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神隠しという名の異世界転移  作者: 紫煙の作家
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フローラへの手紙

No116

フローラへの手紙



 親愛なるフローラさんへ


 すでに火水季に入ってきてます。日増しに暑くなる日々ですが、フローラさんはどうお過ごしですか?


 まずは近況からですね。前回の手紙に書いたある計画がついに始動しました。


 現在は稼働に向けてたくさんの人達が動き始めてます。これで、ルインマスの街に新しい風が入りますよ。みんなの笑い声や笑顔が待ち遠しいです。


 その前段階で、身内だけの集まりをしたんですよ! 集まりは好評でした。驚きと笑顔で盛り上がりました。途中で想定外のトラブルはありましたが、概ね成功だと言えます。


 それから、近々【火水祭】なる祭りがルインマスの街で行われるそうですよ? フローラさんは知ってますよね。多分、この手紙が着く頃にはすでに開催されてると思います。フローラさんと火水祭を一緒に見れないのが残念です。本当に、残念です。


 ハルジオンの街でも火水季特有の催しはあるのですか? もしあるとしたら一緒に見れないのが残念です。フローラさんは、私と催しが見れない事を残念に思ってくれますか?


 氷雪季にはハルジオンに帰る予定ですから、帰ったらたくさん話を聞かせて下さいね。


 ルインマスの街に着いてからフローラさんの事を思い出さない日は一日もありません。あなたの姿を毎日、思い浮かべてます。貴女の事が愛しくて仕方がありません。会える日を楽しみにしてます。


 貴女を愛しくて思うセイジロウより


 ちなみに、冒険者ランクが上がるそうですよ。


▽△▽▽▽▽▽▽▽▽


 翌日、いつもより少し遅めに起床し、身支度を整えて宿の食堂へと向かった。

「おはようございます、ロゼッタさん」

「おやっ、いつもより遅いねっ! 朝食を用意するかい?」

「はい、お願いします」


 俺は空いてるテーブルに座り呆けつつ、周りを見ると朝食を食べてるのは数組しかいなかった。いつもなら、ほぼ満席に近いほどに人が朝食を食べてるのに....


 どうやら、それなりに寝過ごしたようだ。少してロゼッタさんがテーブルに朝食を用意してくれた。いつもながら、ボリューム満点の朝食だ。


「待たせたね、しっかり食べなっ! それと、近い内に宿が満室になって騒がしなるからねっ!」

「それって、【火水祭】の影響ですか?」

「なんだい、知っていたのかい。そうだよ。そろそろ旅人や冒険者、商人、船乗りなんかがやってくるからね」


「話は昨日、友人から聞きました。賑やかになると言ってましたよ」

 俺は、朝食を食べながらロゼッタさんの話を聞いてる。


「そうだよっ! 街中がお祭りも騒ぎさ! セイジロウも祭りはしっかり楽しみな!」

「はい、凄く楽しみにしてます。あっ! そういえば、エールや果実水を瞬時に冷やす魔導具が貸し出し、販売するって聞きました?」


「知ってるさっ! 各ギルドがすでに宣伝してる! 錬金術ギルドでは連日、試飲会が開催されてるよ。あんたも暇なら行ってみるといいさ!」

「"餌付け亭" は、その魔導具を貸りたり、買ったりするんですか?」


「すでに、予約済みだよっ! あれは、良いよ! これから、益々暑くなるからね。お客には好評だろうね! ただ、まだ量産が難しいらしく錬金術ギルドは総力を上げて製作してるらしいね」


「ロゼッタさんは良く予約できましたね?」

「それは、錬金術ギルドが飲食店に優先してくれたからだよ。まぁ、何処でもって訳じゃないけど、一定以上の基準を満たした飲食店にだけどね」


「じゃあ、ロゼッタさんの宿はその基準値を満たした飲食店なんですね」

「今さら、何言ってんだい? 当然だよ! うちの宿はルインマスの街でも指折りの優良宿泊店だよ? じゃなきゃ、ギルドで推薦なんてしないよっ!」


「ハハ、すいませんでした。別に他意はないんですよ」

「それは、分かってるさ! さっ、さっさと食べて稼いできなっ!」

 と、話は終わりロゼッタさんは仕事に戻り、俺は朝食を手早く食べて冒険者ギルドに向かった。


 冒険者ギルドに着き、受付嬢のシンディさんの列に並んだ。


「おはようございます、シンディさん」

「セイジロウさん、おはようございます。今日は少し遅めですね」


「ハハ、少し寝過ごしました。今日は、昨日の報酬とグレイドレバファロの肉を受け取りにきました」

「はい、では用意しますので少々お待ち下さい。.............お待たせしました。こちらが、昨日の報酬ですね。あと、例の魔物の討伐報酬に素材の買取り金も入ってます。詳細はこちらの紙に書いてあります」


 シンディさんから、少し大きめの革袋を受け取りに中身を見ると.......金貨がザックリ入ってました!!


 えっ? こんなにもらって良いの? マジでっ!...俺、もう働かなくて良いんじゃね? いや、まだ足りないか....


「シンディさん、これは私の個人口座に預けておいてくれませんか? ちょっと、持ち運ぶには多いので....」

「分かりました。預り証はどうしますか? 発行しなくても、記載書はいつでも閲覧出来ますけど」


「発行はしなくていいです。記載だけしておいて下さい」

「分かりました、あとグレイドレバファロの肉は解体所で受け取り下さい。場所は分かりますか?」


「はい、覚えてますから。ディガンさんに言えば良いのですか?」

「はい、近くの解体員に声をかければ大丈夫ですよ。今、渡した紙を見せれば対応してくれますから」


 俺は昨日行った解体所に向かい、グレイドレバファロの肉を受け取った。ディガンさんは、忙しく他の解体員が対応してくれた。解体した肉はマダラの影の中に保管してからアンリエッタ邸に向かう。


 アンリエッタ邸に着いて、いつも通りに執事のシバスさんに挨拶をする。メイドのメイリーンさんが用意した馬車に乗り、依頼最後の倉庫に案内してもらった。


 最後の倉庫は先の三つの倉庫より一回り小さく、倉庫内の木箱もわりと少なかった。メイリーンさんからこの倉庫の目録をもらい、すぐに倉庫整理を始めた。


 この倉庫にも【風旋具】の魔導具が設置されている。これで、倉庫内が涼しくなり熱中症になる心配が軽減された。


 最後の倉庫だということもあって、手早く木箱を確認していく。確認した木箱はマダラの影に一度入れてから、指定した場所に出してもらう。


 昼食時に、メイリーンさんが迎えに来てアンリエッタ邸で昼食を食べ、休憩時はアンリエッタさんがマダラと休憩時間を楽しむ。昼食休憩が終わったらまた倉庫整理に戻る。


 そして、ニ日後にはアンリエッタさんの依頼である倉庫整理依頼が完了した。


 ようやく自由な時間ができ、新たなる目的に向かってセイジロウは動き始める。

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