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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
188/226

リリアーナとの話

No188

リリアーナとの話




 昨日は、ギルドの食事処で暇を潰してる時にビルドさんや受付嬢のアリーナさん、総合職のアンナさんと話をした後、陽暮れ近くになってようやくフローラさんとリリアーナ、マダラが冒険者ギルドにやってきて合流した。


 その後、色々と話を聞いて軽く食事をしてから解散となった。フローラさんが買った物は冒険者ギルドの一室に運び入れて後日にフローラさんが自宅へと運ぶ手筈になった。



 そして、今日はマダラのストレス発散も兼ねて冒険者ギルドで依頼を受ける事になった。氷雪季もだいぶ本格的になってきてるのか外に出ると吐く息は白い。そろそろ依頼を受けるのがキツくなるだろなと俺は思っていた。


 マダラとリリアーナを連れて冒険者ギルドに向かう。冒険者ギルドへと向かう途中の露店で温かいスープや串焼き肉などを買い足しながらリリアーナと話す。

「リリアーナ、そろそろ氷雪季が本格的になってきたから依頼を受ける数が減ると思う。生活は特に問題ないぐらいの蓄えはあるから別に気にしなくていいから」


「本当ならもっと依頼を受けてお金を稼ぐはずだった。けど、あまり良い依頼がなくて稼げなかったの。ごめんね、セイジロウ」

 と、リリアーナは申し訳なさそうに謝罪してきたがそんな事を気にしなくていいとリリアーナの頭を撫でながら言った。


 そんな端からみたら親子のような仕草をしつつ冒険者ギルドに着いた。マダラは、言われずとも俺の影の中に入った。


 冒険者ギルドの中は氷雪季の為には若干冒険者の数が少ない気がするが、それでもそれなりの冒険者の数がいた。そんな中で依頼提示板を見つつめぼしい依頼を探していく。

「おっ? これなんか良さそうだな。リリアーナ、この依頼はどうだ? Cランクの依頼だけど俺がBランクだからパーティーのランクで受けれるけど?」

「......火精蜥蜴の角の採取.....なら、討伐依頼。この時期に?」

「知ってるのか?」

「うん。前に一度だけ見たことがある。山の洞窟の中にいた」


「とりあえず、ギルドの資料室で詳しい資料を見てみようか」

 俺とリリアーナはギルドの資料室へと向かうために受付で手続きをした。


 資料室で火精蜥蜴の特性を覚えて再度受付で依頼の手続きをしてからギルドをあとにした。

「じゃ、向かうとするか。ちなみに、途中で野営を挟むけど必要な物は揃ってるかな?」

「わたしは大丈夫。マダラの中にしまった」

『ワレは旨い飯があれば平気じゃぞ』

「野営道具はあるし、食材もまだ十分にあるから大丈夫か。よし、なら向かうぞ」

 俺たちは、街門で手続きをしてから火精蜥蜴がいる山の麓の洞窟へと向かった。


 山の麓の洞窟へはマダラに跨がり移動を開始した。気温は低く冷たいがマダラの毛が温かく風の障壁を展開するとそれほど気にならなくなった。道中は魔物との遭遇もあまりなく数匹のゴブリンやフォレストウルフ、ビッグボアなどを見かけたが討伐するほどでもなかったので先を急いだ。


 本当なら魔物を見つけ次第討伐するのだろうが、特に敵対行動をしていたわけでもないし、遠目に確認しただけだ。もし、また帰りに遭遇したらその時は討伐しようと思った。今は先に依頼を優先させた。


 マダラに跨がり半日ほど進みと山の麓近くに到着した。

「さてと、とりあえず火精蜥蜴の角採取は明日からやるとしてこの近くで野営が出来る場所を探そう。マダラは周辺を見てきてくれ。魔物がいれば適当に狩っても良いけど魔石だけは取っておいてくれ。最低限の金はほしいから。リリアーナと俺は一緒に行動しよう」


『ふむ。久し振りに体を動かせるのぅ! では、行ってくるぞ!』

「あっ! 夕暮れにはここに帰って.....行っちまったよ....」

「マダラはせっかちで落ち着きがない。ダメな子」


「はは、そうだな。まぁ、ハルジオンで少し窮屈な生活だったからな。しょうがないさ。じゃ、俺たちも周辺を探索しよう。採取できる薬草があれは採取しよう。あとは、野営できそうな所がないかの確認だな」


