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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
181/226

セブリスさんとチェス

No181

セブリスさんとチェス



 リリアーナがマダラと街の外で冒険者ギルドの依頼を受けてる頃、セイジロウは商業ギルドでセブリスと今後について話をしていた。

「セブリスさん、リバーシについては商業ギルドで製作した分かるような焼き印を付けて販売すれば多少は対応できるでしょう。ですが、それもまたしばらくすれば対応されますが.....そこはもう仕方ありません。諦めましょう。時間の無駄ですからね。それより、新しい商品を作り今度は模倣品が出ないようにしましょう」


「リバーシはやはり諦めるしかないですか........分かりました。セイジロウさんに従いましょう。これ以上やっても先は見えてますからね.....はぁ.....それで、新しい商品とは?」

 セブリスさんは思考と溜め息を吐いて結果が推測できたのだろう。落胆の表情を浮かべ温くなったお茶を飲んでから新しい商品の事を聞いてきた。


「新しい商品はリバーシと同じような玩具ですが、やり方次第ではリバーシ以上の売上になるでしょう」

 俺は、前の世界での【チェス】を作ろうと思ってる。ただ、こっちの世界特有のチェスをだ。


「リバーシ以上.....ですか。詳しく話を聞きましょう」

 と、セブリスさんはすでに気持ちを切り替えて話を聞く体制になっていた。


 チェスの起源は諸説あるが有力なのは前の世界で香辛料が有名な国のボードゲームからだと言われていた気がする。


 セブリスさんにチェスの概要を説明し、覚えてる限りのルールと遊び方を教えた。

 チェスは、知略や戦略が要となるマインドゲームと呼ばれリバーシとは違い、奥が深く嵌まれば楽しいゲームだ。


 セブリスさんはチェスの話を真剣に聞いては驚きの顔を見せたり、時には眉間に皺を寄せつつ思考に耽ったりした。


 小一時間ほどチェスに関して話をすると、小休憩を挟んだ。



「話を聞いてみてどうですか、セブリスさん?」

「これはかなりの事になりますよ。まずは、錬金術ギルドとの話し合いと細工職人達を集めるところからですね。ラムレイさんと技術的な話も必要ですし」


「私が出来るのは提案する事だけですから、あとはセブリスさん次第になりますがリバーシよりも玄人向けですし趣向を凝らせばそれなりにいけると私は思ってますよ」

「はい、わたしも思います。まずは簡易な試作を作って話を詰めていきたいと思います。また、お話を伺う事になると思います。その時にはより詳しい話が出来ると思いますので力を貸してもらえますか?」


「えぇ、分かりました」

「ありがとうございます。今日は本当にありがとうございました」

 と、商業ギルドでの話が終わると街中を散策しながら冒険者ギルドへと向かった。


 冒険者ギルドについてからギルドの食事処に向かうとプリンの販売をしているのに気がついた。

「おぉ、久しぶりにプリンを見ましたね。すいません、プリンを十個ください」

 と、女性ギルド職員に注文した。


「ありがとうございますっ! すぐに準備しますね」

 笑顔で応えてくれた女性ギルド職員へとお礼を言ってから代金を払い受けとる。すると、背後から声をかけられた。


「久しぶりに帰ってきて最初にするのが、プリンを買うことなんてね......もちろん、わたしへのプレゼントですよね? セイジロウさん」


 久しく聞いていない声だったが、すぐに誰の声かわかった。

 俺は、振り向き笑顔で応えた。

「もちろん、フローラさんと一緒に食べようと思ったんですよ」

「相変わらず、切り返しが上手いのね.....無事に帰ってきて嬉しいわ」

「私も無事に帰ってこれてよかったです。ただいま、フローラさん」

「お帰りなさい、セイジロウさん」


 俺たちは少しの間見つめ合い互いの姿をしっかりと見ていた。


「さて、とりあえず姿が見れたからまた仕事に戻るわ。今夜は空いてるの?」

「特に予定はないですよ」

「なら、一緒に食事をしましょう。色々と話もしたいし」

「分かりました。待ち合わせはギルドで?」

「えぇ、陽暮れには仕事が終わるのがその頃だから待っていてくれるかしら?」


「もちろん。では、陽暮れに」

 と、フローラさんと夕食の約束を取り付けて一度宿に戻り買ったプリンを置いてから陽暮れ前まで時間を潰し、頃合いをみて街門へと向かう。


 街門近くでマダラとリリアーナの帰りを待っていると無事にマダラとリリアーナに合流できた。

「おかえり、リリアーナ。怪我とはしてない?」

「ただいま、セイジロウ。怪我はしてない。マダラも無事。依頼も完了した」

「そう。なら、冒険者ギルドへ行って手続きをしたら夕食を食べにいこうか。マダラもお疲れ。リリアーナを見てくれてありがとう」


『これぐらい何でもないぞ。それに、リリは一人で大丈夫なほどじゃったぞ』

「そうなの? まぁ、ハルジオンの初めての依頼だしまだ街に慣れてないから。それより、フローラさんと夕食の約束をしたから夕食は外で食べるよ」


「セイジロウ、フローラって誰? またセイジロウの友人?」

 リリアーナが珍しく聞いてきた。今までは聞いてこなかったのになぜだろうと思ったが普通に答えた。


「フローラさんは俺の恋人....かな。さっき冒険者ギルドで会ってね、夕食を一緒に食べる事になったんだよ。リリアーナにも紹介するからね」

『フローラはセイジロウが好いてる女じゃよ。なかなかに気立てが良くセイジロウには勿体ない女じゃ』


「セイジロウが好きな人? フローラもセイジロウを好きなの?」

「多分ね。互いに気持ちは通じてると俺は思ってるよ」


「そう......」

 とだけリリアーナ言うとスタスタと冒険者ギルドへと歩いていった。


 俺はリリアーナの反応を不思議に思いつつもマダラと一緒にリリアーナと冒険者ギルドへ向かう。


 冒険者ギルドに着いてリリアーナの依頼完了の手続きを済ませると、食事処でフローラさんを待った。



 しばらく待っていると仕事終わりのフローラさんがやってきた。

「お待たせ、セイジロウさん」

「いえ、平気ですよ。それと、先に新しい仲間のリリアーナです」

 と、リリアーナをフローラさんに紹介した。


「あなたがフローラ? わたしはリリアーナ。セイジロウの仲間で一緒にいる。よろしく」

 いつものリリアーナなら端的な挨拶なのに、今回は少し言葉が多かったリリアーナに少しの違和感を感じたが特になにも言わなかった。


「よろしくね、わたしはフローラよ。冒険者ギルドの職員をやってるわ。何か困り事があればいつでも頼ってね」

 フローラさんは笑顔でリリアーナに挨拶をした。


「大丈夫。わたしにはセイジロウがいるから」

「リリアーナ?」

「ふふ、そう。あなたにはセイジロウがいるのね。でも、わたしにもセイジロウがいるのよ?」

「フローラさん?」


 何故かリリアーナとフローラさんは互いに見つめ合っていた。俺はなんとなく二人からちょっとだけ距離を話した。


 なんか雰囲気があれなんですけど.....なぜに?


「まぁ、今は良いわ。さて、セイジロウさん。夕食を食べに行きましょうか」

 フローラさんに言われてリリアーナと一緒にフローラさんのあとを付いていった。

ちなみに、マダラは冒険者ギルドに着いてから影の中に入ってもらってる。

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