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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
179/226

別行動

No179

別行動




 翌日、目を覚まし宿屋の食堂へと向かった。すると、すでにリリアーナが食堂のテーブル席についていた。

「リリアーナ、おはよう。待たせたかな?」

「セイジロウ、おはよう。わたしは、さっき来たところ」

「そっか。なら、良かったよ。早速、朝食を頼もうか」

 俺は、給仕の女性に朝食を頼んだ。


「リリアーナ、今日は商業ギルドに行く予定があるんだけどリリアーナはどうする? 一緒に行く? それとも、何かすることやしたい事あるかな?」

 俺は、朝食が用意される前にリリアーナに聞いてみた。


「今日は冒険者ギルドで何か依頼をしてみたい。氷雪季まであまり時間がないから少しでもお金を稼ぎたい」

「冒険者ギルドで依頼か.....」


 リリアーナの実力なら別に依頼を受ける事は出来るけど.....新しい街で一人でかぁ....見た目的に小さい少女が依頼を受けるのは目立つよな。


「そっか、なら先に一緒に俺と冒険者ギルドに行こうか。まだ、新しい街に来たばかりだし、慣れない街で一人で歩くといらない面倒に巻き込まれる可能性があるからね。街の外に出るような依頼なら、マダラと一緒に行動すればいいよ」

 と、リリアーナに話していたらテーブルに朝食が用意されたので一緒に食べ始めた。


 朝食を食べながら今日の細かい予定を話していく。

 朝食を食べ終わると互いに身支度を整えて宿の外で合流した。

「マダラ、今日はリリアーナと一緒にいてくれるか?」

『なんじゃ、リリは今日は別行動をするのか?』

「マダラ、今日はわたしと一緒に街の外で依頼を受ける。一緒に来てくれる?」

 と、リリアーナはマダラにお願いしながらメイン通りを歩く。


『ほぅ、街の外にのぅ。良いじゃろう! そろそろ体を動かしたいと思ってたところじゃ』

「なら、今日はリリアーナとマダラで一緒に行動してくれ。街門までは一緒に行くから」

 俺たちはメイン通りでいつも通りに露店で売られている料理を買ってはマダラの影の中に入れていった。


「リリアーナ、お腹が減ったらマダラに言って影の中の食事を出して食べて。それなりに入ってるから」

「ありがとう、セイジロウ」

「自分で対処できない事や命の危機にあったならすぐに逃げる事。まずは命がだいじだから」


「わかってる。セイジロウは過保護だけど嬉しい」

『そんなに甘やかすでないぞ? リリの為にならんではないか。それに、ワレが一緒にいるのじゃ。傷一つ負うことなくかえってくるわ』


「わかってるけど....まぁ、無事に帰ってくるならそれでいいよ」

 と、冒険者ギルドについた。マダラは影の中に入ってもらい、俺とリリアーナは依頼板のところで依頼を探す。


 少し適当に探してるとリリアーナが依頼書を剥がして持ってきた。

「セイジロウ、これ受ける」

「んっ?................ライオネラバードの討伐? Dランクの依頼だけど大丈夫?」

「平気、前も狩った事あるから」


「そう、ならこれにしようか」

 と、受付カウンターに並び手続きを済ませ街門まで一緒に歩いていく。


 街門の門番はサリムさんじゃなくて、違う人だった。

 門番で手続きをしてからマダラとリリアーナは街の外へと向かった。ちなみに、従魔の主が一緒に行動していなくても問題が起きた場合は主である俺に責がかかると門番には言われた。俺はそれを承諾しリリアーナと共にマダラを街の外へと出した。


 俺はマダラとリリアーナを見送ると商業ギルドへと向かった。


 何か一人で街を歩くなんてこの世界にやって来た時以来だな......あの頃はこの世界の事なんてほとんど知らなくて、アニメや漫画、ファンタジー小説の知識を使いつつ生活するので必死だったよな。