 そう言って俺とリリアーナは森の中を探索し始めた。


 周囲の警戒をしつつリリアーナに話しかけた。

「リリアーナ、フローラさんの買い物はどうだったの?」

「んっ。楽しかった。あんなにたくさん買い物をしたのは初めて出し、お店もたくさんあった。ルインマスでセイジロウと買い物したけどあれとはまた違う楽しさだった」


「そう、それなら良かった。フローラさんは良くしてくれた?」

「うん。フローラは優しいしわたしを子供扱いしない。母様も優しかったけど違う優しさを感じた」


 俺は雑草に紛れるように生えてる薬草を丁寧に取りつつリリアーナとの話を続ける。


「リリアーナの母様はどんな人だったの? 良ければ少し教えてくれる?」


 リリアーナも薬草や木の実を取りながら俺の話に付き合ってくれてる。

「母様はいつも笑顔だったの。朝も昼も夜も毎日。わたしの事をいつも見てくれていた。それから、物知りだった。わたしが聞いた事はちゃんとわたしが分かるまで教えてくれたの。でも、怒ると怖いの。父様は母様に怒られといつも小さくなって床に座って謝っていたの」


 ハハ、その光景が目に浮かぶ.....どうやら、リリアーナのお父さんは少しだらしない人のようだな。


「リリアーナが簡単な計算や文字がかけるのも母様から教わったの?」

「そう。母様が覚えなさいって言ったから。わたしは最初は分からなかったけど母様が丁寧に教えてくれた。わたしは、文字や計算が出来ないとダメなのって聞いたら、母様は"ダメではないけど、出来て損はないのよ。リリアーナが大きくなったらきっと役にたつわよ。だから、今はちょっと難しいけど頑張って覚えようね"って、言ったの」


 ふむ....リリアーナの母様はある程度の教養がある人だったんのだろうか?


「他にリリアーナは母様から何か教わったりしたの?」

「他には家事を教わったり街の事や母様のいた場所を教わった」

「母様のいた場所? それは、お父さんと一緒に暮らす前にいた場所?」


「そう。母様は山の向こうからこっちに来たって言ってた。それで、怪我をして助けたのが父様だって」

「山の向こう?.....もしかして、リリアーナの母様って国外の人.....」


 俺はリリアーナの話を聞いて少しだけ考えに耽った。


「セイジロウはやっぱりわたしの事が気になる? 出会ってからわたしの事や父様や母様の事をあまり聞いてこなかったから」

「んっ? いや、まぁ、気になるっていえば気になるけど、別に変な意味じゃないよ。リリアーナは歳のわりにしっかりしてるし、物知りだったから。それに、仲間の事は知りたいでしょ? リリアーナも俺の事やマダラの事を知りたかったら聞いていいんだよ」


「なら、一つ聞きたい」

 リリアーナは少し改まってから話しかけてきた。


「なに? 答えられるなら答えるよ?」

「マダラってなに? セイジロウの召喚獣って聞いたけど主より存在感がある従魔は聞いたことがない。それに召喚獣なのに食いしん坊」


「あー、マダラね。あれは予想外というか、たまたまというか。偶然に召喚出来たんだよ。どうやら古い召喚陣に俺の血が反応してね。確かに俺より能力は上だし存在感もかなり強いよね。でも、ちゃんと従魔として契約は出来てるし、悪いやつじゃないから。食いしん坊なとこは俺にも分からないんだよね。別に食べなくても平気なんだけど......食べたいって言うなら食べさせてあげればいいし。リリアーナもマダラが料金を食べたいって言ってるのに食べさせないのは可哀想でしょ?」


「んっ。それは可哀想.....だけど、躾はちゃんとする。セイジロウはマダラに少しだけ甘いの。でも、そこがセイジロウの優しいところ。セイジロウが甘い分、わたしはマダラに厳しくするの。召喚獣でも躾は大事!」

 と、なぜかやる気になってるリリアーナが目の前にいる。マダラの何を知りたかったのかよく分からないけど本人が納得してやる気になってるなら別に良いかと思った。


「他にも聞きたい事があればいつでも聞いていいから。さて、今度はあっちの方に向かってみようか?」

 と、リリアーナと一緒に方角を変えて違う方を探索し始めた。

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