかっ! ただ、ワレが満足しなければリリがワレに従うのじゃぞっ?』

「獣の扱いは父様から教わってる。手懐けるのはお手のもの!」

 と、食事前から良く分からない争いが始まったが、俺は我関せずに静かにいただきますをしてから夕食を食べた。


 寒空の下、焚き火を囲んで食べる温かい夕食は見も心も暖かくなる。去年はまだ街の外にも出れないほど右も左も分からない状態だったのが今では、堂々と野営が出きりるまでになってるのは驚嘆に値するだろう。


「セイジロウ、どうしたの?」

『なんじゃ、セイジロウ。ニヤニヤして....そんなにリリの食事が旨いのか?』


「セイジロウもわたしの料理でわたしに従う」

『も、とはなんじゃっ?! ワレはまだ従うと決めたわけではないぞっ! 確かになかなかの旨さじゃがまだまだじゃ。これぐらいではワレを従えるには不十分じゃな』

「むっ! 素直に言うことを聞くの。次はこれを食べてみるの。わたしの自信作なの」

 と、隣では従う従わないの押し問答が続いていていた。俺はそんな光景を見ながらこの一年でずいぶんと賑やかになったなと内心で思いつつ、思いのほかリリアーナの料理が旨いことに舌鼓を打ちながら食べた。


 夕食が終わり片付けを終えたらマダラに野営の見張りを頼んで就寝した。明日は依頼を受けた火精蜥蜴の角を採取する。



 翌日、陽が上り森の隙間に陽光が照らす時間に目を覚ました。

「おはよう、マダラ。昨夜は平気だったか?」

『セイジロウか。ふむ、静かなもんじゃ。寒くなってきてあれのか魔物たちの活動は低くなっておるようじゃぞ。昨日の昼間もたいした魔物はおらんかったしのぅ。せいぜい、熊にゴブリン、オークに蛇や蜘蛛ぐらいじゃったしな』


「いや、十分に多いだろ....まぁ、それはそれで別にいいけど。朝食の準備をすらから調理道具と食材を出してくれ。あと、昨日の残りの鍋のスープも頼むよ」

 と、さっそくマダラの影の中から道具と食材を出してもらった。


 朝食の準備をしてるとリリアーナが起きてきたので、焚き火で温めている鍋スープを見てもらいつつ料理を作って盛り付けていく。

「さて、しっかり食べて依頼を完了したようか! リリアーナ、手伝ってくれてありがとう」

 リリアーナの頭を撫でながらお礼を言った。リリアーナは目を細め少し嬉しそうな顔をした。


 朝から温かいスープと鉄板焼きで焼いたバゲットパンにベーコンと野菜、肉を挟んだサンドパンをマダラとリリアーナは食べていった。鍋スープもサンドパンも多めに作ったけどやはり足りなかったのか、さらに肉やバゲットパンを焼いて手渡していった。


 ゆっくりと朝食を食べたあとは片付けをして出発の準備をした。


「さて、リリアーナもマダラも準備はできたな?」

 互いに確認を取りマダラに跨がって火精蜥蜴がいる山の麓の洞窟近くへと向かった。

 少しの間、マダラに跨がって簡易な地図を確認しつつ洞窟近くだと思える場所に到着した。

「たぶん、この近くに火精蜥蜴がいる洞窟があるはずだ。マダラ、犬狼で洞窟を探してくれるか? やむなく魔物に接敵したら戦闘をしても仕方ないがそれ以外は探索を優先してほしい」


「ふむ、理解した。しばらく、ここで大人しくしておるんじゃ」

 マダラは、影の中から数匹の犬狼を出すと一緒に洞窟の探索に向かった。俺とリリアーナはマダラが帰ってくるまで周辺の警戒をしつつ、火精蜥蜴についての作戦を話し合っていく。



 しばらく、リリアーナと作戦を話し合ってるとマダラが戻ってきた。

『セイジロウ、洞窟を見つけたぞ。おそらくそこにおるじゃろう』

「わかった、ありがとうマダラ。よし、リリアーナ、作戦通りに行けばすぐに片付くはずだ。気を引き締めていこう」


 いよいよ、火精蜥蜴との戦闘が始まる。

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