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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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前領主との面会

No184

前領主との面会




 俺とマダラ、リリアーナはギルドの食事処で昼食を食べつつビルドさんと話をしていた。

「--んで、今日これからフローラさんのお祖父さんに会いに行くわけだ。そうか、セイジロウがついに結婚かぁ」

「いや、まだ違いますからね。今日はただの顔見せですから。まぁ、将来は結婚したいですけど」

 と、ステーキ肉を食べながら答えた。


「でも、フローラさんが会って欲しいなんて言うんだから向こうもある程度はそのつもりで会うんだろう? フローラさんに今までそんな話を聞かなかったからな。たぶん、初めてじゃないのか?」


「はい、フローラさんもそう言ってました。なので、凄く緊張するんですよね....」

「のわりに良く食うじゃねぇか! フライドポテトに唐揚げ、ステーキ肉にパン。普通に食事してるよな? 緊張で喉が通らないんじゃないのか?」


 ちなみに、俺だけじゃなくリリアーナもマダラもそれなりに食べている。さらに、ついでに保管用でビルドさんには色々と食事を作ってもらい今も会話をしつつ料理を作ってもらってる最中だ。


「えっ? 別に食事はできますよ。ただ、緊張はしてるだけで」

「そーかよっ! 勘違いは俺だけかっ!」

 実際にそれなりの緊張はしている。だから、緊張をほぐす為にビルドさんの所で話をして緊張をほぐしに来たんだ。


「それはそれとして、ミレーヌさんが働いてるのには驚きましたよ」

「おぅ、ミレーヌか....最初は今と違いって人を怖がっていたんだよ。セイジロウがルインマスに行ってから一月ぐらい経ってからだな。ここに来たのは....」


「へぇ、一人で来たんですか?」

「いや、カーディルのガッソと一緒にだな。最初はカーディルのメンバーと一緒に食事をしに来たんだよ。どんな経緯かは知らねぇが....それから、ちょくちょく来るようになってな。ガッソはミレーヌと居るときは冒険者の姿じゃなく装備を外した状態で接していたぜ」


 そうなんだ。ガッソさんはああ見えて色々と気を使って接してくれてたんだな。


「それから、しばらくして慣れた頃にガッソからミレーヌを紹介して来たんだ。その時にはガッソはもうミレーヌと一緒になる事を決めたような顔をしてたぜ!」

「へぇ、そうなんですね! ミレーヌさんは良く頑張りましたね」


「今は給仕に慣れてるように見えるが最初は俺の隣で盛り付けだけをしてたんだ。それが慣れたら、ガッソ達だけを接客してそれに慣れたら、接客する相手を増やして。そうやって少しずつやって今の感じになったんだよ。なかには、まだ相手に出来ない冒険者達もいるが、エリナやリーナがフォローしてくれるからな」


「そうでしたか....それはそうですよね。あんな事があったんです。働けてるだけで凄いことだと思います。ガッソさんの支えが強い力になったんですね」

「まぁ、そうだな。身近で幸せなやつが出るのは嬉しい事だ! で、お前もガッソと一緒で身を固めるわけか?」


 リリアーナとマダラはまだ食べ足りないのか、リリアーナは空の皿を持ち上目遣いで俺の顔を見てくる。マダラは思念で『次はピザが食べたいぞっ!』 と、訴えてきたのでビルドさんに適当に注文をした。


 ビルドさんは料理を作りながら俺との話を再開した。


「将来は考えてますよ、もちろん。ですが、まずはフローラさんの家族に認めてもらわないと話になりませんから。それからですかね」

「まぁ、そりゃそうだが......ってか、フローラさんの家族はどんな人なんだ? 俺もそれなりに長くハルジオンにいるが知らねぇんだよな。セイジロウはフローラさんから聞いたんだろ?」


 うん.....聞きましたよ。この街の領主だって! フローラさんは領主の娘なんだって! って、ビルドさんに言いたいけど.....


