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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
165/226

マダラとキャンプ・幕

No165

マダラとキャンプ・幕



 俺は朝の目覚めとともにマダラに挨拶をした。

「マダラ、おはよう。昨夜はどうだった?」

『特に問題ないのじゃ。セイジロウはどうじゃ? 朝からずいぶんと気落ちしてるようじゃが?』


「あー、うん....まぁ、とりあえずは平気かな....顔洗ったら朝食の準備をするから道具を出しといてくれるか?」

 と、晴れ渡る空と違い俺の心は暗くなっている。その暗くなっている心の原因をチラッと見てから溜め息を吐きつつ水魔法で顔を洗い朝食の準備を始めた。


 朝食を準備しつつ横目でチラチラと横たわる人物? を確認する。今はまだ起きる気配は感じない。規則正しく胸元が上下に動き呼吸は安定してる。俺が当ててしまった足と墜落時に負ったと思われる頭部の切り傷もすでに手当て済みだ。


『セイジロウは不運じゃな。一日にニ度も想定外の事が起こるとは.....一度祓いをしてもらった方が良いのではないか?』

 と、朝食を作る俺にマダラの思念が飛んできた。


「本当だよ。まさか、撃ち落としたのが人? だったなんて.....しかも、まだ年若い少女だなんてな.....…はぁ....マジでルインマスに帰ったらお祓いを頼んでみようかな」


『それより、鍋が煮たっておるぞっ! 魚も焦げておるではないかっ! しっかり料理せんかっ!』

 と、俺の悩みより自分の朝食に真剣だった。今はその能天気な頭が羨ましく思った。ちなみに、その能天気が少しイラついたので焦げた魚をマダラの朝食に出してやった。


 俺とマダラが朝食を食べ終わる頃に例の少女が目を覚ました。

 少女の見た目は中学生、良くて高校生ぐらいの見た目に見える。髪色は、空色に強い青色の髪が一筋入っている。体型は、身長が低く百五十センチぐらいで胸はまだ発展途上の最中だ。服装は、一枚布を体にくるんだような遥か昔のロー○人みたいな格好だ。


「こ....ここは?....あなた....だれ?」

 少女はそう言いながら体を起こし俺に向かっていった。

「起きましたか....ここは、森の湖の近くですよ。あなたは私が放った魔法にぶつかり湖に落下したんです。覚えてませんか?」


 俺は少女が気を失った原因を説明し現在の状況を教えた。ちなみに、マダラは影の中ではなくその場で話を聞いている。


「....湖...」

「そうです。私の手違いとはいえ魔法をぶつけてしまって申し訳ありませんでした。一応の手当てはしました。それから、賠償があるようでしたら出来る範囲でお受けします」


 俺は少女に謝罪して賠償の意思を示した。十代半ばの少女だとしても過失は俺にあるわけだし....異世界だからといって有耶無耶にするわけにもいかない。間違ってしまってるのは俺の方なのだから。


「あなたがわたしを.....そぅ」

「まだ、どこか痛い箇所はありますか? それから、何か食べれるようなら朝食を作りますが?」


 俺は少女に質問するがどうも反応が鈍い。これは元々なのか、それとも何らかの後遺症があるのか....。

 マダラは特に反応せずに寝転がってる成り行きを見ている。


 少しの沈黙の後、少女が涙を流し突然泣き出した!

「うぅぅ.....うえぇぇぇっ!」

「!?.....ちょっと、大丈夫ですか! どこか痛みがあるんですか! 痛みがあるなら教えで下さい!」

 と、泣き出してしまった少女に問いかけるが声を上げて泣くばかりで俺には全く原因が分からなかった。


 そんな風にオロオロしてるとマダラから思念が飛んできた。

『セイジロウ、少女を泣かすとはお主は何を考えておるんじゃ! 腹が減っておるに決まっておるじゃろ! すでに一日は最低でも食べておらんのじゃ。せめて、鍋のスープぐらい用意せんか!』


