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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
180/226

リリアーナとマダラ

No180

リリアーナとマダラ




 俺が商業ギルドで【リバーシ】についてギルド職員のセブリスさんと話をしてる頃、マダラとリリアーナは冒険者ギルドの依頼でハルジオンの街から離れた森の中にいた。

『リリよ、そのライオネラバードとか言う魔物はどう見つけるんじゃ?』

 森の中をマダラに跨がりながらリリアーナは応えた。


「ライオネラバードは甘い果実を好むの。それと、高い木の枝に巣を作る習性がある。昨日、ギルドの食事処でご飯を食べてる時に他の冒険者の話を聞いてたから、だいたいの場所は分かる」


『ほぅ、なかなかやりおるのぅ。食事をしてる最中に情報収集とは』

「生きるためには情報が必要なの。むやみに行動するとすぐに死んでしまうって父様は言ってた。生きるためには慎重になる事が必要」


『ふむ。幼くともしっかりと大事な事はわかっておるようじゃな。じゃが、情報も必要じゃが力も必要じゃぞ? リリよ、魔物気配じゃ。この先に一体の魔物がおるようじゃな。どうする、リリよ?』


 マダラはリリアーナを背に乗せながら森の中を無造作に駆けつつもしっかりと周囲の警戒は行っていた。


「マダラ、魔物の強さや種類は分かるの?」

『種類まではわからんのぅ。ただ、ある程度の強さなら気配で分かるぞ。まぁ、それほど強くはないがリリと同じぐらいてはないかのぅ? ワレなら一瞬じゃがな』

「なら、視認できる所まで近づいて。あと、こっちの気配を察知されない距離で」

 と、リリアーナはマダラに指示を出して、マダラは素直にリリアーナの指示に従った。


 少ししてマダラが駆け足をやめリリアーナに思念を飛ばす。

『ここまでじゃな。この先百メートルほど先に魔物の気配があるのぅ。姿は視認出来んがこれ以上近づけば気づかれるじゃろうのぅ』


「わかった。まずは魔物の姿を確認する。わたしは上空から近づくからマダラはその魔物の注意を引いて。わたしが倒せそうなら魔法を放つ。無理そうならそのまま上空で待機するからマダラが倒してほしい」


『いいじゃろ。無理に戦う必要はないし、倒せる者が倒せばようからのぅ。では、いくぞ!』

 と、リリアーナはバードン種特有の風魔法で森の上空へと飛んでいき、マダラは森の中を駆けて魔物へと向かった。


 マダラは魔物を視認すると一鳴き声を発し魔物の注意を惹き付けた。その魔物の外見はワニのようなトカゲのような見た目で体調は三メートルほどもありそうな体表に鱗を纏った爬虫類のような魔物だ。


 魔物はマダラに気付くとクチを大きく開けてマダラを威嚇してきた。

 マダラは、その魔物の間合いの外から喉を鳴らしながら注意を惹き付けるだけで攻撃はしていない。


 すると、森の上空から風魔法を放ったリリアーナが現れた。どうやら、リリアーナは自分で倒せると判断して魔法を放った。


 上空から突然の魔法攻撃を受けた魔物は咆哮を上げながら上空に目を向けるがすでにリリアーナはそこには居なかった。

 すでに、魔物の死角に入り装備していた短剣で体表を切りつけていた。


 リリアーナは鱗を纏った体表に短剣を切りつけるが鱗をが固いのか、うっすらとしか切り裂けなかった。

 リリアーナは一度マダラの近くに着地した。

『どうじゃ、リリよ? 先手は打てたが思ってたのとは違うようじゃが倒せるのかのぅ?』

「ちょっと固い。でも、問題ない。マダラは他の魔物の警戒をしてて」

 と、切りつけられた魔物が咆哮を上げながらリリアーナに近寄ってくると尻尾を使い凪ぎ払いをしてきた。


 リリアーナは上空へと飛び上がり回避し、マダラは一飛び後方へと下がり回避した。

 リリアーナはすぐさま魔物の上空から短剣で切り裂こうとするが、魔物は口を大きく開けてリリアーナに噛みつこうする。が、リリアーナはヒラリっと風魔法で軌道を修正して魔物の背後を取り先ほど切りつけた場所に再度短剣で切りつけた。


 リリアーナはそれからも自身の風魔法を巧みに使い身軽に魔物の攻撃を交わしつつ短剣で徐々に切り裂いていく。だが、小さな体のリリアーナではいまいち火力が足りず決定打にかけていた。


『リリよ、仕留めきれぬようじゃがワレが仕留めてやろうか?』

 マダラはリリアーナの攻撃が決定打にかけている事に気付きリリアーナに思念を飛ばす。


「平気。そろそろ仕留めるからマダラは周囲の警戒をしてて。準備は整ったから、次で仕留める」

 と、立体的な動きを器用にしながらリリアーナはマダラの思念に応えた。

 鱗を纏った魔物は体中に切り傷を受けいたる所から体液を流していた。


 リリアーナは一番傷口が広がっている場所に狙いを定めると、魔物の攻撃を交わすと同時に攻撃を繰り出した。

「これで終わり、【旋風爆撃】!!」


 リリアーナは魔物の傷口に魔力を高めた風魔法を叩き込んだ。すると、叩き込んだ傷口周辺が膨れ上がり破ぜた。

 魔物は肉を散らばせ息絶えた。見た目少女なのに魔法の使い方が凶悪染みていた。


『時間はかかったが無事に倒せたようじゃな.....しかし、ちと残虐過ぎな倒しかたじゃな』

「それは仕方ない。この魔物には短剣が効きづらいかったから。でも、問題ない。怪我もしてないし、無理もしてない。魔物はちゃんと仕留めた」

 と、表情を変えないまま見た目少女が物騒な言葉を発していた。

 

『倒せたから問題ないじゃろうが.....セイジロウがこれを見たら苦笑いを浮かべるじゃろうな』

 と、マダラは魔物の残骸を影の中に保管した。


『さて、目的の魔物を探しにいくかのぅ』

「うん。場所は近づいてる。さっきの戦闘で上空を飛んだときに高い木があったから多分そこにいるはず」

『では、向かうとするかのぅ。リリよ、ワレに跨がるのじゃ』

 リリアーナはマダラに跨がると、マダラとリリアーナはライオネラバードがいると思われる場所を目指した。


 見た目可愛らしい少女が魔法一発で、魔物を爆殺するとは他の冒険者たちは思うまい。他の冒険者はともかく、セイジロウが先の戦闘を見ていたら間違いなく将来を不安に思う光景だ。


 ちなみに、ライオネラバードはリリアーナに無事? に討伐されさらに、数体の魔物を討伐してリリアーナとマダラはハルジオンの街に帰ってくる事となった。



 そんな残虐な戦闘が街の外で行われてるとは知らないセイジロウは、商業ギルドで新たなる金策案をセブリスに提案していた。

こんにちは、紫煙です。ここまで読んでくださってありがとうございます。評価、感想、ブクマをお待ちしています。

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