表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

追憶の旅人エンディングその2

 それは戦艦だった。


 宇宙を航海する戦艦。


 表向きは物資を運ぶ輸送船。


 だが、イザヤ艦長が本気を出すとき、イスタリアスは真の役割を果たすための無敵戦艦イスタリアスとなる。



「イザヤ艦長! メルテックスから緊急打電。艦長の力を貸してくれとのこと。いかがなさいますか?」


 オペレーションのシシスが乙女な声を張り上げる。



「メルテックスからのコールサインを無下には出来ない! イスタリアス次元回廊オープン!


 スティルアグレデシアインフィニティシステム開放!」


 声はトイレから聞こえた。



「イザヤ艦長! お腹痛いんですか? だ、大丈夫なの?」


 シシスの口調が心配そうなものに変わる。



「大丈夫さ。シシス、君のためにも頑張ってくるから」


「はい! インフィニティシステムエネルギーをイザヤ艦長にダイレクトに回します! 頑張ってきてくださいね」


「ああ」


 ようやくトイレからイザヤが出てくる。



「スティルマティグアフルディノベノティック!」


 イザヤの意識が存在が遥か彼方のメルテックス星系に繋がる。


「イザヤ大ワープ!」


「行ってらっしゃいませご主人様」


 シシスがボタンを押す。


 イザヤが消える。



 イザヤはメルテックス星系の一つの瞳衛星に立っていた。


 真空?


 放射線?


 そんなものはフルディノベノティック形態イザヤには関係ないのだ。


 フルディノベノティック形態?


「スティルマティグア形態からさきの形態さ」


 アルスの世界での死闘から色々あったのだ。


 恋人シェハルとの古き盟約。


 古き盟約後のシェハルが伶廊桜となり、アルスの世界の旅人となった。


 アルステリウスの万華鏡たるアルスの世界を掌握する夜薙白姫。


 アルスの世界を征服したアルス帝国。


 その基盤たるアルスの一族でさえ、アルスの世界に転生させられたイザヤが力を得るために血脈を絶えさせるわけにはいかなかった。


 全てはシェハルとイザヤのふたりから始めた戦い。


 アルステリウスの万華鏡を打ち破る時、次元回廊の檻が粉砕され、イザヤとシェハルのふたりは現実世界で目覚める。


 夜薙白姫が座する夜薙の天蓋で彼女と対峙する。


 夜薙白姫?


 見た目こそ幼い容姿だが、宇宙すら彼女の箱庭に過ぎない。


 深遠たる存在の前では、生死など意味も持たない。


「むしろ、【今】が全てだろう」


 ディノベノティック形態のイザヤに出来ない事はほとんど無い。


 メルテックス星系の太陽が爆発しようとしている。


「呼んだかイザヤ」


 イザヤの前に銀髪の少女が現れる。


「ああ、シェハル」


「あれを止めて、太陽を転生させるのか」


「難しい講義は省くぞ」


 イザヤとシェハルが手をつなぐ。


 目を閉じて開いたときには、太陽は転生していた。



「ありがとう、貴方がこの世界を作ってくれたんだね。ありがとう、私たちもう大丈夫です」



 メルテックス星から声が聞こえる。


「お呼びのようだぞシェハル」


「そうみたいだね」


 シェハルがさびしそうに目を伏せる。


 桜でいる間はシェハルとしての記憶は無くなる。


 このシェハルだけが全てを知っている。


 いつかの桜にしたようにイザヤはシェハルの髪の毛をくしゃくしゃになるくらいに頭を撫でた。


「気持ちいい………」


「じゃあなシェハル。また会えるさ」


「そうだね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