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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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氷雪季とマダラの安請け合い

No186

氷雪季とマダラの安請け合い




 俺が商業ギルドでセブリスさんとオリジナルのチェスを考案してる頃、マダラとリリアーナ、フローラさん達は街中を散策していた。


『フローラよ、まだ何か買うのか? ワレはそろそろ買い物に飽きてきたのじゃが』

 マダラはフローラさんとリリアーナの護衛兼荷物持ちでセイジロウからかり出されていた。報酬は食事食べ放題でマダラは請け負ったが女性達の買い物を知らないで受けてしまった為にこんな発言をしていた。


 そんなマダラはフローラ達に思念を飛ばすが、

「何を言ってるの? まだよ。これからさらにお店を回るんだから。ねぇ、リリアーナ?」

「うん。マダラはまだ荷物持ちで付いてくる。約束守る」

「ほら、リリアーナも言ってるじゃない。さっ、行くわよ! 次はあのお店よ」

 と、フローラとリリアーナは仲良く隣り合いながら歩きマダラはトボトボとその後ろを歩いて付いていく。


 マダラ達を見てすれ違う冒険者や街の住民はフローラ達の後ろを付いて歩くマダラに目を向けるが、不思議とマダラに畏怖や驚きの顔を見せるでなくなぜか苦笑いや微笑みを向けていた。

 まるで、良く躾られた動物を見るような視線だった。セイジロウがこの場にいればまた違った視線だったかも知れないが、前を歩くフローラとリリアーナはまるで歳の離れた姉妹か親子のようにすれ違う人達には見えてるかもしれない。


 フローラとリリアーナは次の店に着くと、マダラに店の近くで大人しく待っているようにマダラに伝えて店内へと入っていった。


 マダラはこの時間が一番の苦痛で仕方なかった。マダラはセイジロウの従魔である為に主であるセイジロウの影の中にしか入れない。

 なので、フローラとリリアーナが買い物をしてる最中はずっと店外で寝転がってるしかなかった。


『(まったく、なぜワレは付いてきてしまったのか.....食事の食べ放題など聞いて喜んでいたのが悪いのか? それとも、女の買い物を甘くみていたのか.....セイジロウめっ! 一言ワレに伝えておかぬかっ!)』

 と、内心で愚痴を言ったところで時すでに遅しである。


 マダラは仕方なく大人しく寝転がった。


 マダラが店外でセイジロウに恨み言を内心で思ってる頃、店内ではフローラ達が店主と話をしていた。

「ジュリー、冬服を買いに来たわ! こっちはリリアーナよ」

「リリアーナ、よろしく」

 と、フローラがリリアーナを店主のジュリーに紹介しリリアーナは相変わらずの端的な挨拶をした。


「あらっ! やっと買いに来たのね! 今日はギルドはお休み? それに、可愛い子を連れてるじゃない! リリアーナね、わたしはジュリーよ! フローラとは友達なの! よろしくね」

「今日は休みよ。リリアーナはセイジロウさんの新しい仲間よ」


「えっ! そうなの? なに、セイジロウさんて子持ちだったのっ? 最近、ハルジオンに帰ってきたと思ったら子供と一緒に帰ってきたんだ!」

「違うわよっ! 新しい仲間だって言ったでしょ!」


「わたしはセイジロウの子供じゃない。仲間なの!」

 と、リリアーナはいつもより強い口調でジュリーに伝えた。


「そっ、そうなの? ごめんね、勘違いして。だから、そんなに怒らないでね、ねっ?」

 と、ちょっとムスッとした顔をしてるリリアーナをジュリーは屈みながら謝罪した。


「ほら、怒らした。リリアーナは見た目によらずちゃんとした子よ。冒険者ランクもDランクとすでに一人前よ」

「えぇっ! リリアーナちゃんは冒険者なのっ!? しかもDランクって.....はぁ、本当にごめんね。今後は注意するから!」


「分かってくれたなら平気」

「さっ、リリアーナ。買い物をしましょうか。氷雪季用のコートを選びましょう」

 と、機嫌が少し直ったリリアーナとフローラはジュリーにコートの良し悪しを聞きながら選び始めていった。



 その頃マダラは、

『(まだ終わらんのか、買い物は....それにしても暇じゃな。 セイジロウは今頃何をしておるのかのぅ? セイジロウとの買い物はそれほど長く感じなかったんじゃがなぁ.....あの露店から良い匂いがするのぅ、食いたいのぅ)』

