転生の次の日
ミロクが目覚めた次の日
「さてミロク、目覚めてすぐで悪いがこれからやる事がある」
「え?何があるの、んっ、あるんですか?」
「家族の子供は3歳になるとお披露目会というのを屋敷で開催しなくてはならない、そして我が家は1週間後に行う事になっている。もし目覚めなかったら延期する予定だったが今からならまだ間に合うからな。その場ではミロクも何かしら挨拶をしなければいけないから何か言葉を考えておいてくれ」
「分かりました」
「そしてその場にはガディ、じゃなくて国王様も来る」
(今名前で言いかけたよな、仲良いのかな?)
「くれぐれも粗相のないように、まぁ大丈夫だと思うが」
「分かりました」
「それと家の中では敬語じゃなくてもいいぞ、家族なんだから話しやすい話し方にしろ」
「うん、分かったよ」
「それでいい、さて話は終わりだ。それと我が家が帝国との国境に面しているのは知っているだろう?」
「うん」
「それで、その帝国が最近何かしているらしいんだ」
「何か?」
「ああ、それが何かは分からないがもし危ないと思ったらすぐにでもみんなを連れてここから逃げろ」
「え?でも父さんは」
「私は貴族として、そしてこの国の剣聖として戦わなければならない」
「なら俺も」
「お前は貴族だがそれ以上に子供で、私の宝だ。だから私のいうことを聞いてくれ」
「……」
「まぁ、まだもしもの話だ。そう深く考えるな。だがこの話は虚構じゃなく事実だ、起こらないとも限らない、だから頭の片隅には置いておいてくれ」
「うん…」
「分かったのならこの話は終わりだ、じゃあ昼食を食べに行こう。食堂に行くぞ」
「うん」
「あっ、それと明日から家庭教師が来るから」
「え?なにそれ?」
「6歳になると学園の初等部に行かなければならないからその為の勉強を教えてくれる先生だ。母さんの友人で、エルフと聞いている。私も会ったことはないがいい人と聞いているから仲良くしなさい」
「うん。エルフか」
「そういえばミロクは他種族に会ったことはないな、この国では全ての種族と友好を結んでいて、戦争はもちろん、畏怖嫌悪、奴隷制度もないから、他種族をそういう目で見ないようにな」
「わかってるよ」
「それならいい。さて今度こそご飯を食べよう」
「うん」
その日の夜
「ミロクは寝たのか?」
「ええ、寝ましたよ」
「それにしてもどういう事だ」
「そうですねぇ、どういう事かしら」
「ミロクの奴3歳で魔力を垂れ流してやがる、それも異常な量をだ。気付いただろ?」
「当たり前じゃないですか、私はこれでも元Aランク冒険者の魔術師ですよ」
「何故ステータスをもらう前に魔力を…」
「ステータスをもらうというのは身体能力を含めた能力を与えるという事ではありません」
「ん?セーニャか」
「はい、話し声が聞こえたので」
「それで今の話はどういう事だ?」
「ステータスを貰うというのは能力を貰うことではなく、能力を強化するものだと言われています」
「そんな事初めて聞いたぞ」
「この強化は魔力や体力、そして技術などが含まれます。ステータスが無くても剣を振ったりなどの力のいる事が出来る理由もこれだと言われています」
「なるほど、その技術が強化されたものがスキルか、だがスキルはその時に初めて見るものもあるぞ」
「それは無意識下の技術、もしくは神が必要だと与えてくれたものというのが現在の説です」
「なるほどな、という事はミロクは…」
「はい、とんでもない魔力を持って生まれてきたのだと思いますよ」
「そうか、将来が楽しみだ、だがこのままだと少しまずいな。お披露目会の時に他の貴族になにを言われるか分からん」
「では少し早いですが私の友人に魔力操作を教えてもらいましょうか」
「その手があったか、確かにエルフならそれが出来るな」
「私が教えても良かったんですけどね」
「お前は教えるのが致命的に下手だからな、シリカが涙目になって『才能が…』って言ってたのを何度も見たからな」
「その事は言わないでください。じゃあ私から頼んでおきます」
家族の勘違いからミロクは次の日から魔力操作を教わる事が決まった。