「そっ、そうなのか? でも、腹が減ったぐらいでこんなに泣くかな?」

『何を言っておる。ワレなら喚き散らし暴れるほどじゃぞ! まずは飯を与えてから話を聞けば良かろう』


 本当かよ.....まぁ、食事をしてないのは確かだし、料理をするぐらい別に良いけど。

 とりあえず、泣いてる状態じゃ話も聞けないからな。


 俺はマダラに言われた通り、野菜と肉の鍋スープを作り始めた。あとはバゲットパンに厚切りベーコンと葉野菜、チーズを挟み込んだサンドパンを作った。

 しばらく、調理に集中してるとマダラからまた思念が飛んできた。

『おい、セイジロウ。どうやら料理はまだいらんらしいぞ。また寝てしまったぞ』


「えっ?.......マジか....泣きつかれて寝ちゃったんだな。しょうがないか.....マダラ、作った料理は影の中にしまってくれ。それから、今日の訓練は休みにしよう。少女がいるし、ここ毎日が訓練ばかりだっかからな。久しぶりにゆっくりしないか?」


『まぁ、良いじゃろ。なら、久方ぶりにフライドポテトとピザ、唐揚げが食べたいぞ! あと、酒をくれ! 冷たいやつじゃ!』


 お前は休日の中年親父かっ! 朝からだらけすぎだろっ! まぁ、俺は嫌いじゃないから付き合うけどなっ!


「なら、今日は思いっきりダラけるか! そうと決まれば楽しむぞっ! マダラ、影の中から調理道具と食材を出してくれ! 料理を開始するぞ!」

 と、泣き疲れて寝てしまってる少女をほったらかしたまま俺とマダラは、ピザやフライドポテト、唐揚げをつまみに昼間から酒盛りを始めた。


 その酒盛りは昼過ぎまで続き、少女が目を覚ました時には酔っぱらい親父の出来上がりだった。



▽△△▽△▽△



 俺とマダラは料理を摘まみながら冷たいエールを飲んでると、傍らで寝ていた少女が目を覚まし起き上がった。

「...おっ? ようやく起きましたね。どうです? 寝起きに一杯飲みますか?」

『何を言っておるんじゃ、セイジロウ。そんなちっこい少女が飲めるはずがなかろう。それより、果実水を出してやれば良かろう。酒は大人になってからじゃ!』


「あぁ、そうだった。んじゃ、果実水でも飲む? ってか、なんで少女がここにいるの?」

『そんな事、ワレが知るかっ! セイジロウ、つまみも酒も足らなくなってきたぞ! 追加じゃ! 山盛りのフライドポテトを作るのじゃ!』


「マダラが知らないんじゃ俺も分かんないな....お嬢ちゃんも一緒に食べていくかい? ここで会ったのも何かの縁だからご馳走するよ?」


 と、この時の俺たちは朝から飲み続けかなり酒に酔っていた。自分の手違いで魔法を当ててしまった少女に対する態度ではなかった。


 少女はそんな俺たちをどう思っていたのかは後で分かる事だが、この時の惨事を少女が忘れる事はなかった。


 俺の問いかけに少女はこう答えた。

「お酒を飲んで話を有耶無耶にするのはダメな大人だって父様が言っていた。そして母様はこう言っていた。責任はすべて男がとるものだと。だから、責任はあなたにある。あなたにわたしは撃ち落とされたんだから」


 と、少女は真面目な顔をして言ってきた事に一時の間理解出来なかったが、少ししてすぐに記憶がよみがえってきた。

 そして、俺はすぐに国民的伝統芸の一つである土・下・座・を少女の目の前でした。


「まことに申し訳ありませんでしたー!!」



ちなみに、マダラは少なくなったつまみを食べながら平然と酒を飲んでいた。そんな姿を見てイラッとしたセイジロウは主従の命令を行使し無理矢理に土下座をして平伏させたのだった。

こんにちは、紫煙です。ここまで読んで下さりありがとうございます。感想、評価、ブクマをお待ちしてます。よろしくお願いします。

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