チャイナドレスは狂喜
No145
チャイナドレスは狂喜
俺は冒険者ギルドでギルドマスターのサーシャさんとの契約を済ませた。その後は、メイン通りをマダラと一緒に歩き回ってると、服飾店のシャリーナさんの店に立ち寄った。
すると、店内の奥の部屋からチャイナドレスを着たシャリーナさんが現れ、挨拶と同時に抱擁された。
その時に、シャリーナさんの柔らかい物体を堪能しつつ挨拶を返した。女性店員の視線がなければもう少し長く抱きしめていてもらいたいけどね。
「シャリーナさん、久しぶりですね。元気そうで良かったですよ。でも、少し痩せました?」
と、声をかけつつさりげなく腰に手を回してお触りしとく。これぐらいは良いよね?
「あら、そうかしら?」
シャリーナさんは少し上目遣いで俺の顔を見つつ腕を俺の首もとに回しながら聞いてくる。
「えぇ、痩せたと思いますよ。あまり無理をしないようにして下さいね」
「ふふ、ありがとう。さて、挨拶はこれぐらいにして良く来たわね! 歓迎するわ。......お茶と焼き菓子をわたしの部屋に用意してくれる。......さっ、セイジロウさんはわたしの部屋へ行きましょう」
シャリーナさんが女性店員に指示を出してから俺を部屋へと誘った。
この台詞だけで想像するなら恋人との逢い引きを思い浮かべるが、俺とシャリーナさんはその間柄じゃない。いや、間柄になっても良いか悪いかだが......俺にはフローラさんがいるんだ! ダメに決まってるだろ、俺! くっ、チャイナドレスの後ろ姿は凶器、いや、狂喜だな.....
俺はシャリーナさんに案内され部屋のソファへと腰掛け対面にはシャリーナさんがソファに座った。その後すぐに、女性店員がお茶と焼き菓子を用意して退室した。
お茶と焼き菓子をいただき話を始めた。
「それで今日はどうしてわたしのお店に来たの? わたしに会いに来てくれたわけ?」
「実はそうなんですよ。通りを歩いていたらふっと、シャリーナさんのお店に行こうと思いまして。そのチャイナドレス姿のシャリーナさんに会いにきました」
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね。あなたのお陰でチャイナドレスはそれなりに売れてるわよ。今までにないドレス姿で珍しいのもあるけど、飾りつけが無いぶんシンプルで動きやすいそうよ。それに、刺繍の仕方次第で自分だけのデザインが出来るのも好評よ」
今、シャリーナさんか来ているチャイナドレスは青色をベースに白色と黄色で可愛らしい刺繍がされている。
「そのシャリーナさんが着てるチャイナドレスの刺繍はシャリーナさんが考えたデザインですか?」
「そうよ、火水季の空模様と波模様を刺繍にしてあるの。世界で一つ、わたしだけのオリジナルチャイナドレスよ」
なるほど、ベースとなるチャイナドレスと色合いはある程度用意しておいて、自分が考えた刺繍のデザインを入れる事によって、オリジナリティを出すわけだ。
「涼しげで海があるこの土地にはピッタリのデザインですね。それに、刺繍も綺麗に縫われていて素敵な仕上がりですよ」
「ありがとう! これは、わたしが仕事の合間や休みの日を使って刺繍をしたのだけど、販売用は刺繍職人さんに依頼してるのよ。やはり、熟練の刺繍職人さんが縫う刺繍は全然違うわよ」
そんなに違うがあるのか......実際、良くみてないけどシャリーナさんの刺繍と店内にあった刺繍を施した衣服の違いが俺には分からないな....