 と、すでに買い物にだいぶ飽きていた。


 マダラがそんな風に思ってるとは知らずにフローラとリリアーナは店内では買い物は続いていた。

「リリアーナ、コートはそれにしましょうか。次はマフラーと手袋を選びましょう」

「わかった。フローラも一緒に選んでほしい」


「ふふ、そうやって買い物をしていると本当に姉妹のようね! わたしも一緒に選んであげるわ!」

 三人の買い物はまだまだ続きそうだった。



 マダラ達が買い物をしてる頃、セイジロウとセブリスはハルジオンチェスの話は少しずつ進んでいた。

「とりあえず、チェスの駒の形は決まりましたね。あとは材質と仕様ですが....」

「そうですね。材質は幾つかありますし、錬金術ギルドの方で仕様と同時に話をしてみますよ」


「分かりました。では、このデザイン画を参考にしてください。あとは、リバーシの模倣品対策は以前話した通りで。それでも出回るようでしたら打ち切っても私は良いと思いますよ」


「ありがとうございます。そうですね、その件も話をしてみます」

「では、後日にお会いしましょう。それ以外であれば冒険者ギルドに言伝をお願いします。基本は毎日冒険者ギルドに顔をだしますから」

 と、昼を少し回った頃にセブリスさんとの話し合いは終わった。



 とりあえず、お腹も空いたので冒険者ギルドの食事処に向かうことにした。

 冒険者ギルドに着いてビルドさんがいる食事処で昼食を適当に注文する。

「おぅ、今日は一人なのか? 珍しいな」

「えぇ、マダラもリリアーナも今はフローラさんと買い物に出掛けてますよ。そろそろ本格的に氷雪季になりますからね。色々と用意する必要があるんでしょう」


「そうか。なら、マダラは女性陣の荷物持ちなわけだ! わはは、そりゃ御愁傷様だなっ!」

「あはは、まぁ知らないとはいえ今頃は退屈で飽きてる頃でしょうね。その分、食事は食べ放題らしいですが」


「飯に釣られたわけかっ! そりゃマダラがわりぃな! もう少し考えるべきだったな! んで、セイジロウは一人で何してたんだ?」

 と、注文した料理が用意され一口食べてから答えた。


「私は商業ギルドで少し話をしていました。以前、ハルジオンにいる頃に考案したリバーシについてと新しい娯楽遊戯についてですね」

「ほぅ、あのリバーシはセイジロウの発案だったのかっ? なかなかに単純で面白い物だな! 値段も手頃で暇潰しにはもってこいだぜっ!」


「ビルドさんはリバーシをやったことがあるんですか?」

「やるもなにもリバーシは買ったぞっ! ホラッ!」

 と、カウンターの裏手側からリバーシを出してきた。


「へぇ、なかなかちゃんとした作りですね。実際、手にとって見るのは始めてですよ。これはどこで買ったんですか?」

「もちろん、商業ギルドでだ。売り初めの頃はあまり人気がなかったみたいだが、氷雪季で手持ち無沙汰になってる頃に徐々に人気が出てきてな。手軽に時間が潰せるってんで買うやつが増えたんだよ。ルールも難しくねぇからな」


「なるほど......実はちょっと話を聞いたんですが、リバーシの模倣品が出回ってるそうなんですよ。ビルドさんのはしっかりと作られていて細かい部分にも手が入ってますから、正規な物だとわかりますが」


「あぁ、おれもその話は客の冒険者達や街の住民から聞いたな。値段は半額くらいで少し雑な作りらしいぞ。比べればすぐに分かるぐらいには差があるみたいだが、正規品を知らないやつからしたら判断のしようが分からねぇからな」


「それはそうですね。しかし、半値ぐらいですか......ちなみに、売ってる場所や人物は知ってますか?」

「いや、場所も人物も知らないな。たぶん毎回違う場所で売るか、移動しながら売ってるんだろうな。それに街中で噂もそれなりに流れてるからな、売ってる奴らも警戒してるだろうし......見つけるのか?」


「ですよね。いえ、別にそういうわけじゃないですよ。ただ、模倣品がどれくらいの出来なのか見たかっただけですし」

 と、注文した料理を食べ終わり果実水を注文した。


「まぁ、それほど興味があるとは思えねぇしな。下手に首を突っ込むとろくな事にならねぇ。それより、新しい娯楽遊戯について少し話をしようぜ! 次は何を作るんだよ?」

 と、注文した果実水を俺の目の前に置きながらビルドさんは聞いてきた。



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