「それなりに裕福な家庭らしいですよ。詳しくは挨拶した時に聞かせてもらえると思いますけど.....」

「なんだよ? ちゃんと聞いてねぇのかよ! セイジロウにしちゃあ珍しいな」


「そうですか? 相手の家族の事を根掘り葉掘り聞くのはどうかと思いますけど」

「そう言われるとそうだけどよ....まぁ、そうだな。会う前から色々と詮索するの失礼か。とりあえず、話が上手くいくといいな! ほら、丁度迎えが来たぜ!」


 と、ビルドさんが俺の後ろを顎で指すと後ろから声がかかった。


「セイジロウさん、お待たせしたわね。リリアーナもマダラも待たせたわね」

 フローラさんが挨拶をしてから、俺の横の席に腰かけた。 


「こんにちは、フローラさん。特に長い時間待ってないですから大丈夫ですよ。マダラとリリアーナとで昼食を食べつつビルドさんと世間話をしていただけですから」

「そう? なら良いけど。ビルドさん、お茶を一つ頂けるかしら?」


 ビルドさんが手早くお茶を用意してフローラさんに差し出した。フローラさんは、お茶を一口飲んでから話し始めた。


「セイジロウさん達の準備は出来てるのかしら?」

「えぇ、大丈夫ですよ。フローラさんが良ければすぐにでも行けますが?」

「そうね。なら、お茶を飲んだらいきましょうか。そんなに長い話しにはならないと思うけど.....マダラは悪いけどセイジロウさんの中に入ってもらえる? リリアーナは一緒に話を聞くんでしょ?」

 と、フローラさんはリリアーナの顔を見て聞いた。


「フローラとセイジロウが良ければ一緒にいたい」

「私は構いませんよ」

「わたしも良いわよ。別に隠す事もないしね」


 と、話がまとまると俺たちはフローラさんが手配した馬車に乗り込んで移動を開始した。

 ちなみに、馬車は少しだけ外観が豪華だったがそこまで周りの目を惹くような馬車ではなかった。きっとフローラさんが配慮したんだろう。


 しばらく馬車に揺られて着いた場所は、ずいぶんと大きな屋敷だった。さすが、領主が住む屋敷だけあってそこらの建物とは違っていた。


 馬車から降りると執事と思われる人と、メイドが数名玄関口に出揃っていた。

「バリス、今日はお祖父様に会う約束で来たのだけれど、話しは通ってるかしら?」

 と、フローラさんが先立って話を始めてくれた。

 俺とリリアーナはフローラさんの少し後ろで成り行きを見てる。


「はい、お嬢様。話しは伺っております。すでに、客間でエリック様はお待ちしております」

「そう、分かったわ。それでは案内を頼めるかしら」

 と、執事のバリスさんのあとに続いてお祖父様が待つ客間へと案内された。


 俺とリリアーナは一言も喋らず....いや、このなんとも言えない空気感に喋れずにいたが、特に何かを喋るつもりはないから別にいいんだけど....


 とりあえず、無事に何事もなく終わる事を心の中で祈った。


▽△▽▽▽△△



 俺とリリアーナは客間の一室のソファに腰かけている。さらに、俺の左隣にはフローラさんが一緒に腰かけている。

 対面には好好爺な雰囲気を出してるフローラさんのお祖父様が座ってる。外見的特徴は特になく前の世界でも良く見かける普通のじい様だ。

 「お祖父様、今日は以前から話していたセイジロウさんとセイジロウさんの仲間であるリリアーナを紹介しますわ」

 フローラさんが最初に口火を切って話を始めてくれた。


「初めまして、セイジロウといいます。冒険者をやってます。よろしくお願いいたします」

「リリアーナ、お爺ちゃんよろしく」

 俺は当たり障りなくそしてリリアーナはいつもと一緒だが、笑顔のトッピング付きだ。


「ほっほ、ワシはフローラの祖父でエリックじゃ。話はフローラから聞いておっての、興味本意で会いたくなったんじゃよ。わざわざ時間を作ってもらって悪いのぅ」


「いえ、それはこちらも一緒ですので。それから、リリアーナも同席させてもらいありがとうございます」

 本当ならこういうのは本人同士で会うべきなんだろうけど、エリックさんはかまわないと言ってくれた。


 リリアーナは用意されたお茶と焼き菓子をさっそく食べながら話の成り行きに任せていた。


「それで、お祖父様。今日はどんな話を?」

 エリックさんはリリアーナの焼き菓子を食べる姿をニコニコと見つつフローラさんに問われて話を始めた。

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