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新しい家族

(それにしてもさっきから下の方が煩いな、何かあったのか?子供の声?)


「ん?こっちに来る?」


バン!


「うわっ!」


「あ!ミロクが起きてる!」


「目覚めたのかミロク!良かった、本当に良かった」


「えーと、心配かけてごめん」


「「え?」」


「ん?どうしたの、人の顔をそんなにじっと見て?」


「ミロクが俺たちに敬語で話していない!」


「あんなに言っても敬語で話し続けていたミロクが敬語じゃないなんて噓みたい」


(やばい、なにも気にせずに喋ってた。何か言い訳をしないと)


「えーと、なんとなく?」


「ふーん、まぁいいや。それより大丈夫なの?」


「どこか苦しいところや痛いところは無いか?」


「大丈夫だよ、むしろピンピンしてる」


「そうか、それは良かった」


「どうして倒れたのか分かる?」


「んー、思い出せない」


「そう、まぁ元気なら良いのよ、元気なら。本当にきついとか辛いとかない?」


「大丈夫だって」


「なら早くお母様達にも伝えないと!」


「そうだな。少し待っててくれミロク」


「うん良いよ」


「じゃあ行くぞシリカ」


「はい、オリバー兄様」




その頃別室では


「ミロクよ、どうしてお前はそんな事になったのだ。誕生会の途中で気を失ったかと思えば今日で2週間、あの可愛かったお前が死ぬなんて考えられない。頼むから無事でいてくれ」


「ご主人様、着替えが済みましたらお知らせください。奥様に伝えますので」


「分かった。オリバーとシリカにちゃんと勉強をする様に言っておいてくれ」


「オリバー様とシリカ様もミロク様のお部屋にいらっしゃるので、久しぶりですしご自分で伝えるのが良いかと」


「それもそうか。着替え終わった今から行く」


「では私は奥様を呼んで参ります」


「ああ、頼んだ」




「お待たせしました」


「じゃあミロクの部屋に行こうか」


「はい」


「お父様!お母様!」


「ん?おぉ!オリバー、シリカ、今帰ったぞ」


「もう、そんなに騒いでどうしたの?」


「ミロクが、ミロクが!」


「なに?何があったんだ!ま、まさか…」


「ミロクが目を覚ましたの!」


「なんだ、そうかって!目を覚ましたのか!」


「う、うん」


「は、はい」


「早く行くぞ」


「行きましょう」




ドドド


「ん?なんかすげぇ音が」


バン!


「うわ!な、なに?」


「うおおお、起きたかミロク!」


ガバッ


「え?と、父さん」


「父さん?」


「良かった、本当に良かった」


「ちょっ、泣かないでよ母さん」


「おはようございますミロク様」


「おはようセーニャ」


「ミロク!なんで倒れたのか分かるか?」


「え、わ、分かんない」


「そうか」


「どこか辛いところはない?」


「大丈夫だよ母さん」


「そう、え?母さん?」


「え?どうしたの?」


「ミロクお前、俺たちをなんと呼んだ?」


「え?父さん?」


「前までなんと呼んでいた?」


「え?あっ!そういうことか」


(また完全に忘れて会話してた)


「何がそういうことなんだ?」


「い、いやなんでもないよ父様」


「話し方も変わっている」


「そうなのよ」


「僕たちにも敬語を使わずに話してきたんです」


「あのミロクがか!」


「そうなんですよ」


「そうか、まぁ寝ている間に何かあったんだろう。だが人前では敬語で話すんだぞ」


「わ、分かりました」


「それで良い。セーニャ」


「はい」


「今日はミロクが起きたんだ、誕生会のやり直しと元気になった事を祝って豪華な食事にしてくれ」


「分かりました」


「オリバーとシリカは今日だけは勉強をしなくても良いからミロクの事を見ててくれ」


「分かりました」


「分かりました!」


「ミロク、あなたが元気になって本当に良かったわ」


「ああ、本当に安心した」


「心配かけてごめんなさい」



この日は家族の愛というものをこれでもかというほど感じる日だった。


そしてこの世界の料理は地球にも負けないくらいおいしかった。これからの人生が楽しみだ。




時は数時間遡り、ミロクが目を覚ました時


この世界に存在する魔力測定水晶の全てがこれまでに無いほどの強い光を放ち、世界中の国に、街に、村に激震が走った。


「この光は、この世界で何が起こったと言うのだ…」


そんな言葉が世界中で呟かれていたのをミロクが知る由はない





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