マダラとキャンプ・4
No162
マダラとキャンプ・4
翌朝の目覚めも特に変わりなく起きてからマダラに挨拶をして昨日の夕食の残りと新たに朝食を作る。
朝食を食べながらマダラと今日の訓練について話をする。
「今日は昨日言っていたもう一つの天装具【黒衣透翼】の訓練をするんだよな?」
『そうじゃ、透縛鎖靭と一緒に行うより片方ずつの方が良いと思ってな。黒衣透翼は見た目はただの黒いローブにしか見えんがそれでも天装具じゃ。着てみて実感はしておるじゃろ?』
この今着てる黒いローブ、黒衣透翼は耐刃と環境適温の性能、さらに光学迷彩のような性能がついてるありがたいローブだ。
「あぁ、火水季の暑い季節でも涼しく適温で快適だよ。それに、防御力も抜群だしな。確かに凄いローブだと思ってるけど....透明になる訓練なら要らないぞ? すでに、そのやり方は知ってるし」
『黒衣透翼はそれだけではないのじゃ。とりあえず、飯をたべおわったら訓練をするぞ。それが扱えるようになったら戦術も変わってくるじゃろうな』
いつにもましてマダラの勿体振りが凄い。どうやらが俺が思ってる以上に凄いローブなのかもしれない。
朝食を食べ終わり訓練の準備が整うと黒衣透翼の訓練を始める。
『では、セイジロウ。新たな黒衣透翼の使い方を教えよう。今着ている黒衣に魔力をながしてみるんじゃ。その時に透明になるのではただ魔力を流すんじゃ』
俺は言われた通りに魔力を流していく。
『魔力を流したら風魔法を自分自身に纏うようにするんじゃ。そうすれば体が浮き上がるような感じになるはずじゃ』
魔力を流す量を増やしていくと体が浮き上がるような感覚がしてくる。さらに、少しずつ増やしていくと....
「おっ?....おぉ....浮いたっ! マダラ、体が浮いたぞっ!」
地面から数センチ、さらに十数センチほど体が浮いた。俺は自分の体が浮き上がってる事に驚いた。
『まずは、その感覚になれるのじゃ。高く浮き上がる必要はない。そのままの状態を維持しながら自分の行きたい方向に少しずつ移動するように訓練するんじゃ。ゆっくり動きそして止まる事を意識するんじゃ』
マダラの助言の通りにゆっくりと前後左右に動く。黒衣に流した魔力を維持しつつ前方に意識を向けると地面を滑るようにゆっくり移動した。
「ははっ! マダラ、凄いよっ! 俺は今地面に足をつけてないで移動出来てるよ!」
『当然じゃ。そういう訓練をしておるんじゃからな。天装具は通常より使う魔力は少ないが魔力操作はそれなりに難しいから油断をしておると....』
俺は楽しくてさらに移動をしよう気が急くあまり魔力操作を疎かにしてしまった。
「うわっ! ズザザっ....」
急に浮遊感がなくなり地面から数十センチの場所から落下して転がってしまった。
『そうなるわけじゃ。よいか、常に魔力を意識するんじゃ。それに慣れてくれば無意識の内に操作を出来るようになるが今みたいに集中を疎かにすれば落下する。もし、上空を飛んでる時に落下すれば擦り傷ではすまんぞ?』
と、マダラに注意されて想像した。上空数十メートルから落下すれば.......考えただけで寒気がした。受かれてる場合じゃない。真剣に訓練しなければ命に関わることだ。
「す、すまん。少し浮かれていたよ.....さて、もう一度だ」
俺は改めて黒衣透翼に魔力を流して地面から数十センチ浮かびあがる。それから、丁寧に移動していく。
まずは前方にゆっくりと、それから止まる。次に左へと移動して止まる。さらに、右へと移動して止まる。そして、後方へと移動して止まる。前後左右に移動し終わると一度地面に降り立った。
「ふぅ.....とりあえずはゆっくりだけど思った方向には移動できる事が分かった。移動だけだけどな。それにしてもまさかこのローブにこんな能力があるなんてな」
『まずはその能力に慣れる事が必要じゃ。透縛鎖靭もそうじゃが、その黒衣透翼も魔力操作に難儀するはずじゃ。慣れれば空中を意のままに飛ぶことができる。さらに、姿を消せば奇襲や索敵も容易じゃ。使い方次第じゃな』
ほぅ、訓練次第では空中遊泳ができると! もしかして、スーパー○ンになれちゃったりする?!
「よしっ! まずは自分の意のままに操れるように頑張るか! マダラはこれからどうする?」
『そうじゃのぅ。ちと、湖の方に行ってみよるかのぅ。昼時には一度戻るから昼食の道具を出しておこう』
マダラは夜営の近くに調理道具だけを出して湖の方向に向かった。
俺は黒衣透翼の訓練を始める。さっきと同じように黒衣に魔力を流し込み前後左右に移動を開始する。地面からの高さを維持しつつ滑らかに動く事を意識しながら。アイススケートをしてるように。
前後左右の行動がなれてきたら斜めの動きを取り入れたり、急制動を取り入れたり。時には速く動いてみたりとした。
イメージと違う動きになったら一度地面に下りて休憩しつつ再度イメージを固めていく。それをマダラが帰ってくるまで繰り返し訓練した。
昼時にマダラが帰ってきたら昼食の準備をして午後も同じように、黒衣透翼だけの訓練を続けていった。
マダラは午後も湖周辺へと狩りをしに向かった。特に湖には何もなかったようだが、どうやら湖周辺が気にいったらしくのんびりと過ごすらしい。
俺は午前での訓練の反省点を修正しながら黒衣透翼の訓練をしていく。次第に慣れてきたら移動速度をあげてみたり、浮き上がる高さを変えてみたりした。
午後の夕暮れ近くには地上からニメートルほどの高さを維持しながらそれなりに動けるようになった。
一度どれだけ高く上昇できるかを試すと森の頂上を越えさらにそこから五メートル以上も上昇できた。感覚的にはまだ上昇できたがさすがに少し怖くなってやめておいた。
とりあえず、地上から十数メートルは上昇できる事を確認出来たからよしとする。上昇した時に森の上からみた景色は圧巻だった。見渡す限り緑の森が拡がっていて、上空には青い空と白い雲がどこまでも続いていた。
いつかそんな空を翔ぶためにマダラが帰ってくるまで訓練は続けた。