「シャリーナさんの刺繍をみる限りでは、然程違いがあるとは思えないんですが?」
「もぅ、全然違うわよ! いいかしら、まずはここの縫い方が違うのよ! そして、--」
あっ、これダメなやつだった.....シャリーナさんのスイッチが入っちゃったよ。しょうがない、しばらくはシャリーナさんの演説を聞いておこう。
しばらくシャリーナさんの演説に耳を傾けつつ話を聞いてると、部屋の扉がノックされシャリーナさんが返事をした。
「失礼します。商業ギルドの方がお見えになってます。待合室に案内してあります」
と、来客の報せだった。
「あら、そういえば約束をしてたわね。つい、セイジロウさんが来たから嬉しくて忘れてたわ。セイジロウさん、ごめんなさいね。もっと話をしたかったんだけど...」
「いえ、お話は十分に聞きましたよ。シャリーナさんの元気な姿も見れましたし私は満足ですよ」
「ふふ、ありがとう。また、時間があるときに会いに来てね。わたしももっとセイジロウさんと話がしたいから。それと、面白そうなデザインがあったらまた声をかけてね。わたしに出来るなら力を貸すわ」
「分かりました。ありがとうございます。では、今度」
と、言って俺は店を出てからマダラと一緒にメイン通りを歩きだした。
△▽△△▽▽
次に向かったのは同じ服飾店だけど、こっちは水着を作ってもらってるレイリーンさんのお店だ。
お店の扉を開けるとカラーンッと耳に心地好い音が店内に響いた。
「「いらっしゃいませ」」
と、二人の女性店員が挨拶をしてくれた。
「突然にすいません。店主のレイリーンさんはいますか? セイジロウと申します」
「セイジロウ様ですね。少々お待ち下さい」
と言って足早に奥の部屋へと向かっていった。
俺は待ってる間に店内をざっと眺めると一着の衣服に目が止まった。それは、前の世界でも見た事があり、俺が待ち焦がれていた衣服だった。
その衣服の目の前まで行き、じっくりと眺めた。まだ、木のハンガーに吊るされてるだけでマネキンなんて物は存在していないから衣服の全体は分からないが、純白な服と赤色と青色の差し色がされていて、一目見れば周りの視線を奪う色合いだ。
少しだけそうやって眺めていると、後ろから声がかかった。
「それが最初の水着モデルですよ。すでに、制作の下地も出来ましたからある程度の量産は可能です、セイジロウさん」
俺は後ろに振り替えると、今見ていた衣服とは違う色使いをした衣服を纏ってる女性が立っていた。
そこには二十代に見える鮮やかな黄色の髪を伸ばした、女性らしく程よい胸に細い腰、衣服の隙間から見える生足は魅力な美脚を揃えたレイリーンさんが水着を着ていた。
「こんにちは、レイリーンさん。とても、良く似合ってますよ! 素敵です! ようやく完成したのですね!!」
俺は嬉しくて、ついいつもより声が大きくなってしまったがそんな事は些細な事だと思い、さらにレイリーンさんに近づいて良くみてみる。
「これが......へぇ.....ほぅ.....良いですね。素晴らしい出来です」
「あっ、あのっ! セイジロウさん! あまりジロジロ見ないで下さい! 恥ずかしいです....よ...」
と、レイリーンさんはモジモジしなが声を発した。
俺は気づかずにレイリーンさんが着ている水着をガン見しながら、右に左に、後ろに前にと動きながら見ていた。完全なる視姦行為だった。
「あっ! すっ、すいません。ごめんなさい。つい、水着が素晴らしくて! いや、水着を着てるレイリーンさんも良く似合ってますよ! そのどちらも素晴らしくて.....アハハ....すいませんでした」
と、腰を深く折って謝罪した。
「ふふふ。頭を上げて下さい、セイジロウさん。別に咎めたりしませんよ。水着を制作出来たのはセイジロウさんのおかげですから。ただ、ちょっと恥ずかしかっただけですよ。まだ、出来たばかりで着慣れてないのです」
俺はレイリーンさんの言われた通りに頭を上げた。
「そうですが、不躾なのは私ですから。以後、十分に気をつけますね。それでも、さっき言った言葉は本当ですから。とても良く似合ってますよ!」
「ありがとうございます。セイジロウさんにそう言ってもらえるのは一番嬉しいですね」
と、少し顔を傾けながら笑顔で答えてくれるレイリーンさんはまるでアイドルグループのグラビア姿そのものだった。
「それで、レイリーンさんの着てる水着もそうですが、こっちも水着ですよね?」
俺はさっきまで見ていたハンガーに吊るされてる水着を指差した。
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