無味な秋
都会の季節は不意に変わる
ふと起きた時に寒気がしたり
街行く人々の服装が変わったり
風に巻かれた時に思わず襟を立てたくなったり
そんな時に、秋になったと思う
徐々に変わってゆく色や香り
空模様への気づきには乏しい
住んでいる場所のせいか
紅葉というものも見当たらない
足元には枯葉の代わりに
捨てられたビニール袋が転がるのみ
前の晩に天気予報を確認したところで
気温などという数字でわかるものなど大してなく
この時期はいつも
適した服装が見つからない
そんなていたらくのせいか
毎日毎朝不機嫌顔で
薄いコートのポケットに両手を突っ込み
季節の変化に悪態をつく
郊外にわざわざ足を運ばなければ
季節の変化も楽しめない
そんなつまらない人間になってしまった