 そんな事を思い返しながら考えに更けながら商業ギルドまでやってきた。

 商業ギルド内は特に人で溢れるわけではないが、見た目が商人と分かるような身綺麗な人がちらほらと見受けられる。


 俺は、受付カウンターに向かい用件を受付嬢に伝えた。

「おはようございます。冒険者のセイジロウですが、商業ギルドから呼び出されてると伺って来ました」

「おはようございます。セイジロウさんですね。確認して来ますので少々お待ち下さい」

 と、受付嬢は確認の為に奥へと向かっていった。


 しばらくすると、受付嬢と一人の男性がやってきた。

「お待たせしました。こちらのセブリスが対応します」

 受付嬢は一人の男性を紹介すると受付カウンターに戻った。


「初めまして、セブリスと申します。突然の呼び出しで申し訳ありません」

 セブリスと名乗った男性は俺と同じくらいの年齢で三十代前半に見える細身の物腰が柔らかそうな人だ。


「初めまして、セブリスさん。私はセイジロウと言います。冒険者ギルド所属でBランクです」

「立ち話もなんですから、どうぞこちらへ」

 セブリスさんの後に付いていき個室へと案内された。案内されるとお茶と焼き菓子を女性のギルド職員が用意してくれて話を始めた。


「改めて、急なお呼び出しに応えてくるてありがとうございます」

「いえ、友人であるラム爺からの要請でしたので......それで、私が呼ばれた理由を伺っても?」

 俺は用意されたお茶を一口飲んだ。香りと味はそれなりで満足するものだった。


「はい。実はセイジロウさんが考案された【リバーシ】についての話になります。以前、セイジロウさんはハルジオンの街に滞在していた時にリバーシを考案し、ラムレイさんが製作しそれから商業ギルドに委託販売契約をされてます。そのリバーシの販売が我々商業ギルドが思ってる以上の売上になってると同時にある問題がありまして、考案者であるセイジロウにご相談したくお呼びしました」


 ちなみに、ラムレイと言うのはラム爺の名前だ。

 ある問題? 


「リバーシは確かに私が考案してラム爺に製作をしてもらってます。販売は商業ギルドに委託してますが、契約してるのはラム爺ですよね? まぁ、私は考案者として利益の一部をいただいてますが、それを相談するのはラム爺にではないでしょうか?」


「はい、確かにセイジロウさんがおっしゃる通りです。ですが、販売数がここ最近でかなりの数になっていて、ラムレイさんの製作数では現状追いつかなくなっています。ラムレイさんにも製作数を増やしてくれるように相談しましたが、現状では難しいと言われました。そこで、考案されたセイジロウさんに相談してはどうかと言われまして......」


 ラム爺めっ! せ俺に投げたなっ。丁度良く俺がハルジオンの街に帰ってきたから幸いだと思ったんだろうな.....帰ってきて早々に面倒な話だがラム爺には世話になったからな。


「そうですか.....ですが、リバーシの製作はそう難しい物ではないはずです。人手と材料があれば何とかなるはずですが?」

 セブリスさんはお茶を一口飲んで口を湿らしてから話し始めた。


「はい。リバーシは単純な構造の為に製作は難しくありません。が、ラムレイさんがそればかりを作ってたら本業が出来なくなると、それに、わざわざその為だけに人を増やして教えるのが面倒だと.....作りたければそっちで作って売ればいいとおっしゃりまして....ははは」

 と、苦笑いを浮かべつつ困り顔をするセブリスさん。


「はぁ.....ラム爺が面倒になって断った訳ですか....でも、それなら商業ギルドで人材を雇って販売すればいいのでは? 別に私が呼ばれるような事ではない気がするのですが?」


「それが.....最初は我々達だけでリバーシの製作と販売をしていたのですが、模倣品が市場に回り始めたのです。単純な構造な為に真似されてわけです。商業ギルドとラムレイさんとで対策をして来ました。ですが、こちらが対応すればまた模倣品も対応してくるのです。さらに、話し合いで解決しようにも互いに平行線のままで一向に進展しないのです。ラムレイさんに相談してもリバーシを考案したのはセイジロウさんなので、どうしても対処が後手に回ってしまって......」


 なるほど。製作数が追い付かない問題じゃなく、模倣品の対処が追い付かなく問題で呼ばれた訳か.....


「それは、もう諦めた方が良いでしょう。すでに商業ギルドで対処しても手に余るなら切ってしまって違う商品を考案して販売した方が手間も時間も有意義に使えますよ?」


 こっちの世界では模倣品を取り締まる法律も機関もないんだ。わざわざそんなイタチごっこをするぐらいなら新しい商品を売った方が利益になる。


「ですが! それではわざわざ商業ギルドが尻尾を巻いて逃げるようではありませんかっ! 我々が屈するわけにはいきませんよ。なので、対策案の一つでもいいですから力になってもらえませんかっ!? 勿論、その為の対価はきちんと準備させていただきますから!」

 と、セブリスさんは必死に懇願しながら頭を下げてきた。


 って、言われても.....無くはないけど、まぁ、やるのは商業ギルドだし? それに、新しい商品もついでに作ってもらって小金を稼ぐか? 


 新しい仲間も増えたし、将来の事を考えて稼ぐのも悪くないか。

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